拡大するミニノートPC市場、ついにノートPC市場全体で2割のシェアを獲得

特集

2008/10/08 19:50

 今年に入り、ノートPC市場に新たなジャンルが加わった。液晶ディスプレイサイズ7-8インチ、価格5-7万円ぐらいの、インターネット機能をメインとしたモバイルノートPC「ミニノートPC」だ。家電量販店のノートPC売り場でも、目立つところに特設コーナーが設けられ、今やノートPC界の花形となっている。「BCNランキング」データでミニノートPCの成長ぶりを追ってみた。

●ミニノートPC市場はどのように拡大したのか? 起爆剤はASUSの「Eee PC」

 ミニノートPCは、実は数年前から店頭に並んでいた。工人舎の低価格モバイルノートPCが主流で、サブPCとして購入するユーザーが多かったようだ。しかし、ノートPC市場全体で見ると、07年12月時点で1%にも満たない小さな市場だった。

 そこへ08年1月、ASUSTeK Computer(ASUS)が、7インチ液晶を搭載した4万9800円の低価格モバイルノートPC「Eee PC 4G-X」を発売。価格の安さが注目され、一気にブレイクした。(ノートPCの最新の機種別ランキングを見る

 「Eee PC」が登場した08年1月を基準に、販売台数指数の推移を追ってみた。ミニノートPC市場は08年2-5月にかけて、じわじわと上昇している。この間にASUSは初代「Eee PC」のパステルカラーモデルなどを投入しているが、他社の参入はなかった。そのため、市場はほぼASUSが独占している状態だった。


 ASUS以外のメーカーが参入するようになったのは08年6月以降のことだ。日本HPが8.9型ワイド液晶を搭載した5万円台のモバイルノートPC「HP 2133 Mini-Note PC」を6月上旬に発売。その後、各社の一斉投入が始まる。

 7月12日にASUSがEeePCの新モデル「Eee PC 901-X」を、8月中旬に日本エイサーが8.9インチ液晶を搭載した「Aspire one」を投入。夏が過ぎ、9月5日にデルが8.9インチ液晶の「Inspiron Mini 9」を、9月13日にASUSが8.9インチの「Eee PC 900-X」、7インチの「Eee PC 701 SD-X」を発売した。


 そのため、今年の夏はミニノートPCのシェアが一気に拡大、ヒートアップした。販売台数指数は7月に4.7、8月に5.7、そして9月には6.2まで上昇した。



●ノートPC市場の2割を占めるミニノートPC、液晶の大型化が進むか!?

 販売台数を伸ばし続けるミニノートPCだが、ノートPC市場全体ではどうだろうか。「Eee PC」発売前の07年12月と最新データの08年9月の月次データを比較してみた。

 07年12月のミニノートPCの販売台数シェアはわずか0.8%。それが08年9月には23.1%と、ノートPC市場全体でも2割も占める結果となった。一方、販売金額シェアは11.3%。安価なモデルが多いとはいえ、金額でもすでに1割を超えている。


 今後、ミニノートPCはどのような方向に進んでいくのだろうか。ASUSの日本地域担当 ゼネラル・マネージャーのケビン・ドゥ氏は「(Eee PCの)液晶サイズの大型化、ハイスペック化を進めていくつもりはない」としながらも「ユーザーのニーズがあれば(応じていく)」とコメント。市場の反応を見ながら柔軟に対応する方針を明らかにした。

 9-10月には10インチを越える低価格ノートPCを出すメーカーが続出している。こうしたモデルの売れ行きが今後のミニノートPCの行方を占うことになりそうだ。(BCN・山下彰子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで121品目を対象としています。