ソフトバンクM、SIMロック解除について議論の必要性を指摘

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2010/04/02 20:18

 ソフトバンクモバイルは4月2日、携帯電話の回線契約や番号などの情報を記録するICカード「SIMカード」に関する見解を発表した。松本徹三・取締役副社長が、通信契約をした特定キャリアの端末でSIMカードを使用できるSIMロックの意義や、今後の方向性を示した。

 現在、携帯電話メーカーは、SIMロック対応端末と非対応端末、いずれも製品化できるようになっている。松本副社長はSIMロックの意義として、(1)端末に関する問い合わせがキャリアで一本化しているワンストップサービス、(2)ネットワークと端末を連携したサービスの提供、(3)ユーザーの料金負担の軽減、(4)代金踏み倒しなどの不正利用の抑止、の四つを掲げた。

松本徹三・取締役副社長

 続いて、SIMロックを解除した場合のデメリットを提示。例えば、次世代の通信方式「LTE(Long Term Evolution)」を各キャリアが導入して方式を統一したとしても、周波数の違いがあれば、メールや独自のインターネットサービスが利用できないことを指摘。また、メーカーが各キャリアのサービスに対応する共通端末を作るのは開発コストがかかり、端末価格が上昇する恐れがあるとした。

 現在、携帯電話の料金体系は、ユーザーが長期間利用することを前提に設定されている。SIMロックを解除すると、ユーザーは短期間でほかのキャリアに契約を変更する可能性があり、キャリアは料金の割引制度を導入しにくくなり、結果的に料金が高くなってユーザーの負担が増えると予測した。

 さらに、各キャリアが管理できないSIMロック解除端末が登場すると、その端末が大量のデータ通信を利用した場合、ネットワークを占有してしまう恐れがあり、安定したネットワークを供給する保障ができなくなるという。

過去に発売したSIMロック解除の携帯電話
(左から、06年12月発売のノキア・ジャパン製Nokia E61、07年10月発売のHTC製HTC Advantage X7501)

 いま、われわれが当たり前のように受けているアフターサービスにも、支障が出ると捉えている。現在、日本の携帯電話ビジネスは、端末メーカー、コンテンツ事業者、販売店の三者の中心にキャリアが位置する形になっている。端末に不具合があった場合は、キャリアに問い合わせをすればよい。しかし、SIMロックを解除すると、ユーザーは、通信ならキャリア、コンテンツ関連は供給会社、といったように、個別に問い合わせをする必要が出てくるという。

 このほか、SIMロックによって、現在は代金踏み倒しなどの不正行為を抑制することに一定の効果があるが、解除するとこの点で効果が期待できなくなる、としている。

 SIMロックを解除の利点として、端末の国際競争力の向上やユーザーの利便性の向上などを挙げたが、前者については否定。現在、1機種あたりのソフトの開発費が大きく、そのために端末価格が上昇しているのが要因であると指摘した。さらに後者に関しては、デメリットのほうがむしろ大きいと述べた。

 こうした状況を踏まえ、松本副社長はSIMロック解除について、「情報不足だと感じている。今回の説明会を機に、改めてSIMロックの仕組みを知ってもらい、そのうえでユーザーに判断してもらいたい」と語った。また、「総務省が一方的に方向性を決めるのではなく、端末メーカー、キャリア、ユーザーそれぞれの声をまとめて、検討する必要がある」と議論の必要性を強調した。