携帯電話07年冬商戦は個性派がずらり、ユーザーが支持する人気端末はどれ?

特集

2007/12/26 15:50

 高性能で個性的なデザインの端末が多数発売され、例年にないにぎわいを見せている07年冬のケータイ商戦。魅力的な端末が多数ある中で、ユーザーは実際に何を選んでいるのか? 「BCNランキング」で人気機種を探った。どの端末を買えばいいのか、決めかねている人はぜひとも購入の参考にしてほしい。

●トップ3をドコモの「905i」シリーズが独占

 まずは「BCNランキング」の12月第2週(12月10-16日)の週次データで、カラーバリエーションを合算した販売台数シェアで携帯電話の売れ筋トップ10を見てみよう。1位を獲得したのはシェア6.6%でパナソニック モバイルコミュニケーションズの「P905i」(NTTドコモ)だった。


 「P905i」は、縦横両方に開ける「Wオープンスタイル」を採用し、ワンセグやフルブラウザを快適に使用できる。薄型テレビ「VIERA(ビエラ)」の高画質技術を携帯電話用に活用した画像処理回路「モバイルPEAKSプロセッサー」を搭載。ワンセグの映像を高画質で楽しめる。有効510万画素のカメラBluetoothなど、ワンセグ以外の機能も充実している。カラーは「ブラック」「ホワイト」「レッド」「ピンクゴールド」。

 2位にはシェア5.3%でNECの「N905i」(NTTドコモ)が入った。「N905i」はiモードのタブブラウザや、最大5つまでのページを一斉に開くことができるワンタッチマルチウィンドウを搭載。高速通信「HSDPA」を存分に生かす機能が盛り込まれている。キーは大型のPCライクキーで、メールも打ちやすい。NECのケータイでは初のワンセグ対応や、有効520万画素カメラなど機能にも注目が集まっているようだ。カラーが「レッド」「ホワイト」「ピンク」「ブラック」。

 3位はシェア5%でシャープの「SH905i」(NTTドコモ)。HSDPA対応、ワンセグ受信機能、GSMと3Gの国際ローミングに対応しながら、厚さがわずか16.9mm。機能とデザインのバランスが良い1台だ。カラーは「ホワイト」「ブラック」「ブルー」「ピンク」の4色。米ドルビー社が開発した携帯電話向けの音響技術「ドルビーモバイル」を日本の端末では初めて搭載した。ワンセグ使用時や音楽再生時に、臨場感溢れるサウンドが楽しめる。


 4位は日立製作所の「Wooo(ウー)ケータイ W53H」(auKDDI>)でシェアは4.4%。ワンセグ受信に対応する。有機ELディスプレイと、薄型テレビ「Wooo」の高画質技術を生かした画像処理回路「Picture Master for Mobile」を搭載。ワンセグ以外にも「おサイフケータイ」機能や有効197万画素のカメラなどを搭載しながら、薄さが14.2mmとスリムで持ち運びやすいことが支持されているようだ。カラーは「ジャパンブラック」「ノルディックホワイト」「ユーロパープル」で、1月下旬には「フレンチピンク」「アラビアンブラウン」の2色も追加する。

 シェア4.2%で5位はカシオ計算機の「EXILIM(エクシリム)ケータイ W53CA」(au<KDDI>)。カシオのデジタルカメラ「EXILIM」を冠するネーミングからもわかるように、有効515万画素のカメラ、手ブレ補正や35mmフィルムカメラ換算で28mmの広角レンズ、9ポイントAF(オートフォーカス)機能を備える。本格的なデジカメに迫る機能で、高い人気を誇る。高性能な端末だが07年の夏モデルで、価格が安くなっていることも人気を集める理由になっているようだ。


●売れ筋端末のキーワードは「高速通信」「ワンセグ+α」

 新機軸を盛り込んだハイスペック端末が多いのが、ケータイ冬商戦の特徴。今年発売した新商品からも、同様の傾向がうかがえる。

 ベスト10にランクインした端末には、いくつかの共通点があることがわかる。1つ目が「高速通信」だ。ドコモは「905i」シリーズで、下りの通信速度を大幅に向上させた3.5世代携帯電話サービス「HSDPA」を全機種に搭載した。ベスト10の中では、ドコモの「P905i」「N905i」「SH905i」「F905i」「N905iμ」がHSDPA対応端末だ。

 これまでも「WIN」シリーズで高速化を図っていたau(KDDI)も、上り速度が大幅に向上した「CDMA2000 1X EV-DO Rev.A」を採用した端末を年明け以降に投入する予定だ。ドコモと同じくHSDPAを採用するソフトバンクモバイルも、対応機種を増やしている。

 2つ目の共通点が「プラスアルファのワンセグ機能」。ワンセグは今や標準機能になりつつあり、受信だけでは端末の違いを打ち出せない。そこで携帯電話メーカーでは「高画質」や「視聴スタイル」など、ワンセグ受信プラスアルファのを提案することで、独自性をアピールしている。

