「UHS-I」規格のSDメモリカード、1割のシェアを獲得

特集

2013/02/18 19:54

 「SDメモリカードの2013年のトレンドは『UHS-I』になる」。1月31日~2月3日に開催したカメラと写真映像の展示会「CP+ 2013」で、サンディスクマーケティング部の大木和彦ディレクターが宣言した。

 SDメモリカードには、容量を表すSD/SDHC/SDXCと、転送速度を表すSDスピードクラスの規格がある。デジタルカメラの高画素化やフルHD動画の撮影機会の増加に合わせて、SDメモリカードの大容量化が進んだ。データは、大きくなればなるほど転送に時間がかかる。そこで、転送時間をさらに短縮するために生まれたのが、新しい転送規格「UHS-I」だ。

 「UHS-I」は、転送速度を向上させたSDメモリカードのインターフェース規格。UHSは、最低速度こそスピードクラス10と同じ10MB/秒だが、最高速度が大幅に向上し、「UHS-I」はスピードクラスの最大理論値25MB/秒の約4倍の104MB/秒まで、「UHS-II」は約12倍の12倍の312MB/秒まで対応する。「UHS-II」対応のSDメモリカードはまだ商品化されていないが、「CP+ 2013」では、SD規格を策定するSDアソシエーションが「UHS-II」のモックアップを展示していた。

「UHS-II」対応のSDメモリカードとmicroSDカード

 「UHS-I」対応のSDHC/SDXCカードは、対応のカードリーダーやデジタルカメラと一緒に使うことで威力を発揮する。対応していない機器で使うと、SDスピードクラス並みのパフォーマンスしか発揮しないので注意が必要だ。

シェア1割を突破、今後は対応カメラの増加がカギとなる



 「UHS-I」対応のSDメモリカードの販売は急激に伸びている。2012年から参入メーカーが増え始め、現在はサンディスクやパナソニック、東芝、トランセンドなどが製品を出している。SDメモリカード市場での構成比をみると、2012年1月はわずか0.5%だったが、春先からシェアを伸ばし、今年1月には12.1%と1割を超えた。


 「UHS-I」対応のSDメモリカード市場は、1月はサンディスクが92.5%と圧倒的なシェアを獲得し1位に。大きく間が空いて、パナソニック、東芝が続く。実は、昨年1月はサンディスク41.5%、パナソニック41.0%で、両社の間にそれほど差はなかった。その後、サンディスクが「UHS-I」の取り組みを強化し、シェアをぐんぐん伸ばし、いまや「UHS-I」といえばサンディスク、といえるほど確固とした地位を築き上げた。


 とはいえ、転送速度規格がSDスピードクラスから「UHS-I」に完全に切り替わるのは、もう少し先の話になる。対応するデジタルカメラは増えつつあるが、まだデジタル一眼レフなど高級モデルが中心。人気のミラーレス一眼や、販売台数の多いコンパクトデジタルカメラの対応は、新モデル待ちといったところだ。(BCN・山下彰子)


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