ソニー、電子書籍端末「Reader」を12月10日に発売、2万冊が揃うストアもオープン

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2010/11/25 20:51

 ソニーは、11月25日、電子書籍端末「Reader(リーダー)」を12月10日に発売すると発表した。価格はオープン。ラインアップと実勢価格は、画面サイズが5型の「Reader Pocket Edition PRS-350」が2万円前後、6型の「Reader Touch Edition PRS-650」が2万5000円前後の見込み。発売と同時に、書籍販売サービスとしてオンラインブックストア「ReaderStore」を開設する。

 「Reader」は、通信機能をもたない電子書籍端末。「ポケットに、本棚を。」をコンセプトに、薄型・軽量なボディで持ち運びしやすいシンプルなデザインに仕上げた。背面にはラバー風の塗装を施し、しっかりと本体をホールドできるようにしている。

「Reader」は2タイプ、5型の「PRS-350」(左)と6型の「PRS-650」

 書籍コンテンツはPCのオンラインブックストア「ReaderStore」で購入し、USBケーブルで本体に転送する。約2GBの内蔵メモリには、約1400冊のデータを保存することができる。

 5型「PRS-350」と6型「PRS-650」は、ともに解像度600×800ドットの電子ペーパー「E Ink Pearl」を採用。バックライトがないので、長時間読書をしても目が疲れにくい。画面は光学式タッチパネルで、ページめくりや文字入力などが直感的に操作できる。文字サイズはXSからXXLまで6段階に変更できる。

光学式タッチパネルはページを指一本でめくることができる

 このほか、画面上にメモを書き込めるメモ機能、読みかけのページにしおりを挟むブックマーク機能、書籍名や書籍内の言葉を探し出す単語検索機能、英和辞典などを備える。

 対応する文書フォーマットは、XMDF、EPUB、PDF、Text。このほか、画像フォーマットとしてJPEG、GIF、PNG、BMPに対応する。電源はリチウムイオン充電池で、電池のもち時間は約2週間。1回の充電で約1万ページの連続ページめくりができる。

5型の「PRS-350」は厚さがわずか9.2mmと非常に薄い

 5型の「PRS-350」のサイズは幅104.6×高さ145.4×奥行き9.2mm、重さは約155g。カラーはシルバー、ピンク、ブルー。

 6型の「PRS-650」は、音声フォーマットとして、MP3、AACに対応。メモリースティック PRO デュオ/SDカードスロット、ヘッドホン端子を備え、音楽を楽しむことができる。サイズは幅119.1×高さ169.6×奥行き10.3mm、重さは約215g。カラーはシルバー、レッド、ブラック。

 別売のブックカバーやキャリングケースを用意。ブックカバーには、暗い場所でも読書できるライト付きのモデルをラインアップする。

文字サイズの拡大・縮小は6段階で調節する(画面下部で操作)

 端末に加え、オンラインブックストア「ReaderStore」を同時にスタートする。サービス開始時点で2万冊以上のコンテンツを揃える。ハーバード大学・マイケル・サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』など、人気書籍も用意。サイト開設後は、毎週新しいコンテンツを追加していく。

約2GBの内蔵メモリに約1400冊を収納できる

 コンテンツは、レコメンド機能でユーザーの志向に合った本を提示するほか、特集記事によって新しい書籍との出会いを提案していく。ソニーの会員制サービス「My Sony Club」で取得する「ソニーポイント」で決済することができる。

 米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは、ソニーがこれまで長年提供してきた製品・サービスとして「音楽」「映画」「ゲーム」を挙げ、「電子書籍」を第4のエンタテインメントに位置付けた。また、世界13か国ですでに電子書籍事業をスタートしており、日本は14番目の国に当たるとした。

別売でブックカバーなどを揃える。写真は2機種共通のキャリングケース「PRSA-CP65」

 「ReaderStore」で購入した書籍を、共通フォーマットに対応した異なる端末で利用できるかどうかについては、「コンテンツの利用をどこまで開放するのか、日本ではまだ議論しなければならない。技術的には可能だが、複数の端末間での利用は出版社との協議が必要。ビジネスとして成立し、またユーザーのニーズがあるのなら、今後は対応していく必要がある」と述べた。

 また、「コンテンツの作り手の思いを受け止め、読み手の期待に応えるビジネスを展開する必要がある」としたうえで、「日本では、発売後1年間で30万台の販売を目指す。また2012年には、端末の販売数が100万台を超えるとみている。市場で50%のシェアを獲得したい」と意気込みを示した。

ソニーマーケティングの栗田伸樹社長(左)と米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデント

 ソニーマーケティングの栗田伸樹社長は、国内販売について「日本には月に3冊以上本を読む『読書好き』がおよそ2000万人いる。『Reader』は、このユーザーをターゲットとする」と対象を明らかにした。

 さらに「ハードとソフトの両面で体験できる場を設ける」(栗田社長)として、東京・銀座のソニーショールームや、大阪、名古屋のソニーストア、主要家電量販店を含めた全国およそ300店舗に体験コーナーを設置する。栗田社長は「本が好きな読書家に向けて提供していきたい」と述べた。