ソニー、W杯期間中にアフリカでエイズ対策協力など社会貢献活動を展開

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2010/03/24 19:03

 ソニーは3月24日、国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)と連携し、南アフリカワールドカップ(W杯)開催期間中、サッカーを通じて社会課題の解決を目指す社会貢献プログラム「Dream Goal 2010」をアフリカで実施すると発表した。

(左から)会見に出席した村田UNDP代表、ハワード・ストリンガー・ソニー会長兼社長、押山和範・JICAアフリカ部部長

 プログラムは、HIVやエイズの予防・啓発などを目的としたパブリックビューイング(PV)の「パブリックビューイング・イン・アフリカ」、アフリカの子供たちにボールを寄付する「オリジナルサッカーボールの開発」、南アフリカの子どもたちをスタジアムに招待する「チケット・ファンド」「世界各地のNGO(非政府組織)のサポート」で構成する。

 「パブリックビューイング・イン・アフリカ」は、W杯アフリカ地区代表国のカメルーン共和国とガーナ共和国で実施。カメルーンはUNDPと連携して3都市で、ガーナはJICAと連携して9都市で行う。

 会場には、ソニー製の大型映像装置を設置。2国の代表の試合など中心に、20試合を中継上映する。同時に、試合の前後やハーフタイムにHIVやエイズの恐ろしさを知ってもらう啓発映像を流し、HIVの検査を実施する。 

会見では09年にガーナで実施したPVの様子を上映

 会見で冨田秀実・CSR部統括部長は、PV開催地について「出場国を中心に、アフリカの各国民のサッカーへの関心は高いが、貧困などによってテレビの普及率は低い。多くの人が自国の代表チームの試合観戦や応援ができないことから、地区代表国のカメルーンとガーナに決めた」と選定理由を説明した。 

冨田秀実・CSR部統括部長

 PVは、2か国合計で1万3000人の参加と1800人のHIV検査受診を目指す。「HIVやエイズの予防・啓発活動として、かなり大きなインパクトを与えられる」(冨田統括部長)とみている。

 「オリジナルサッカーボールの開発」は、アフリカの多くの国がグランド整備環境が悪く、サッカーボールが長持ちしないことから、荒れた土地でも使える耐久性の高いボールを開発することにしたもの。ソニーの素材開発部門を中心に、植物原料プラスチックを原料にした耐久性の高いボール「ジョイン・ザ・チーム!」を開発した。PVに参加者に無償配布するほか、アフリカでサッカーを通じて社会貢献をしている団体に寄贈する。

 ボールの寄贈では、世界中の人に支援を仰ぐプログラム「Earth F.C.」も立ち上げた。専用サイトでボールをクリックしてパスをすると、1000本のパスがつながるごとにボール1個を寄付。また、5月1-31日の間にソニー製メモリメディアの売り上げが全世界で1万GBに達するごとにボールを1個を寄付する仕組みを用意した。 

サッカーボール「ジョイン・ザ・チーム」(右)と「Earth F.C.」のTシャツ

 このほか直販サイト「ソニースタイル」では、ボール購入の寄付金となる「ドネーションチケット」を販売。チケット購入者1000名には「Earth F.C.」のTシャツをプレゼント(日本のみ)する。家庭用ゲーム機「PlayStation3」のサッカーのオンラインコミュニティーで、アバターを使ったプログラムも予定している。

 プログラムには、日本サッカー協会特任理事でJICAのオフィシャルサポーターの北澤豪さんも協力。会見で「長く継続的に使えるボールは、子どもたちの夢の持続にもつながる」と、寄贈するボールへの思いを語った。 

北澤豪・日本サッカー協会特任理事/JICAのオフィシャルサポーター

 「チケット・ファンド」は、全世界のソニー社員に寄付を呼びかけ、南アフリカの貧困地域に住む最大1万5000人の子供をスタジアムに招待するプログラム。あわせてHIVやエイズの啓蒙活動を行う計画だ。

 会見に出席した村田俊一・UNDP代表は「ソニーとPVを通じて、HIVやエイズへの取り組みができるのは非常に有用」と述べたほか、押山和範・JICAアフリカ部部長も「サッカーはアフリカで一番人気のあるスポーツで、格段の集客力が望める」と期待を示した。 

ハワード・ストリンガー会長兼社長

 会見に駆けつけたハワード・ストリンガー会長は、「ソニーは、50年以上にわたって持続可能な社会づくりに貢献してきた。今回のアフリカへの取り組みもこの延長だ。ゲームはこれから始まる。共に夢のゴールを目指したい」と力を込めて抱負を語った。