インテル、3次元構造を採用した22nmプロセスの新型トランジスタを実用化

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2011/05/06 19:17

 米インテルは、5月4日、「トライゲート」と呼ばれる3次元構造を採用した世界初となるトランジスタの実用化を発表した。22nmプロセス技術によって量産するマイクロプロセッサ「Ivy Bridge」(開発コード名)で、トライゲート技術を用いたトランジスタを利用する。

 2002年に初めて公開された3次元トライゲート・トランジスタは、低電圧・低リーク電流のマイクロプロセッサ動作を可能にした。22nmプロセス技術による3次元トライゲート・トランジスタは、従来の32nmプロセスによるプレーナー型トランジスタと比較して、低電圧でパフォーマンスが最大37%向上する。

 3次元トライゲート・トランジスタは、従来の平面的な2次元構造のプレーナー型ゲートに代わって、非常に薄い3次元構造のシリコンのフィンが、シリコン基板から垂直に立っている。電流の制御は、2次元プレーナー型トランジスタの上面の一つのゲートだけでなく、フィンの三つの面のゲートで行う。

 ゲート制御の追加によって、トランジスタをオンにしたときの電流を大きく、オフのときの漏れ電流をできるだけ小さくし、消費電力を最小限に抑える。さらに、トランジスタのオン/オフ動作を、非常に高速に行うことができる。

 インテルの共同創設者ゴードン・ムーアが1965年に示した「ムーアの法則――トランジスタの集積度はおよそ2年ごとに倍増する。一方で、機能や性能は向上し、コストは減少する」は、近年のトランジスタの微細化で限界がささやかれていた。しかし、今回の3次元トライゲート・トランジスタの実用化によって、「ムーアの法則」は継続されることになる。