多くの企業や学校の年度が切り替わる春は、年末年始と並んでパソコン販売が活発になる季節。なかでも店頭の約7割の台数を占めるノートPCはパソコン全体の販売動向を大きく左右する。Windows Vistaが発売され、ノートPCにも新しい流れが出てきたようだ。そこで、「BCNランキング」から最新の販売動向と、約5年ぶりの新OS「Windows Vista」の登場が与えた影響を探った。

 多くの企業や学校の年度が切り替わる春は、年末年始と並んでパソコン販売が活発になる季節。なかでも店頭の約7割の台数を占めるノートPCはパソコン全体の販売動向を大きく左右する。Windows Vistaが発売され、ノートPCにも新しい流れが出てきたようだ。そこで、「BCNランキング」から最新の販売動向と、約5年ぶりの新OS「Windows Vista」の登場が与えた影響を探った。

●Vista登場以降も主流は低価格ホワイトノート

 まずは、最新の07年3月第3週(07年3月19日-25日)の「BCNランキング」から、ノートPCの機種別販売ランキングを見てみよう。


 1位は、モデルチェンジのたびにランキング上位に食い込む東芝の「dynabook AXシリーズ」の「PAAX55ALV」がシェア9.0%で初のトップを獲得。前週1位だったNECの「LL550/HG」は2位、前週2位だった富士通の「FMVNF40U」は3位にそれぞれ後退した。以下、NECの「LL750/HG」、富士通の「FMVNF50U」と続く。基本機能に絞ったソニーの新シリーズ「VAIO type N」の「VGN-N50HB」は一歩及ばす、シェア3.3%で8位だった。


 1月30日のWindows Vista発売以降、「BCNランキング」の週次データで1位を獲得したのは、「Windows Aero」などVistaならではの機能に対応した上位エディション「Home Premium」をOSに搭載した「LL550/HG」と、それらに非対応の「Home Basic」を搭載した「PAAX55ALV」「LL550/HG」の3機種。1月最終週(1月29日-2月4日)から2月最終週(2月26日-3月4日)までは、富士通の「LL550/HG」の独走だったが、3月以降、週ごとに1位が入れ替わる混戦状態になっている。

 OSのエディションと搭載メモリの容量を除くと、上位3機種のスペックはほぼ共通。いずれも15.4型ワイド(15.4インチワイド)の液晶ディスプレイを搭載し、10万円台前半で買える「白いノート」だ。上位10位までを見ても傾向は同じ。本体カラーは7位のNEC「LL370/HD」を除いてすべてホワイト系で、CPUはほとんどが廉価な「Celeron M」だった。新しいOSが登場しても、性能より価格や実用性重視の流れは変わっていない。

 以前多かった黒やシルバー系に比べ、女性ユーザーを意識した白いノートが並ぶ売り場は華やかで明るいが、肝心のPC本体はどれも同じように見えてしまう。それだけに、OSのエディションをはじめ、メーカーや同一シリーズのモデル間の性能面での違いをしっかり把握した上で選びたい。

●15.4型ワイドの地デジ対応ノートに注目 Vista登場後にシェア倍増

 06年秋冬モデルと同様の低価格ホワイトノートの人気が続く一方で、主要なスペックごとに切り分けて見ていくと、若干の動きも見られた。

 まず注目は、地上デジタルチューナーを搭載し、地上デジタル放送(地デジ)を視聴できるテレビ機能付きのAVノート。なかでも画面サイズが「15.4型ワイド」のスタンダードモデルが伸びている。

 地デジ対応ノートPCの割合は、Vista発売第1週目の1月最終週の時点では、ノートPC全体の販売台数のわずか2.8%に過ぎなかった。しかし、その翌週には 4.2%に拡大。さらに2月第2週(2月12日-18日)には5.1%まで上昇し、その後も直近週まで5%前後で推移している。それとほぼ反比例するかたちで、地上アナログチューナーのみ搭載したアナログ専用モデルは減少。3月第3週は0.7%まで下がった。テレビ機能付きノート自体がニッチな市場とはいえ、Vista効果があったのは間違いない。


