BCN発表、タブレット端末の構成比が3割に、「安くて簡単」がPC市場を激変させる

特集

2013/04/12 19:08

 BCNは、4月11日、記者発表会を開催し、全国の家電量販店、ネット販売店の実売データを集計した「BCNランキング」データをもとにPC市場の最新動向と今後の展望について解説した。テーマは、「なぜタブレットがPC市場を激変させるのか――2013年PC春商戦の結果と今後の展望」。

 タブレット端末は、2010年5月のiPad発売からしばらくの間、緩やかな伸びにとどまっていたが、Nexus 7やiPad miniなどの7インチモデルが登場したことで、2012年10月頃から急成長。今年3月には、販売台数が2010年5月の6倍に拡大し、パソコン全体(ノートPC+デスクトップPC+タブレット端末)での販売台数構成比が3割に達した。メーカー別の販売台数シェアをみると、アップルとASUSが2強として市場をけん引。アップルは4か月ぶりに5割のシェアを獲得した。

※クリックすると大きな画像を表示します

 好況に沸く市場について、道越一郎アナリストは「『安くて簡単』がPC市場を激変させる」と指摘。安価なNexus 7が試し買い衝動を刺激していることや、タブレット端末が閲覧用途に適していること、積極的な広告宣伝を通じて認知度が向上していることなどをその理由として挙げた。


 今年3月のパソコン全体の前年同月比では、台数でマイナス6.2%、金額でマイナス10.5%で、市場は縮小している。ノートPCは台数でマイナス21.5%で、デスクトップはマイナス32.8%と大幅に後退した。その背景の一つが、Windows 8製品の伸び悩み。最大の特徴であるタッチ操作でも、タッチ対応PCの販売台数構成比は16.5%にとどまり、タッチパネルの搭載はなかなか進んでいない。さらに、買替え需要の喚起が難しくなっていることや新製品の割高感などが不振の要因だとした。


※クリックすると大きな画像を表示します

 PC市場が大きな転換期を迎えるなかで、道越アナリストが強調したのが「スマートフォンとタブレット端末を前提とした商品戦略」だ。「まだノートPCが売れているが、ユーザーマインドは確実に離れつつある。メーカーはタブレット端末中心の戦略に切り替えるべきだ」と語った。

「なぜタブレットがPC市場を激変させるのか――2013年PC春商戦の結果と今後の展望」をテーマに解説する道越アナリスト

 戦略のポイントは、平均単価が3万円程度のタブレット端末との共存を目指した新たなストーリーの構築や、タブレット端末に失望してノート回帰したユーザー層の囲い込みなどにある。例えば、高単価にもかかわらずタイプ別販売台数構成比で1割を超すまでになったウルトラブックのように、「高くても売れる」という新しい価値観の創造が活路になるとした。タブレット端末については、インターフェース開発への大規模な投資やデザインの差異化などを課題に挙げた。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

・「Kindle」シリーズ、「Surface RT」の除外について
「タブレット端末」に該当するAmazonの「Kindle Fire HD/Fire」、マイクロソフトの「Surface RT」は現在、集計対象外となっております。ご了承ください。