薄型テレビのエコポイント駆け込み特需、3月第4週は前年比3倍と盛況

特集

2010/04/02 18:39

 2010年4月1日から、家電エコポイント制度が一部変更になった。薄型テレビには、より高い省エネ基準が設定された結果、一部の製品は4月からエコポイント対象外になった。3月は対象から除外されるモデルに人気が集中し、市場は盛り上がった。「BCNランキング」と家電量販店の店頭での取り組みを中心に、3月の薄型テレビの動向を追った。

3月末までポイント有効の旧基準製品、価格の下げ幅大きく



 家電エコポイント制度は、「グリーン家電」に認定された製品を購入すれば、商品券や各地の物産、LED電球などの省エネ製品と交換できる「エコポイント」が得られるもの。対象となる家電製品は、「地上デジタルテレビ」「エアコン」「冷蔵庫」の3品目。地球温暖化への対策や経済の活性化、地上デジタルテレビの普及を目指し、09年5月にスタートした。10年12月31日までの延長が決まっている。

2010家電エコポイント 対象製品告知ラベル

 薄型テレビは、統一省エネラベルで「4☆」以上の表示がある製品が対象になる。4月1日の改正省エネルギー法の施行によって省エネ基準が変更になり、より消費電力を抑えた製品に「4☆」「5☆」の印が付くことになった。このため、これまで対象だった薄型テレビの一部は4月以降「3☆」以下と認定され、対象外になった。なお、エアコンと冷蔵庫については対象製品の変更はない。

4月から対象外になったテレビの一例(左から、東芝の「REGZA 32A900S」、シャープの「AQUOS LC-32DX2-B」)

 制度変更の影響を受け、今年に入ってエコポイント対象外になる薄型テレビの価格の下落が始まった。液晶・プラズマを合算した薄型テレビで、「BCNランキング」09年12月以降の税別の平均単価をみると、3月31日までのエコポイント対象製品は12月第1週(12月7-13日)に8万6800円だったのが、3月第4週(3月22-28日)は5万9400円まで下がっている。

 一方、4月1日以降も継続してエコポイントの対象になる製品と、同日から新たに対象に加わる製品を合わせた価格は、12万3200円から8万9800円になった。前者の下げ幅は約32%、後者は約27%。対象外になる製品のほうが価格の下落が大きかったことがわかる。“買いどき”が来たわけだ。


 このチャンスを、消費者が逃すはずがない。薄型テレビは3月に入ってから販売台数・金額ともに大きく数字を伸ばしている。前年同期比は、12月第1週から2月最終週(2月22-28日)は、台数が約140-190%、金額は約120-160%で推移していた。しかし、3月に入ってからは成長が目立ち、3月第4週には、台数338.8%、金額で283.2%という盛り上がりをみせた。販売店が価格を下げて値頃感を打ち出した結果、ユーザーの購買につながったといえる。
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店頭は新エコポイントに展示を切り替え 制度の再アピールのきっかけに



 家電エコポイント制度の切り替え時期にあたるいま、家電量販店の売り場はどうなっているのだろうか。3月12日にリニューアルオープンした、その品揃えから“テレビ館”とも呼ばれる東京・ビックカメラ有楽町店別館。ビジュアルコーナーの大井亮主任は、3月の売り場の状況について、「有楽町店全体で見ると、前年よりもテレビコーナーを訪れる人は多かった。ここ1か月、とくにこの1週間は、3月末までのエコポイント対象製品を購入するユーザーが目立った」と語る。

東京・ビックカメラ有楽町店別館。
「売りつくしセール」の文字を掲げた看板で大きくアピール
(2010年3月31日撮影。以下同)

 4月からエコポイント対象外になるテレビには、「買うなら今! 3月31日まで対象 エコポイント対象製品」と記し、期限が間近に迫っていることを告知。配布チラシや屋外の看板など、来店者の目に留まりやすい形でアピールした。この取り組みが功を奏し、4月2日現在、有楽町店本館・別館合わせても、旧基準を満たす製品の在庫は1割にも満たない状態だという。

3月31日までのエコポイント対象テレビには右上に告知を貼付

 駆け込み需要の盛り上がりのなかで、家電エコポイント制度を正しく把握していないユーザーも多かったという。例えば、「ポイントは何と交換できるのか」といった質問のほか、「制度そのものが終わってしまうのか」「取得したエコポイントは、ビックカメラのポイントになるのか」などといった問い合わせを受けたことがあるという。売り場では、今回の制度の一部改定は、エコポイントを改めてユーザーに周知するきっかけになると捉えている。

エコポイントの点数がひと目でわかるよう画面サイズ別にPOPで表示

 その啓発活動として、有楽町店別館では、画面サイズ別にエコポイントが異なることを、各サイズのテレビにポイント数を示したPOPを付けて、ひと目で違いがわかるようにしている。また、4月からの対象製品には、デザインが新しくなったロゴ「2010家電エコポイント 対象製品告知ラベル」を使用した。

4月からの対象製品には新しいエコポイントのロゴを使った貼り紙をテレビに付けて告知

 3月に売り場が活況を呈したのは確かだが、その一方で、新基準の適用開始を待って購入するユーザーもいたという。大井主任によれば、「旧基準は『低価格の型落ちモデル』、新基準では『高性能な新しいモデル』と、お客様によってニーズが異なっていた」そうだ。

 4月から新しくなった家電エコポイント制度は、薄型テレビの省エネ基準の強化のほか、申請手続きの簡略化や、販売店での相談窓口「ゴールドサポートカウンター」の設置、LED電球など一部製品の交換ポイントを半分に変更するなど、利用しやすくなっている。また、メーカーは新制度への一手として、東芝が32V型「32RX1」の発売を発表するなど、次の需要を狙った動きが出始めている。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。

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