1年で3割安のメモリカード、首位争いはサンディスク独走から混沌の時期へ

特集

2009/09/16 10:52

 メモリカードの価格下落が急速に進んでいる。主流のSD/SDHCカードとmicroSD/SDHCカードの09年8月の税別平均単価は、前年同月に比べて32%以上下がり、容量別の平均単価を単純に比較すると現在1GBよりも2GBの方が安いという逆転状態だ。そんな中、07年から2年連続でメーカー別の年間販売数量トップを獲得したサンディスクのシェアが、08年後半から下降線を辿り、独走体制が崩れ始めている。ユーザーは、高価でも信頼性の高いブランド品と廉価な製品の間で揺れているようだ。

SDカード系は前年に比べて32%以上値下がり、1GBより2GBの方が安価



 09年8月のメモリカードの規格別の販売数量構成比をみると、主流はコンパクトデジタルカメラでお馴染みのSD/SDHCカードで48.1%。続いて多いのは携帯電話などで使えるmicroSD/SDHCカードで37.6%だった。この2つで80%以上を占めている。次にソニー製品に対応するメモリースティック系が9.6%で続く。


 一方、主要3規格の09年8月の税別平均単価(以下、同)をみると、それぞれ価格が大幅に下がっている。SD/SDHCカードは1574円で、前年同月に比べて32.4%下落、microSD/SDHCカードは1071円で32.8%下落した。メモリースティック系も2658円で27.8%下がっている。

 09年8月現在の状況を容量別にみていくと、SD/SDHCカードの1GBは1028円だが、容量が倍の2GBは1003円。microSD/SDHCカードの1GBは900円、2GBは842円で、読み書きのスピードなどの要因を考慮せずに比べると、1GBよりも容量が大きい2GBの方が安いという逆転現象が起きている。


 1GBあたりで割ると容量が大きい製品の方が断然割安。例えば、パナソニックのデータの読み書き速度が最大15MB/秒の製品で比べると、8GBの「RP-SDP08GJ1K」なら、09年8月は1GBあたり627.6円で、1GBの「RP-SDP01GJ1K」を購入するよりも704.7円もお得だ。最近はコンパクトデジタルカメラでもハイビジョン動画が撮れる製品が増えた。また、デジタル一眼レフでも対応製品が多くなってきている。ファイルの大きなデータを保存する際には、できるだけ大容量の製品を選んだ方が、後々追加購入するよりも経済的だろう。

パナソニックの「RP-SDP08GJ1K」と「RP-SDP01GJ1K」

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 ただし、メモリカードを選ぶ際には、容量だけでなく、データの読み書きスピードの確認も大切だ。SD/SDHCカードとmicroSD/SDHCカードのデータの読み書きスピードは、「SDスピードクラス」でチェックできる。「SDスピードクラス」とは、業界団体「SDアソシエーション」定めるデータ転送速度の基準で、「CLASS2」では2MB/秒、「CLASS4」では4MB/秒、「CLASS6」では6MB/秒、「CLASS10」では10MB/秒の最低転送速度が保証されている。動画で使う場合には、なるべく「CLASS6」以上のものを使用したい。

 なお、「SDスピードクラス」はSDHCカード、microSDHCカードでは表示が義務付けられているが、SDカード、microSDカードでは任意。記載されていない場合は、仕様表のデータ転送速度を確認して選ぼう。

サンディスク独走から3社トップ争いへ、ユーザーはブランドと価格で2極化



 メモリカードの価格下落が進む中、メーカーのシェア争いも激しさを増している。08年9月のメモリカードの販売数量シェアでは、21.0%と2位のパナソニックに9.9%の差をつけて1位を獲得したサンディスクだが、10月からシェアは下落傾向。09年4月には上昇に転じているものの8月の時点では16.3%。この1年で躍進したキングストンテクノロジーが2.1%差で背後に迫っている。そのほか、東芝もシェアを伸ばしており、09年8月には13.8%で3位まで上昇。サンディスクの独走体制は崩れ始め、現在この3社がトップグループを構成している。


 09年8月の上位5メーカーのメモリカード全体の1GBあたりの平均単価を見ると、特に廉価なのは、2位のキングストンテクノロジー、4位のハギワラシスコムの製品。キングストンテクノロジーは285円、ハギワラシスコムは212円と、ともに300円を下回っている。


 一方、価格が高めなサンディスクは、新規格「CLASS10」に対応し、世界最速の毎秒30MBのデータ読み取り・書き込みが可能なSDHCカードを09年8月に発売。パナソニックも「CLASS10」対応の製品をいち早く発売するなど、高速カードで差別化を図っている。とはいえ、サンディスクやパナソニックの販売数量シェアが下がり、低価格で対抗するキングストンテクノロジーやハギワラシスコムのシェアが上昇しているのは、消費者が「ブランドからくる信頼」と「価格」のどちらを重視するかに2極化している表れなのかもしれない。(BCN・武井美野里)


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