ポラール・エレクトロ・ジャパンは、手首でランニングパワーを計測できるマルチスポーツウォッチ「Polar Vantage V」を11月8日に発売した。税別価格は単体で6万9800円で、胸ストラップ型心拍センサー「Polar H10」付きは7万5800円だ。

 BCNきってのランナー・業界記者最速を自称する『週刊BCN』編集部 畔上文昭編集委員に寄稿いただいたレビューの後編では、体験談とともに、「Polar Vantage V」で計測したランニングデータを可視化してわかった、トレーニングの極意もお伝えしよう。

<ポラール「Polar Vantage V」レビュー(後編)>

・前編から続く

トレーニングでフォームを矯正

 世界で初めて、手首での「ランニングパワー計測」が可能な「Polar Vantage V」を活用したトレーニングでの活用方法をまとめると、次になります。

・ランニングパワーの数値を覚えておく
・同じペースで下がれば、フォームがよくなったか、筋肉が付いたかのどちらか
・短い距離で計測したら、有効活用できるかも

 私の場合、ハーフ距離走が265~8Wだったので、それよりも下の数値になるようなトレーニングを目指すことになります。

 ちなみに、フォームを変えるのは簡単ではありませんが、マラソンでは「9割がフォーム」といわれることがあります。なにせ長距離ですから、フォームが原因のエネルギーロスは、タイムに大きく影響します。それを筋肉の動きから修正できる可能性があるランニングパワーは、効果があるかもしれません。

率直な使用感は「やや重いかも……」

 Polar Vantage Vは、バッテリーの持続がGPS計測使用時でも最大40時間というスタミナがあるため、ウルトラマラソンでも余裕で使えます。これは魅力的なのですが、66gはちょっと重いかも。ダッシュしたときや、疲労が溜まってきたときに、重さが少し気になります。慣れれば、気にならないのでしょうか。

 心拍数の計測は、ポラールのお家芸です。ポラールはフィンランドの会社で、世界で初めてトレーニング用心拍計モニター装置を開発したことで知られています。Polar Vantage Vは、2色LEDと複数センサーで心拍数を正確に計測する新開発の「Polar Precision Primeセンサー」を搭載していて、そこに同社のDNAを感じます。
 
安静時の心拍数が50以下は、アスリートらしいです

 GPS計測の性能は十分ですが、住宅街ではかなり不正確になります。フィンランドの会社なので難しいのかもしれませんが、「みちびき(準天頂衛星システム)」に対応してもらえるとうれしいですね。
 
同じコースを走っても距離が違うのは、住宅街のように、細かな動きを捕捉できないためと思われます

 今回は、ランニングパワーを中心にPolar Vantage Vを紹介しましたが、ほかにもトレーニング用のプログラムがたくさん用意されています。正直、3週間では使いきれないほどです。ちなみに、24時間心拍計測機能と加速度センサーを組み合わせ、毎日の睡眠の状況を計測する機能「Polar Sleep Plus」もあります。
 
Polar Vantage Vの主な機能

 Polar Vantage Vの価格は6万9800円(税別)。健康管理に役立つ活動量計としても利用でき、自分だけの専用トレーナーを手に入れると考えれば、安いのかもしれません。

 ちょっと残念だったのは、計測したデータをスマートフォン(Android)に送ろうとすると、必ずエラーと表示され、完了できなかったため、確認できなかったこと。スマホ側に原因があるかもしれませんが、期待していただけに、少し残念でした。

 Polar Vantage Vを装着していると、ペースなどを教えてくれるので、トレーニング最中はもちろん、マラソン大会は、自然と気合が入りました。フルマラソンの自己ベストは3時間12分31秒でしたが、「第14回さのマラソン」で3時間9分51秒に更新。試用後に自己ベストを出せたのは、それが要因かもしれません。とはいえ、サブスリー(3時間切り)まではあと10分もあるわけで、それを縮めるにはPolar Vantage Vを活用し、効果的にトレーニングする必要がありそうです。


■Profile
畔上文昭(あぜがみふみあき)
週刊BCN編集部 編集委員。業界記者最速(編集部調べ)の市民ランナーとして、マラソン大会やウルトラマラソン大会に出場。月間200kmという少なめのトレーニングでサブスリー(3時間切り)を目指している。このところ注力している取材領域は、量子コンピューター。