地上デジタルチューナーの売れ行きが好調だ。「BCNランキング」によると、06年1月を1とした販売台数指数で09年1月は5.9と3年間でおよそ6倍という大幅な成長を見せている。大手家電量販店の売り場状況を含め、地上デジタルチューナーの販売動向を探った。

一人暮らしの若い男性が購入 平均価格は1万円台前半




 地上デジタルチューナーは、アナログテレビと組み合わせれば地上デジタル放送が見られるようになる機器。同チューナーを搭載する薄型テレビやBDレコーダーを購入するよりも、安く導入できるのがメリットだ。チューナーの平均価格(税別、以下同)は08年2月に2万3000円前後だったが、09年1月には1万4000円前後と1万円台前半まで下落し、購入しやすくなってきた。なお、地デジを見るには、別途UHFアンテナを設置する必要がある。

 
 東京・千代田区のビックカメラ有楽町店では、1階の光回線のカウンターのそばに地デジチューナーの専用コーナーを配置。各種アンテナも近くに展示している。「ちょうど1年ほど前から購入する方が増えてきた」とビジュアルコーナー主任の関口篤さんは説明する。

(左)ビックカメラ有楽町店ビジュアルコーナー主任の関口篤さん
(右)左手前、地上デジタルチューナーのコーナー
 
 関口さんによると、チューナーを買っていくのは「一人暮らしをする20-30代の男性」。さらに、家族の個室用テレビとつなぐために購入する人も多いそうだ。いずれの場合も、「(アナログ放送が終了する)2011年には(地デジに対応する)テレビやレコーダーの価格がもっと下がっているはずなので、その時買うつもり。それまでは手持ちのアナログテレビを生かしたい」という思惑があるという。

1位はアイ・オー・データ機器、地デジ単体の「HVT-T100」が人気



 地デジチューナーのメーカーシェアを見てみると、それまで2位だったアイ・オー・データ機器(I・Oデータ機器)が08年8月以降、販売台数シェアを伸ばし続け、10月に43%を獲得し首位に立った。その後、40%前後で推移している。I・Oデータ機器が1位になった要因は、5月発売の地デジのみに対応する「HVT-T100」が人気を集めたため。8月の平均価格は1万3000円程度で、同月のチューナー全体の平均価格1万9000円を下回る低価格だ。

アイ・オー・データ機器の「HVT-T100」
 
 「HVT-T100」は電子番組表に加え、事前に時間を指定しておけば自動で番組が切り替わる「視聴予約」機能を備える。他社の製品と比べてチャンネルの切り替え速度が早いなど操作性にも配慮した。売れている理由について、同社広報は「機能を追求しながらも価格を抑えたため」と説明する。

 
 一方、それまでメーカーシェアで1位だったマスプロ電工は10月以降2位に順位を下げ、30%前後で推移する。ただ、販売金額を見ると、マスプロ電工が40%前後で推移し、1位をキープしている。I・Oデータ機器の売れ筋が「HVT-T100」に集中しているのに対し、マスプロ電工は地デジ専用のチューナーに加え、地上・BS・110度CSデジタルと複数の放送に対応するチューナーも売れている。こうした複数チューナーを搭載するモデルは単価が高いため、マスプロ電工は金額面で優位に立っているようだ。

 
 最後に、地上デジタル放送の特徴の一つ「電子番組表(EPG)」の対応状況もチェックしておこう。地デジは、このほか字幕表示、データ放送、双方向サービスなどの便利なサービスも備えており、対応製品を選べば、地デジチューナーでもこうした機能を利用できる。ただ、電子番組表に対応する割合は、09年1月で地デジチューナーの76.5%。1年前の08年2月の38.4%に比べると、対応モデルは増えてきているが、対応していないものもあるので注意しよう。

 薄型テレビやBDレコーダーの価格が軒並み下落して、以前よりは購入しやすくはなっているのは確か。とはいうものの、気軽に買えるような値段ではなくやはり高価な買い物、という印象が正直なところだろう。経済面を第一に考えるならば、選択肢として地デジチューナーを検討してもよさそうだ。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで123品目を対象としています。