iPadに話題集中の2010年、一番売れたノートPC&iPadは?

特集

2010/12/29 19:31

 2010年、最も話題になったデジタル製品といえば、1月に発表され、国内では5月28日に発売されたアップルの「iPad」だろう。iPadはパソコンとスマートフォンの中間的な存在で、新たなジャンルを創造したといっていい。とはいえ、ライバルはまだ少なく、現時点ではiPadの独壇場だ。そこで今回は、BCNランキングのデータをもとに、ネットブックを含む「ノートPC」とiPadをはじめとする「スレート」を合算し、2010年のノートPC総合ランキングを紹介しよう。

アップルの「iPad」に注目が集まる ネットブックは縮小へ



 「スレート」とは、iPadのように画面を指で触って操作する板状のモバイル端末のこと。一般的には「タブレット」あるいは、OS名を加えて「Androidタブレット」などと呼ばれることが多い。新たなコンピュータのかたちとして、2010年、大いに注目を集めた。

 iPad以外の製品もいくつか発売されたが、2010年1月から11月までの累計で、アップルがメーカー別販売台数シェアの98.1%を占め、人気は集中している。一つのジャンルとして、まだ「立ち上がった」とはいいにくい。そこで今回は、ノートPCと合算して集計した。

 まず、2010年のパソコン市場を簡単に振り返ろう。2010年1月~11月の累計では、パソコン全体(デスクトップPC+ノートPC+スレート)の販売台数のうち、ノートPCが76.7%を占めた。「パソコンといえばノートPC」という図式だ。次はデスクトップPCで19.0%。注目度の高さとは裏腹に、スレートは4.3%にとどまる。

 しかし、1月~4月まではパソコン全体の8割を超えていたノートPCの構成比は、5月以降、70%台に低下。代わりにスレートの構成比が拡大し、6月には最大となる9.9%を記録した。デスクトップPCの構成比は10%台後半~20%台前半の間で推移しており、ノートPCとスレートの間にしか相関は見られない。

パソコン タイプ別販売台数構成比の推移(2010年1月-11月)


 ノートPCのなかでも、画面サイズが12.1型以下のネットブック、スタンダードモバイルノートが落ち込んだ。同じモバイルでの利用を想定したiPadに、需要の一部が食われてしまった格好だ。1月時点ではノートPC全体の販売台数の18.9%を占めていたネットブックの構成比は、11月は8.9%まで落ちている。2008年1月発売のASUS「Eee PC 4G-X」が火付け役となり、「ミニPC」「ミニノートPC」「5万円PC」とも呼ばれたネットブックのブームは、2年弱で終息を迎えたといえるだろう。今後、買い替え時期を迎えるネットブックユーザーが、次のパソコンとして何を選ぶのか、気になるところだ。

ノートPC カテゴリ別販売台数構成比の推移(2010年1月-11月)


ノートPC総合1位は、富士通のスタンダードモデル「FMVNFG50」



 では、本題の2010年のノートPC総合の年間ランキングを紹介しよう。集計期間は2010年1月1日~12月27日。カラーバリエーションは合算して集計した。
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2010年 ノートPC総合 シリーズ別 販売台数シェア トップ20
※集計期間:2010年1月1日~12月27日
順位 メーカー名 型番・シリーズ名 画面サイズ HDD・SSD容量 光学ドライブ 発売年月 販売台数シェア(%)
1 富士通 FMVNFG50 15.6 500 DVDマルチ 2010/01 3.0
2 東芝 PATX66LRT 16 500 BDマルチ 2010/01 2.1
3 NEC LL550/WG6 15.6 500 DVDマルチ 2010/01 2.0
4 東芝 PAEX35LLT 15.6 500 DVDマルチ 2010/01 1.8
5 富士通 FMVNFG70 15.6 500 BDマルチ 2010/01 1.6
6 東芝 PAEX56MLF 15.6 500 DVDマルチ 2010/06 1.6
7 東芝 PAEX55LLT 15.6 500 DVDマルチ 2010/01 1.6
8 富士通 FMVA555A 15.6 500 DVDマルチ 2010/06 1.4
9 アップル iPad Wi-Fi + 3G(MC497J/A) 9.7 64 - 2010/05 1.3
10 NEC LL750/BS6 16 500 BDマルチ 2010/06 1.3
11 アップル iPad Wi-Fi(MB292J/A) 9.7 16 - 2010/05 1.3
12 NEC LS150/CS6 15.6 320 DVDマルチ 2010/09 1.2
13 NEC LL750/WG6 16 500 BDマルチ 2010/01 1.2
14 富士通 FMVA705A 15.6 500 BDマルチ 2010/06 1.2
15 ソニー VPCEE26FJ 15.5 320 DVDマルチ 2010/07 1.1
16 富士通 FMVNFG40 15.6 320 DVDマルチ 2010/01 1.0
17 富士通 FMVA522A 15.6 320 DVDマルチ 2010/06 1.0
18 ソニー VPCEB18FJ 15.5 500 BDマルチ 2010/02 1.0
19 アップル iPad Wi-Fi(MB293J/A) 9.7 32 - 2010/05 1.0
20 NEC LL750/CS6 15.6 640 BDマルチ 2010/09 1.0
※太字はスレート
「BCNランキング」 2010年1月1日-12月27日 日次合算<最大パネル>

