家電業界の歌舞伎者、ハイアール伊藤社長が新世代を拓くか!?

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2015/11/06 16:58

 今年12月18日に、映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が全国一斉公開される。「スター・ウォーズ」に再熱の兆しが見えるいま、ハイアールアジアが「スター・ウォーズ」とコラボレーションした家電を発売すると発表した。


「歌舞伎者と呼ばれてもいい」熱弁するハイアールアジアの伊藤社長

 10月29日に開催した記者会見の壇上で、ハイアールアジアの伊藤嘉明社長兼CEOは事業戦略を説明した。同社は中国のハイアールグループが日本を含む東南アジア地域の総括本社として、2012年1月5日に設立。ハイアールが三洋電機から買収した洗濯機、家庭用冷蔵庫事業を国内向けの家電ブランド「AQUA」として展開してきた。しかし、三洋電機時代から続く赤字からの脱却は非常に難しかったという。 

 伊藤社長は、「三洋電機時代からAQUAは15年にわたり赤字が続いていた。追い打ちをかけるように業界全体が苦戦していた」と、就任当時を振り返る。2014年2月にハイアールアジアの社長に就任すると、「赤字の流れを断ち切ろうといろいろな挑戦をしてきた」と伊藤社長。これが奏功し初年度に黒字化を達成することができた。 

 ところが、白物家電業界はいまも苦しい状況が続いている。今年二度にわたりメディア向けに事業戦略説明会を行った伊藤社長だが、そこで出てきたキーワードは、「価電」(価値を伝える)と「可電」(可能性を伝える)だ。 

 「家電とは家庭にある電化製品だが、いまの時代、家電は家の中に収まっていない。インターネットの時代と言われて久しく、家電も世の中もすごい勢いで変わっている。AQUAが新しい価値、可能性を伝える家電を提供していきたい」と、伊藤社長は熱を込めた。 
 


打ち立てた三つの柱

 具体的には、「家電を利用した新しいビジネスモデルの構築」「既存分野でのイノベーション」「家電の嗜好品化」の三つの柱を打ち立てた。今回発表した「スター・ウォーズ」とコラボレーションした家電は三つ目の「家電の嗜好品化」に沿った製品だ。 

 嗜好性のある家電とはどのようなものだろうか。タイのバンコクで生まれ育った伊藤社長は、「幼い頃、日本は憧れの国だった。街には日本の大手メーカーの広告が溢れ、日本の製品が一番優れいてると思っていた。とても誇らしかった。もう一度、Made in Japan、Japan Qualityを輝かせたい。AQUAが所有するわくわく感を提供できるような製品を作り、アジアを、そして世界を引っ張りたい」と、自らのビジョンを語った。 
 

 伊藤社長はAQUAが目指すビジョンを「日本覚醒」に定めた。ハイアールアジアが家電業界の新世代を拓くか、注目したい。(BCNランキング・山下彰子)