 左右両方に端末が開く「Wオープンスタイル」と、薄型テレビ「VIERA」の高画質技術を搭載したパナソニックモバイルの「P905i」が1位を獲得しているのも、このような独自の機能がユーザーに支持されたからだろう。

 「Wooo」のブランドを使い、有機ELディスプレイや高画質化技術を前面に出した日立の「W53H」が4位にランクインしているのも同じ理由だと思われる。また、薄型テレビブランドが付いていない端末でも、ランキング上位の機種は、NECの「N905i」では高画質液晶、シャープの「SH905i」は「ドルビーモバイル」の高音質といったようにワンセグ機能に“ひと工夫”が盛り込まれている。

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●独特なデザインで高機能の「INFOBAR 2」、高画質でシリーズ最薄の「AQUOSケータイ 920SH」にも注目

 07年冬モデルではトップ10入りした端末以外にも個性的な機種が発売されている。ここではそうした注目機種をいくつか紹介しよう。

 「デザイン」で存在感を出しているのがシェア2.1%で15位の三洋電機の「INFOBAR(インフォバー) 2(W55SA)」(au<KDDI>)。プロダクトデザイナー・深沢直人氏がデザインした、au design projectの端末で、溶けた飴をモチーフにした、丸みを帯びたデザインが特徴だ。


 ワンセグに対応し、2.6インチワイドQVGAの有機ELディスプレイで高画質な映像を表示する。有効197万画素のカメラ、「おサイフケータイ」機能なども搭載、デザインだけでなく機能的にも高性能な端末に仕上げられている。第1弾の「INFOBAR」から人気は高く、販売開始早々に売り切れてしまう店も続出した。

 薄型テレビブランドケータイで先行したシャープのワンセグケータイ「AQUOS(アクオス)ケータイ」の最新モデルでは、ソフトバンクモバイル向けの「920SH」がシェア1.2%で27位にランクインした。ソフトバンクモバイルの端末ではトップの売れ行きだ。


 3.2インチフルワイドVGA液晶を搭載。テレビ同様の色調整ができる機能など、ワンセグの高画質機能に磨きをかけた。また、AQUOSケータイでは初の国際ローミングにも対応する。高性能な一方で、AQUOSケータイでは最も薄い18mmを実現した。

●市場はハイスペック高価格モデルと格安端末の二極化が進む

 ランキングを見ると、売れ筋端末が先にあげたキーワードに加え、「二極化」していることもわかる。1つは、端末価格は高いが、流行の機能をすべて搭載した端末。もう1つが、夏に発売された機種で、販売価格が新規契約で0円に近い端末だ。

 ベスト10にランクインした端末では、「905i」シリーズが流行の機能をすべて搭載した機種で、店頭価格は、どれも新規で5万円前後。一方、「W53CA」や「W53T」「W52SH」「SH704i」は、いずれも夏モデルで、店舗によって異なるが、0円や1円といった価格で販売されている。

 07年の冬商戦からは、ドコモやauが、一斉に新販売方式を導入した。昨年から実施されているソフトバンクの新スーパーボーナスも同じだが、これらの販売制度を利用すると、原則、2年以内で解約・機種変更をすると端末の購入金額が増える可能性がある。

 ユーザーも、こうした点を十分に理解している。“全部入り”端末を購入している人は多少の出費を覚悟しても、とりあえず現時点で機能的に不足がないハイスペック端末を選んでいるということだろう。

 一方、「電話やメールさえできればOK」というユーザーは「0円ケータイ」に目が向く。また、各社が新しい販売制度を導入し、一気に端末価格が上昇したため、安い1つ前の端末がニーズが余計に高まっているのかも知れない。

 ちなみに、高価格な機種では、「割賦払い」も重要なポイント。例えば、「905i」シリーズの場合、補助金が出ない代わりに月の基本使用料が安くなるコース「バリューコース」で買うと、分割払いが可能。12回か24回払いを選択すると、持ち帰り価格は店舗によっては0円。今まで以上に気軽に機種を買うことができる。

 事実、ドコモでは「12回払いや24回払いを選択している方がほとんど」(須藤章二・NTTドコモ営業本部販売部長)といい、多くのユーザーが割賦で端末を購入しているという。

 ハイスペック端末とローエンド端末の価格差が小さかったケータイ市場だが、新販売制度で“機能に見合う価格”が明確になった。また、新制度によって、ユーザーの購入ポイントに「価格」という項目が大きな要素になってきたのは確かだ。携帯電話は、「値段は横並びだから、とりあえず直感で機種を選ぶ」という時代は終わり、これからはシビアな目で端末選びをするユーザーが増えてくるだろう。(EYE's factory・石野純也)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。

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