事実上最後のフォトキナ? ドイツ・ケルンで開幕

【ドイツ・ケルン発】世界最大規模のカメラ・映像機器の見本市、フォトキナ2018が9月26日、開幕した。29日までの4日間、ドイツ・ケルンのケルンメッセで開催される。五つのホールに分かれた展示会場は延べ10万5500平方メートルにわたり、66カ国から812社が出展する。来年からは毎年5月に開催することが決まっており、これまで続けてきた2年に1度、9月に開くスタイルは今回が最後になる。節目の年とあって、今年は開幕を目指した製品発表が相次いだ。

初日10時のオープニングで続々と流れ込むフォトキナの来場者

 開催前の8月から9月にかけては、ニコンとキヤノンがフルサイズミラーレス一眼の新製品を発表。今回のフォトキナで実機を大々的にアピールしている。さらに開幕前日の25日には、主要3社が新製品をお披露目した。パナソニックはライカLマウントを採用したフルサイズミラーレス一眼「LUMIX S1R/S1」の開発を発表。富士フイルムは、43.8×32.9mmと35mmフルサイズ比1.7倍で5140万画素の大型センサーを搭載する中判ミラーレス一眼「GFX 50R」を発表、合わせて同フォーマットで1億200万画素センサー搭載の「GFX 100Megapixels Concept」の開発発表も行った。さらにリコーもコンパクトカメラGRIIIを発表し、ブースでモックアップを展示するなど、注目度の高い新製品が数多く発表された。
 
発表されたばかりのリコーGRIIIをカメラに収めようとする来場者(リコーブース)

 いつにも増して賑やかな幕開けになった一方、出展関係者からは「フォトキナは事実上今回が最後になるのでは」との声が多く聞かれた。1回の出展に数千万円から億単位の経費が掛かるフォトキナ。隔年であれば何とか出展できても、毎年となると少なくともこれまでと同様の大規模な出展は難しくなる。「フォトキナはドイツのローカルショーになってしまう懸念もある」という声も聞かれた。さらに、毎年日本で春に開催されるアジア最大規模のカメラ・映像機器見本市、CP+の次回開催日程が2月28日から3月3日。一方、来年のフォトキナは5月8日から11日までの開催で、時期が近すぎることからも、両方の見本市に出展する意味はますます薄らいでしまう。
 
製品について担当者に熱心に尋ねる来場者(ソニーブース)

 フォトキナ自体のパワーダウンも顕著だ。前回のフォトキナ2016では、42カ国から983社の出展があった。今回は出展社が171社減少。そのため、展示エリアの縮小も激しい。ケルンメッセには全部で11ホールがあるが、今回はその半分に満たないエリアでの開催だ。例えば、以前はフォトフレームなどの小物や写真関連アクセサリーの出展が数多く、賑わっていたホール6はもぬけの殻。お膝元ドイツのブランド、ライカも前回まではホール1を全部借り切って製品の展示や写真展などを展開していたが、今回は規模を大幅に縮小。これまで北口近くにあった大きなプレスセンターも閉鎖され、展示会場に近い東口付近2カ所にこじんまりと移動した。
 
以前は写真用品関連の出展社で賑わったホール6だが、今回は使われずもぬけの殻だ

 カメラ市場全体が縮小を続けていることを受けての現象でもあり、「仕方がない」といった声も聞かれる。これまで名だたる名機が発表されてきた歴史と権威のある見本市フォトキナは、果たして世界市場で生き残ることができるのか。来年5月、あるいは再来年の開催で明らかになるだろう。(BCN・道越一郎)