【CEATEC JAPAN 2014】身につけるSIMカードからウェアラブルメガネまで、最新技術を紹介

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2014/10/09 19:52

 最新の製品と最新のテクノロジーが並ぶITの総合展示会「CEATEC JAPAN」。今年の会場で見かけた今後注目の最新テクノロジーを紹介する。

「東芝グラス」

東芝のウェアラブル端末「東芝グラス」

格安SIMで注目の「SIMカード」 近い将来身につけることができる?



 格安SIMやSIMフリースマートフォンと、最近話題のSIMカード。SIMカードとは携帯電話で使っている電話番号を特定するための固有のID番号を記録したICカードで、挿入することで通信や通話ができるようになる。CEATECの会場では、NTTドコモが、「ポータブルSIM」を披露していた。「ポータブルSIM」がもたらす新しい生活とは、どのようなものだろうか。

NTTドコモが出品した「ポータブルSIM」

NTTドコモが出品した「ポータブルSIM」

 「ポータブルSIM」は、SIMカードの入っていないスマートフォンにかざすと、電話やメールなど通信機能が利用できる小型の認証デバイス。プロトタイプはカードサイズで、NFC(近距離無線通信)とBluetoothを搭載し、タッチするだけでNFC対応のスマートフォン、タブレット端末と接続し、回線を認証した状態になる。つまり、SIMカードの入っていないスマートフォンやタブレット端末で通信・通話ができるようになるわけだ。この「ポータブルSIM」、商品化されれば、スマートフォンを持ち歩く必要がない時代がやってくるかもしれない。

カードサイズの「ポータブルSIM」

カードサイズの「ポータブルSIM」

 例えば、スマートフォンとタブレット端末を2台以上持っている人の場合、それぞれのデバイスにSIMカードを入れなくても、「ポータブルSIM」一つでデバイスを切り替えて使うことができる。自宅や職場などにスマートフォンを置いておき、切り替えて使えば、1台のスマートフォンをずっと持ち歩く必要がなくなる。さらに、電車内やカフェなどにも共有のタブレット端末があれば、「ポータブルSIM」だけで必要なときにインターネットに接続し、情報を検索することができる。

将来的にはSIMカードを身につけることもできる

将来的にはSIMカードを身につけることもできる

 プロトタイプはカードタイプだが、小型化が進めば、腕時計やブレスレットのように身につけられるようになる。今後、小型化が進めば、ブレスレットタイプも生まれるだろう。まさに、インターネットを利用するためのキーを身につける時代が来るのだ。

東芝はメガネの進化形「東芝グラス」を発表



 身につけて持ち歩く小型のコンピュータ、ウェアラブル端末は、腕時計タイプやヘッドマウントディスプレイタイプなど、さまざまなものが登場している。東芝はウェアラブル端末の開発についに本腰を入れ、メガネタイプの「東芝グラス」を披露した。

メガネタイプの「東芝グラス」

メガネタイプの「東芝グラス」

 プロジェクターのような投影モジュールを搭載したメガネ。取り外しができる投影モジュールを含む重さは42gと非常に軽く、装着感がいい。

いろいろなデザインのメガネをつくることができる

いろいろなデザインのメガネをつくることができる

 担当者に話を聞くと、警備システムなどの法人向け製品として販売する予定だという。例えば、「東芝グラス」を装着した現場担当者に、本部からエリアマップなどのデータを送信。現場担当者は、投影モジュールを使ってエリアマップをメガネに投影して、実際の景色と同時に情報を確認することができる。

映像を映し出す右のレンズに入っている線で光を屈折させ、実際の景色と映像の両方が確認できるようにしている

映像を映し出す右のレンズに入っている線で光を屈折させ、実際の景色と映像の両方が確認できるようにしている

 映像を映し出すレンズ部分に光を屈折させる特殊な加工を施し、目の前の情景と映像が両方確認できるようにしている。

新コンテンツ保護技術で録画番組の視聴がスムーズに



 映像分野で注目したいのが、新しいコンテンツ保護技術「SeeQVault(シーキューボルト)」だ。HDDやSDメモリカードなどのストレージ用の保護技術で、今後は録画機能を搭載するテレビやブルーレイディスク(BD)レコーダー、外付けHDD、SDメモリカードなどに導入される予定だ。

新コンテンツ保護技術「SeeQVault」

新コンテンツ保護技術「SeeQVault」

 「SeeQVault」を説明する前に、最近の録画生活の傾向について触れておきたい。外付けHDDを接続できる録画機能搭載テレビやBDレコーダーが増え、録画番組を外付けHDDに保存する人が増えている。録画容量を簡単に増やすことができるというメリットがあるが、ここに一つ、大きな落とし穴がある。外付けHDDに保存した録画番組データは、録画した機器でしか再生できない、ということだ。

これまでは、録画した機器でしか録画番組を再生できなかった

これまでは、録画した機器でしか録画番組を再生できなかった

 テレビ番組を録画・保存する場合、録画番組データは録画機器に紐づいて暗号化される。これを機器バインドという。BDレコーダーを買い替えると、古いBDレコーダーで録画した外付けHDD内の録画番組は、新しいBDレコーダーで再生することができない。

「SeeQVault」に対応すれば、メーカーが異なっていても録画番組を再生できる

「SeeQVault」に対応すれば、メーカーが異なっていても録画番組を再生できる

 こんな困りごとを解決してくれるのが、「SeeQVault」だ。機器バインドを解消し、さまざまな対応機器での再生互換性を実現した。つまり、番組を録画するテレビ/BDレコーダー、外付けHDDが「SeeQVault」に対応していれば、メーカーが異なっていても録画番組を再生できるのだ。

パナソニックの「SeeQVault」対応BDレコーダーとアイ・オー・データ機器の「SeeQVault」対応外付けHDD

パナソニックの「SeeQVault」対応BDレコーダー(上)とアイ・オー・データ機器の「SeeQVault」対応外付けHDD

 こんな便利な「SeeQVault」対応製品が、これから先、増えていく予定だ。賛同するメーカーは、パナソニック、サムスン、ソニー、東芝の4社を中心に16社に上り、パナソニックや東芝は「SeeQVault」対応のBDレコーダーを、バッファローやアイ・オー・データ機器は対応の外付けHDDを出品した。対応機器は、これからますます拡大していくだろう。