三菱、携帯電話の端末事業から撤退、メーカーシェア低迷も要因か

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2008/03/03 14:23

 三菱電機(下村節宏執行役社長)は3月3日、携帯電話端末事業から撤退すると発表した。83年の「自動車電話」で始めた事業だが、1月にNTTドコモから発売した「FOMA D705i」を最後に終止符を打つ。撤退にかかわる今期の一時損失は約170億円を見込む。なお、端末のアフターサービスや電池パックD06の回収に関しては継続すると同時に、端末販売の子会社、ダイヤモンドテレコムの事業は継続するとしている。


 撤退について同社は、市場が成熟化し需要が伸び悩む一方でユーザーの嗜好が多様化するなか、出荷台数も減少、「今後の業績改善を見通すことが非常に難しく」なった、と理由を説明している。また、BCNランキングでメーカー別の販売台数シェア推移を見ると、同社は、07年3月時点でシェア5.5%、8位のポジションにつけていた。しかしこの1年でカシオと日立に抜かれ、08年2月時点ではランキングは10位に後退、シェアも5%を割り込む低い水準で推移していた。こうしたシェアの低迷も一因と見られる。


 今後は「強い事業をより強く」の方針に基づき、携帯電話端末事業の経営資源を戦略的にシフトするとしており、NGN(Next Generation Network=次世代ネットワーク)関連機器、携帯電話基地局をはじめとする通信インフラ事業、監視カメラなどのセキュリティ事業、カーマルチメディア事業、FA(Factory Automation=生産システムの自動化)システム事業、鉄道車両情報通信システム事業等に、経営資源を振り向ける方針。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・約2300店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。