どうなる08年のノートPC、個性派マシンが4社激戦の構図を変えるか?

特集

2008/01/25 01:50

 1月下旬にはノートPC各社の春モデルがほぼ出揃うが、新モデルでは、2GBのメモリを内蔵する機種が一気に増え、ほぼ標準仕様になりつつある。07年、上位4社での激戦を勝ち抜いて年間トップシェアを獲得したのは東芝だったが、すでに個性的な製品が次々と登場つつある08年は果たして? 「BCNランキング」で最新動向をまとめた。

●標準メモリの容量はこの1年間で512MBから1GB、そして2GBへ

 07年1年で標準メモリ容量別の販売台数シェア推移を見ると、07年1月のVista発売を機に、512MBから1GBへボリュームゾーンが移った。512MBは、1月時点ではまだ71.9%を占めていたが、翌2月には53.9%にダウンし、さらに下がり続けて4月には1GBに逆転された。代わってトップに躍り出た1GBは月を追うごとに増え、12月には全体の88.8%を占めた。Windows Vistaのすべての機能を利用するには「1GB以上のメモリ」が必要。これが素直に表れた形だ。

 しかし、さらに大容量のメモリを搭載するモデルが増えてきた。各メーカーが07年12月以降に発売した08年春モデルの多くは、標準で2GBのメモリを内蔵するからだ。ノートPCの販売台数全体に占める2GBモデルの割合は、07年11月時点ではわずか0.9%に過ぎなかったが、東芝富士通が春モデルを発売した12月には前月の0.9%から4.6%に一気に上昇。08年1月は3分の2を過ぎた1日から20日までの累計で17.4%に達した。この勢いを見ると2GBメモリを搭載するモデルのシェアは、さらに増えそうだ。

●新旧入り混じったランキング 機種別ではやはり安価な1GBモデルが強い?

 それでは、直近のノートPC実売ランキングを見ていこう。08年1月第2週(08年1月14日?20日)で販売台数シェア1位を獲得したのは、NECの07年8月発売のスタンダードモデル「LL550/KG」。08年春モデルでは、富士通のFMV-BIBLO NFシリーズからCore 2 Duo搭載の上位モデルの「FMVNF70Y」が2位に、Celeron M搭載のエントリーモデル「FMVNF40Y」が5位に入った。ボディカラーはともにヴィーナス・ホワイト。なお、1位をはじめ、ランキング上位には旧モデルが残っているが、店舗によってはすでに販売を終了し、完全に春モデルに切り替わっているところもあるだろう。




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 さらに、07年12月以降に発売された新製品に絞ってみると、富士通の1位・2位に続き、東芝の「dynabook TX」シリーズの「PATX66ELP」が3位に、同「PATX65ELP」が4位に、NECの「LL370/LG」が5位という結果になった。1月19日発売のソニーの「VGN-NR51B」は8位につけている。春モデル限定トップ10のうち、メモリ容量2GBのモデルは「FMVNF70Y」「PATX66ELP」など4機種のみ。1GBと2GBの割合はほぼ半々だ。

 CPUやHDDの換装とは違い、メモリは自分で簡単に増設できるが、PC初心者や不器用を自認する人にとっては敷居が高い。店頭でノートPC用の対応メモリの価格を確認し、たとえば、同一メーカーの2GBモデルと1GBモデルの間にそれ以上の差があれば、1GBモデルを買ってメモリを増設した方が安上がりになる場合もある。必ずしも最新機種でなくてもいいのなら、どちらが得になるのか、販売店で相談してみるのもいいだろう。



●07年は上位3社がわずか1.3ポイント差の大激戦、さて今年は?

 最後に07年のメーカー別シェア推移を振り返ってみよう。年間でトップシェアを獲得したのは、低価格ながらコストパフォーマンスの高い「dynabook AX」シリーズが人気を博した東芝だった。シェアは21.7%。しかし、2位の富士通との差はわずか0.5ポイント、3位のNECとも1.3ポイントと大接戦を繰り広げた。月別のシェア推移を見れば一目瞭然だが、この上位3社にソニーを加えた上位4社がトップグループを形成し、毎月のようにトップが入れ替わる激しい戦いだったことがよく分かる。


 今年はノートPCにとってどんな年だろうか? 最薄部0.4センチとスリムなアップルMacBook Air」や、ノートPCではなく、モバイルインターネットデバイスと位置づけるASUSTeK Computerの「Eee PC」など、個性的なマシンが早くも登場している。08年は、こうしたユニークな製品がどんどん登場することに期待したい。(BCN・嵯峨野芙美)

*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。