ディープインパクトの強さと美しさが、HD DVDになって帰ってきた

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2007/06/12 15:04

 東芝と関西テレビは、京都競馬場で4月29日に開催された春の「天皇賞」会場で、HD DVDソフト「ディープインパクト?日本近代競馬の結晶?」の発売記念イベントを行った。今回、HD DVD搭載の新ハードディスクレコーダーが発表されたのを機に、長年競馬に親しみ造詣も深いフリーライターの久保隆氏が当日の模様をレポートする。

 東芝と関西テレビは、京都競馬場で4月29日に開催された春の「天皇賞」会場で、HD DVDソフト「ディープインパクト?日本近代競馬の結晶?」の発売記念イベントを行った。今回、HD DVD搭載の新ハードディスクレコーダーが発表されたのを機に、長年競馬に親しみ造詣も深いフリーライターの久保隆氏が当日の模様をレポートする。

 私は今年も、競馬ファンが「春天」と呼ぶ「第135回天皇賞」を観戦するために淀の京都競馬場に向かった。1年前、この場所で味わったあの興奮と感動を求めてである。主役はもちろんディープインパクト。しかし、今年の天皇賞は、昨年の3歳クラッシック2冠馬・メイショウサムソンはいても、主役不在といわれ混沌としていたため、前年に比べて相当の入場者減が予想されていた。重苦しい足取りで競馬場に足を踏み入れた。



 すると、正面玄関を入り右側の「陽だまり広場」につくられた特設ブースに人だかりができている。なにかイベントをやっているようだ。よく見ると「ディープインパクト HD DVD発売記念」の文字が目に飛び込んできた。昨年のクリスマスイブ、圧倒的な強さで有馬記念を制し惜しまれつつ引退したディープの映像ソフトだ。まさかもう一度、ここで彼に出会えるとは思わなかった。

 ソフトの再生が始まると、ブース前にはどんどん人が集まってくる。参観者のみんなは昨年の興奮を忘れてはいなかったのだ。その上、1時間ごとに行うクイズに正解すると、ディープのグッズがもらえるとあって、開始前から長蛇の列。正解者には、昨年の天皇賞馬、ディープインパクトの「拡大単勝馬券レジャーシート」が贈られ、ファンは大喜びだった。

 クイズは、従来のDVDとHD DVDの両映像を見比べて、高画質である方を当てるというもの。私も参加したが、明らかに画質も音質も違っているのが分かる簡単なものだ。クイズの参加者に感想を聞いてみたところ、ディープインパクトのレースの余韻も手伝ってか、画質の素晴らしさを興奮気味に話す競馬ファンが目立った。



 今回のソフトの企画・制作を担当した関西テレビ・クロスメディア事業局の山岡重行氏にディープインパクトを題材にしたHD DVDの制作にまつわる話を聞いてみた。CMにも登場する独特の言い回し「私の夢は……」という競馬中継のアナウンサーとして知られる杉本清さんは山岡さんの大先輩。以前彼はこう話していたらしい。「テレビが白黒からカラーに変わった時、一番反響があったのは実は競馬だった」。競馬場に足を運ぶ機会がなかった人は、画面を通じて馬の強さだけでなく、その美しさに驚いただろう。実は、カラーテレビの普及に競馬は相当貢献していたというのには驚かされた。

 テレビ局内には収録した競馬のレースは数多くあり、90年のG1レースからハイビジョンで収録されているという。ただ、「その素晴らしい映像を生かす機会がなく、残念でしかたなかった」(山岡さん)とのことである。そして、HD DVDソフトとして、ようやく将来に向けて、その映像が日の目を見ることになったのである。

 緑のターフ、カラフルな勝負服、馬の美しさはもちろん筋肉の凹凸までHD DVDソフトでは、より鮮明に体感することができる。制作に関する辛かったこぼれ話を引きだそうと考えていたが、制作は楽しくてしかたなかったそうである。なぜなら、「こんな素晴らしい映像が市場に出ることにワクワクしてるから」(山岡氏)だそうだ。

 観たくても見られなかった映像がいつでも鮮明な画像で観られる時代が到来したといえる。競馬ファンの年代に関係なくAV機器の好きな方には朗報だろう。正直、映像にあまり関心のなかった私。普段競馬場に来てリアルに競走馬を見る「現場主義」を信条としていたのだが、その画像の綺麗さを痛感した。また、このソフトを観て、「ディープインパクトの強さしか知らなかった」と反省させられた気がした。レース後の馬の色つや、澄んだ瞳、改めてディープインパクトの美しさが映像を通して思い出された。自分だけの宝物としてずっと保管しておきたいと感じだ。

 今回のメモリアル映像集は、HD DVDの競馬ソフトとしては世界初の発売となる。もちろん日本中が注目したディープインパクトが出走したフランスの「凱旋門賞」を含む、すべての出走レースを収録。さらに、俳優の緒形直人さんが、ディープインパクトの父であるサンデーサイレンスや母のウインドインハーヘアの故郷を訪ね、血統的背景を辿るレポートまで収められている。こんな素晴らしいソフトを生かせるのは、臨場感溢れる迫力の高画質・高音質のHD DVDならではだろう。

 このほかにも、勝ち馬のレース中の位置取りを表示する「ディープポインター」、本編再生中に別アングルの画像をサブ画面で表示する「ピクチャーインピクチャー」、血統表・出馬表などを呼び出す「ポイントアップメニュー」など、さまざまな機能が盛り込まれている。光と陰のコントラスト、圧倒的な高画質の映像を前に、15年以上続ける競馬ファンとしては最高の幸せである。今回のイベント参加者からも、「歓声や蹄音も鮮明で、しかも見やすい」「数字がクッキリと見える」など、音と映像への高い評価が聞かれた。

 東芝の広報担当も予想以上の人の多さに、終始笑顔で参加者を見守っていた。家電量販店で購入したいとの声も多かったようだ。東芝では「こうした体感イベントを、今後も企画したい」としている。(フリーライター・久保隆)