ソニーの4Kプロジェクター、リビング向け75万円の戦略モデル発売

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2015/09/04 11:00

 ソニーは10月9日にネイティブ4Kプロジェクターの「VPL-VW515」と「VPL-VW315」、2Kプロジェクターの「VPL-HW60」の3機種を発売する。税別の希望小売価格は「VW515」が約80万円、「VW315」が約75万円、「HW60」が約35万円。


ソニーのネイティブ4Kプロジェクター「VPL-VW315」

リビング向けの4Kプロジェクター

 ネイティブ4Kとは、解像度が水平4096×垂直2160の有効885万画素で表現できるフォーマット。劇場で使われているデジタルシネマプロジェクターに搭載されている1.55型「4K“SXRD”」と同じ解像度を持つプロジェクターである。 

 ソニーの現行モデルには、実売100万円を切る価格帯だと「VW500ES」の1機種しかなかったところに、後継モデルとして新たに2モデルをラインアップして強化してきた。「VW315」は、より幅広いユーザーに楽しんでもらうために75万円という戦略的な価格帯で発売。シアタールームを持つヘビーユーザーではなく、リビングで大画面、高画質の映画などを楽しむライトユーザーをターゲットにする。 

 ソニーマーケティングのホームエンタテインメントプロダクツビジネス部HAU&EMK課の成田篤史シニアマーケティングマネジャーは「4Kテレビとの戦いでもある」と、リビング向け4Kプロジェクターを投入する意気込みを語る。「85型の4Kテレビはまだ200万円を切る価格帯。価格対インチ比でネイティブ4Kプロジェクターは有利なので、より大画面で高画質な映画を楽しみたい幅広いユーザーに訴求していきたい」(同)と話す。 

 リビング向けの「VW315」は本体の塗装にもこだわった。マット調のプレミアムホワイトは、ブラックに上塗りしてからマット加工を施すなどの手間がかかる。レンズ周辺も、光沢を抑えるためにマット調に仕上げている。完全な暗室が可能なシアタールームではなく、遮光カーテンを閉める程度の明るいリビングでの使用を想定しているため、周りの光が本体に反射してスクリーンに映り込まないように細部までこだわっている。 
 


レンズ周辺の塗装も反射がしないようにマット調にこだわった「VW315」

 ソニーが実測したデータによると、「VW515」と「VW315」の性能の違いはシアタールームの完全な暗室における黒の表現力に差が出てくるが、リビングを暗くして映す分にはそれほど大きな差はない。 
 

「VW515」は「HDR」対応へ

 上位モデルの「VW515」は現行モデルの「VW500ES」と比べた場合、ダイナミックコントラストは20万:1から30万:1にアップ。明度差を広くとってダイナミックに豊かな表現ができるHDR(High Dynamic Range)も新搭載された。光出力は1700ルーメンから1800ルーメンにアップ。光源である高圧水銀ランプは、LMP-H260からH280を採用した。ランプ寿命は4000時間から6000時間に延びている。 
 


上位モデルの「VW515」

 一方の「VW315」はHDRには非対応で、光出力は1500ルーメン、高圧水銀ランプはLMP-H220を採用。ランプ寿命は6000時間となっている。 

 2Kプロジェクターの「HW60」で大きく変わったのがネイティブ4Kプロジェクターと同じ1チップ化した新しい高画質エンジン「リアリティークリエーション」を搭載していることだ。4Kアップスケーリングはしないものの、現行モデルよりもS/Nが向上することでノイズが減った分、解像感が上がっている。最終調整段階の映像ではあったが、スクリーンに映し出された女優の顔の産毛まではっきりと分かるほどの解像感が得られていた。(BCN・細田 立圭志)