 1位は、富士通の「FMV-BIBLO NFシリーズ」の「FMVNFG50」だった。販売台数シェアは3.0%。15.6型ワイド液晶を搭載したスタンダードなノートPCだ。カラーバリエーションは、アーバンホワイト、シャイニーブラック、クリムゾンの3色。なお、富士通は、2010年夏モデルから個人向けPCのブランド名を、ノートPCは「LIFEBOOK」、デスクトップPCは「ESPRIMO」に変更した。FMV-BIBLO NFシリーズは、現行の「LIFEBOOK AHシリーズ」にあたる。

 2位は東芝の「dyanbook TXシリーズ」の「PATX66LRT」で、シェアは2.1%、3位はNECの「LaVie Lシリーズ」の「LL550/WG6」で、シェアは2.0%だった。4位以下の製品のシェアは2%未満、22位以下になると1%を切る。集計期間中に1台以上売れた製品の数は2000以上にのぼり、ノートPCの場合、人気機種に偏ることなく、いろいろな機種が幅広く売れていることがわかる。

富士通の「FMVNFG5」(アーバンホワイト)、東芝の「PATX66LRT」(リュクスホワイト)

 9位には、アップルのiPad Wi-Fi + 3Gの64GBモデル「MC497J/A」がランクインした。シェアは1.3%。11位にiPad Wi-Fiの16GBモデル「MB292J/A」、19位に同32GBモデル「MB293J/A」も入った。累計だと、3Gモデルの「MC497J/A」がトップだが、直近の11月に限ると、Wi-Fiモデルの16GB、64GB、32GB、iPad Wi-Fi + 3Gモデルの64GB、32GB、16GBモデルの順に販売台数が多い。最近は、回線契約がいらず、ランニングコストがかからないWi-Fiモデルが人気だ。

アップルの「iPad」

 トップ20は、2010年春/夏モデルがほとんどを占めた。国内の主要PCメーカーは、年に3回程度、ラインアップを一新するので、iPadと12位のNECの「LS150/CS6」、20位の「LL750/CS6」を除いて、すでに店頭には並んでいないだろう。実際に購入する場合は注意していただきたい。

3年前に比べてスペックは大幅に向上 HDDは500GB/640GBが主流に



 A4サイズのノートPCの場合、現在、販売中の最新モデルの標準的なスペックは、15~16型ワイド液晶、メモリ4GB、HDDは320~640GB、DVDスーパーマルチドライブ搭載といったところだ。HDDは、2009年秋冬モデルから従来の320GBに代わって500GBが主流になっていたが、11月にはより大容量の640GBの構成比が急上昇し、16.4%に達した。CPUはCore i3、Core i5がほとんどだが、その他のCPUを採用しているケースもある。
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 地上デジタルチューナーを搭載した「地デジパソコン」が5割以上を占めるデスクトップPCとは異なり、ノートPC全体の地上デジタルチューナー搭載率は、1月~11月の累計で4.3%、11月単月でも4.9%と少ない。ただし、ブルーレイディスクドライブ(BD)搭載モデルは累計で21.2%と、2割を超え、一般化してきた。年間ランキングでも、2位や5位などの上位にBDドライブ搭載モデルが入っている。

上位機種にあたるBDドライブ搭載モデルでも、今なら10万円台前半で買える
(BDドライブを搭載したNECの「LL750/CS6」、ソニーのVAIO Eシリーズ「VPCEB39FJ」)

 2010年11月のノートPCの税別平均単価は8万4342円。5万円ごとに区切った価格帯別販売台数構成比を集計すると、「5万以上10万円未満」が49.9%で最も多く、次に多い「10万円以上15万円未満」の32.3%と合わせると、実に82.2%が15万未満だった。「20万円以上」はわずか0.1%。

 ちなみに、3年前の2007年11月の平均単価は13万1315円。価格帯別構成比は「10万円以上15万円未満」が69.2%で圧倒的に多く、「5万以上10万円未満」は12.7%に過ぎなかった。3年前のノートPCの標準的なスペックといえば、画面サイズは15.4型ワイド、HDDは120GBで多くても160GB、メモリは1GBだ。CPUは種類が異なるため、一概には比較できないが、価格はわずか3年で4~5万ほど下がり、基本性能は格段に向上した。

ノートPC 価格帯別構成比


 インターネットやメール、音楽や画像加工など、特定のアプリケーションを利用をするだけなら、iPadのようなタブレット端末やスマートフォンという選択肢もある。そのほうが、いつでもどこでもインターネットにアクセスでき、ケースを選んだり、アプリを探したりする楽しみも多いかもしれない。とはいえ、仕事やクリエイティブな作業をがっつりやるなら、やはり従来のキーボードとマウスで操作するノートPCやデスクトップPCのほうが便利だ。手持ちのパソコンに不満があったら、買い替え・買い増しを検討してはいかがだろうか?(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

*BCNでは、2010年以降に発売された製品で、画面サイズが5型以上12.1型以下、Wi-Fiや3Gなどによるインターネット接続が可能で、タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末を「スレート」と定義しています(電子書籍専用端末、PNDなどは除く)。また、2008年以降に発売された製品で、画面サイズが12.1型以下、CPUにAtom系の低電圧CPUを搭載する製品を「ネットブック」と定義しています。


※当サイトで公開しているノートPCのランキングでは、現在、「ノートPC」と「スレート」を合算して集計していますが、今後、「ノートPC」とiPadなどの「スレート(仮)」に分離する予定です。変更時期は決まり次第、お知らせいたします。