話題のユニット交換式カメラ「GXR」を片手に、冬の下町スナップ三昧

レビュー

2010/01/29 19:03

 「ユニット交換式」という斬新な発想で話題沸騰中のカメラリコー「GXR」。ユニットの組み合わせ次第で万能型にもなれば、ポートレイトやネイチャーフォト専用機としても使えるなど、ユーザーの嗜好や目的によって変化していく新たなスタイルのコンパクトデジタルカメラだ。そんな「GXR」の魅力に迫るべく、寒さの残る冬の下町でスナップを楽しんだ。

「GXR」ってどんなカメラ



 「GXR」最大の特徴は、一眼レフがレンズを交換することで撮影領域を広げていくように、「ユニットの交換でさまざまな撮影表現が楽しめる」ということ。さらに「GXR」のユニットはレンズだけでなく撮像素子や画像処理エンジンも積んでいるので、より大きな撮影表現の変化を楽しむことができる。

カメラユニット交換式デジタルカメラ「GXR」
(RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC装着時)

 そのカメラユニットだが、現時点で発売されているのは、35mm換算で焦点距離50mm、F値2.5のマクロレンズにAPS-Cサイズの大型CMOSセンサーを組み合わせた「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」と、35mm換算で焦点距離24-72mm、F値2.5-4.4のズームレンズに1/1.7型CCDセンサーを組み合わせた「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」の二つ。

 今後もこのカメラユニットは続々と登場する予定で、2010年中頃には、28-300mm相当のズームレンズと1/2.3型CMOSセンサーを搭載した、ユニットが発売される予定だ。

 そしてもう一つ注目したいのが、「“レンズ+撮像素子”のユニットだけでなく、今後さまざまな機能を持ったユニットを接続できる」という点。同社は2009年初冬の発表会で、その可能性を示すものとして、プロジェクターユニットやフォトストレージユニット、さらにはプリンタユニットや小型のスキャナを搭載したリコピーユニット、ワイヤレス撮影ユニットなどを紹介。「GXR」が、カメラにとどまらない総合的なイメージングプラットフォームであることを強くアピールしている。

「GX100/200」よりひと回り大きいボディサイズ



 ボディのサイズは、同じリコーの「GX100」や「GX200」をひと回り大きくした感じだ。コンパクトデジタルカメラの中では抜群に持ちやすい「GX100/200」だが、厚みや全体的なサイズが増したせいで、「GXR」はさらにホールド性が高い。コンパクトデジタルカメラとしてはやや大きめなサイズだが、昨今台頭中のマイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式カメラと比べれば非常にコンパクトにまとまっている。

「GXR」の直感的に操作できるユーザーインターフェイス(左)、右は「GX100」

 また、ユーザーインターフェイスやボタン配置など、操作性に関しても「GX100/200」や「GR Digital」シリーズのものを受け継いでいる。これらのカメラを使ったことのある人なら、まず問題なく使いこなせるはずだ。特にユーザーインターフェイスはクセがなく、初めてリコーのカメラに触れる人でも、直感的に操作できるだろう。

ボタン配置は「GX100」(右)などの「GR Digital」シリーズのものを受け継ぐ「GXR」(左)
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使っていて楽しい50mmマクロレンズ



 それでは作例を紹介していこう。まずは「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」を使って、大型撮像素子ならではのボケ味を生かした撮影を楽しんだ。

絞り優先AE・F2.5・1/570・ISO200・Ev+0.3
[画像をクリックすると原寸大の写真を表示します]

プログラムAE・F4・1/250・ISO200・Ev±0
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絞り優先AE・F2.5・1/1000・ISO200・Ev±0
[画像をクリックすると原寸大の写真を表示します]

 ややAFが迷う場面があり、いくつかのカットはMFでピント合わせを行った。ちなみに「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」はフルタイムMFが可能で、好きなタイミングでピントリングによるピント合わせに移ることができる。そのため、コンパクトデジタルカメラにありがちなボタンやレバーによるMFよりもはるかに合わせやすく、ついつい他のシーンでもMFを多用したくなってしまう。また、MENUボタンを長押しすることで中央部分を拡大表示することができるので、ピントの山もつかみやすい。
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積極的に使いたい「ビビッド」モード



 次は「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」を装着し、多くの観光客で賑わう浅草・浅草寺をスナップした。この日は曇り気味で鈍色の空模様だったので、思い切ってカラーモードを「ビビッド」に設定。カラフルな浅草の雰囲気を強調することにした。

プログラムAE・F5.0・1/800・ISO200・Ev±0
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プログラムAE・F6.0・1/640・ISO100・Ev±0
[画像をクリックすると原寸大の写真を表示します]

プログラムAE・F7.0・1/500・ISO100・Ev±0
[画像をクリックすると原寸大の写真を表示します]

 頭上に掲げられた色とりどりの飾りの色彩感が強調されるのが楽しい。カラーモードは、日常的なスナップで積極的に活用することで多彩な表現ができる。旅先での撮影や料理撮影などで使ってみると面白いだろう。 

ともにプログラムAE・F4.6・1/320・ISO100・Ev±0(左がカラーモード「ビビッド」時、右がカラーモード「ナチュラル」時)
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長時間露光で幻想的に



 最後は夕暮れの浅草橋で、「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」で長時間露光撮影をした。

マニュアル・F6.5・10秒・ISO100・Ev±0
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マニュアル・F6.2・10秒・ISO100・Ev±0
[画像をクリックすると原寸大の写真を表示します]

 いずれも10秒の露光時間だが、ノイズリダクションが有効になっていることもあって目立つノイズが乗ることもなく、長時間露光ならではの幻想感あるカットを撮ることができた。また、「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」は絞り羽根を持っているので、絞り込むことで街灯などの光源の周囲に花びらのような美しい光芒が広がり、夜景ならではの美しさをより際だたせてくれる。

「性格の異なる複数台のカメラを持ち歩く」という感覚



 以上、「GXR」を使って一日スナップを楽しんで、改めて感じるのは、「ユニットによってカメラの性格が大きく変わる」ということだ。特に「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」での撮影では、面白いようにボケ味を生かしたカットを撮影できるので、ついつい時がたつのを忘れてしまうほど。これは一般的なコンパクトデジタルカメラでは決して味わえない。一方で、「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」を装着した場合は、どんなシチュエーションでもそつなくこなす手軽さとコンパクトさから、実用性が高く、これはこれで手放せない深い魅力がある。

 カメラユニットは「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」共に思った以上にコンパクトで、ある程度の幅があれば小さなバッグにも無理なく収まってくれるので、旅行にも最適。「複数本のレンズを持ち歩く」というよりは「それぞれ性格の異なる複数台のカメラを持ち歩く」という感覚なので、旅先でも多彩な撮影表現を楽しむことができるだろう。これまでコンパクトデジタルカメラしか使ったことのない人はもちろん、日常的に一眼レフを使いこなしている人にとっても、新たな撮影スタイルと撮影表現を与えてくれる「GXR」。ぜひ、そのボディを手に取り、新たな撮影スタイルを体感してもらいたい。(ITジャーナリスト・市川昭彦)

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