ソニー、3G対応など通信機能搭載で軽量化、電子書籍端末「Reader」新製品

ニュース

2011/09/29 20:09

 ソニーは、9月29日、記者会見を開き、電子書籍端末「Reader(リーダー)」の新製品を発表した。Wi-Fi対応モデル「PRS-T1」を10月20日に、3G+Wi-Fiモデル「PRS-G1」を11月25日に発売する。価格はオープンで、実勢価格はWi-Fiモデル「PRS-T1」が2万円前後、3G+Wi-Fiモデル「PRS-G1」が2万6000円前後の見込み。

Wi-Fi対応モデルを手にするソニーの野口不二夫デジタルリーディング事業部長

 「Reader」は、紙のように読みやすいモノクロ表示の電子ペーパーを採用した電子書籍専用端末。既存モデルの5型「PRS-350」と6型「PRS-650」は、通信機能をもたないので、オンラインブックストア「ReaderStore」のコンテンツを取り込むときは、本体をPCに接続する必要があった。新製品では、ユーザーの要望を受けて、本体に通信機能を搭載。Wi-Fi対応モデル「PRS-T1」と3G+Wi-Fiモデル「PRS-G1」をラインアップした。また新製品発売に伴い、「Reader Store」に、新たにReader版を用意。Wi-Fiや3G接続でアクセスすることで、PCを介さず本の購入ができるようにした。

「PRS-T1」は世界最軽量の約168g

 「PRS-T1」と「PRS-G1」は、ともに6型の電子ペーパーと光学式タッチパネルを搭載。2GBの内蔵メモリに約1MBの電子書籍が約1400冊、約40MBのコミックが約35冊保存できる。ソニーの野口不二夫コンスーマープロダクツ&サービスグループVAIO&Mobile事業本部デジタルリーディング事業部長は、「Readerは、昨年12月に世界で14番目の国として日本で販売を開始し、現在は19か国で展開している。新製品では、新たに、ニ本の指で文字の拡大・縮小ができる機能や、わからない言葉を選択してインターネットでその場ですぐに検索できる機能を備えるなど、読書をするうえで助けになる機能を搭載した」と説明した。新製品には、電子書籍初登場の作品や話題作など、31冊をプリインストールしている。

 また、新製品は、通信機能を備えたうえで従来モデル「PRS-650」から軽量化。重さは「PRS-T1」が世界最軽量の約168gで約47g削減、「PRS-G1」は185gで約30g削減した。野口事業部長は、「ライバルは、200gを超える製品を発売している。しかし、ソニーは、1gでも軽くすることにだわった」と、軽量化をアピールした。バッテリ駆動時間は、「PRS-T1」のWi-Fi接続時と、「PRS-G1」の3G接続時ともに最長3週間。ワイヤレス非接続時(1日30分読書する場合)は、「PRS-T1」が最長7週間、「PRS-G1」が最長5週間。

 記者会見では、現在対応している電子書籍のフォーマット「XMDF」「ドットブック」に加え、年末または年明けをめどに「EPUB 3.0」への対応することを明らかにした。さらに、野口事業部長は、「日本の電子書籍市場を広げていくための大事な取り組み」として、「楽天市場」の「Raboo」、紀伊國屋書店の「BookWeb Plus」でもコンテンツが購入できるようにしていくとした。

Wi-Fi/3Gモデル「PRS-G1」

 日本専用モデルとして投入する3G+Wi-Fiモデル「PRS-G1」は、KDDIとの協業によってau回線を使用する。契約はソニーマーケティングのサイトからで、製品購入後に、ユーザーがPCと端末をつないで申し込む。auショップからの申し込みはできない。「Reader Store」のみ利用する「Reader Storeプラン」と、Wikipediaなどの動画やFlashコンテンツ以外のテキストコンテンツにもアクセスできる「Webアクセスプラン」から選べる。

KDDIの牧俊夫商品統括本部長兼コンバージェンス推進本部長執行役員

 記者会見にゲストとして登場したKDDIの牧俊夫・商品統括本部長兼コンバージェンス推進本部長執行役員は、「KDDIが目指しているのは、ユーザーがどこでも簡単にサービスが受けられる環境。Readerの3G対応モデルの通信契約はReader Store登録時にワンストップで申し込むことができる。KDDIは黒子の立場で提供する」と説明した。「Reader Storeプラン」「Webアクセスプラン」ともに初期登録料は無料。利用料は、「Reader Storeプラン」は年額1050円。ただし、初年度は無料で、1年目に1冊以上購入していれば2年目も無料になる。「Webアクセスプラン」は月額580円。

ソニーマーケティングの松原昭博執行役員

 ソニーマーケティングの松原昭博執行役員は、「電子書籍は、日本ではまだまだ新しい商品で、知らない人も多い。Readerが本を読むための端末であることを、直感的にわかるようにしていく」として、認知促進活動として、開いた本を手にする二宮金次郎像をイメージしたイラストなどをカタログに掲載してアピールしていく。このほか、紀伊國屋書店の主要店舗に設置する電子書籍コーナーでアピールする計画。10月20日のWi-Fi対応モデル「PRS-T1」発売日に、紀伊國屋書店新宿本店でイベントを開催する。