 地上アナログやワンセグも含めたテレビチューナー搭載モデルの機種別販売台数シェア1位は東芝の「PQF3083ALP」、2位はソニーの「VGN-FT53DB」。また、3位と4位には、ソニーと富士通のワンセグ対応モデルが入った。デスクトップPCのように大容量HDDを内蔵できないノートPCは、録画よりもリアルタイムでの視聴向き。自分の部屋などでテレビ代わりに使うなら「地デジ」、作業をしながら見るなら「ワンセグ」がベストだ。




 ちなみに、3月第3週の液晶画面サイズ別シェアは、15.4型ワイドが2位以下を大きく離して76.0%で1位。2位はソニーやアップルの一部機種のみで採用されている13.3型ワイドで8.1%、3位は14.1型ワイドで3.7%だった。


 一方、約半年前の06年7月第1週(06年7月3日-7月9日)の時点では44.4%の高いシェアを持ち、サイズ別で1位だった15型は、直近週では4位の2.8%。15.4型ワイドは、採用メーカーが増えた06年秋から増加に拍車がかかり、06年9月最終週(06年9月25日-10月1日)に初めて5割を突破。Vista発売以降も緩やかに伸び続け、ここ3週間は7割を超えている。おそらく15型のほとんどはWindows XP搭載モデルと見られ、在庫がはければ、ワイドタイプが完全にスタンダードになるだろう。

●デュアルコアCPU搭載モデルがWindowsでもようやく一般的に

 地デジ対応ノートと同じくVista発売を機に伸びたのが、インテルの最新デュアルコアCPU「Core 2 Duo」を搭載したモデル。こちらは1月最終週の時点で、前週の7.6%から14.3%に一気に増加。その後も15-17%の高い水準を維持している。画面サイズ別に見ると、やはり15.4型ワイドが伸びており、モデルチェンジにともなう搭載機種の拡大が要因のようだ。


 「Core 2 Duo」は、1つのCPU内に2つのコアを内蔵したデュアルコアCPUの一つで、複数のアプリケーションを同時に動作する場合などに高い能力を発揮する。06年にはすでにCPU単体や搭載モデルが発売されていたが、最近、テレビCMや交通広告で目にして初めて知った人も多いかもしれない。

 Core 2 Duo搭載モデルの機種別販売台数シェア1位は富士通の「FMVNF70U」、2位は東芝の「PATX67ALP」、3位はアップルの「MacBook(MA700J/A)」だった。1位と2位のOSは「Windows Vista Home Premium」で、ともに1GBのメモリを内蔵する。


 アップルは昨年秋のモデルチェンジで、ノートブック型の全モデルに「Core 2 Duo」を採用。エントリー向けの「MacBook」でも、10万円台前半の一番安いモデルからデュアルコアCPUを搭載する。Windows PCでもようやく搭載モデルが増え、価格もこなれてきたが、「MacBook」のコストパフォーマンスの高さには及ばない。アップルによると、Core 2 Duoを搭載して以来、販売はかなり好調という。「MacBook」は、2001年に登場した元祖ホワイトノート「iBook」の後継機。良いものは各社とも相互に取り入れるのが常なので、やがてWindowsPCでも、Core 2 DuoをはじめとするデュアルコアCPU搭載モデルが一般的になるだろう。

 全体的にはWindows XPモデルの年末商戦時と、売れ筋はほとんど変わっていないという印象。普及が進み、新規購入より買い替えが中心といわれる成熟した市場が反映されているようだ。Windows Vistaには、携帯電話のようにノートPCの天板にサブディスプレイを装備し、その液晶画面で予定表や新着メールの有無などを確認できる機能「Windows Vista SideShow」も備わっている。まだASUSTeKしか対応製品を発表していないが、気になる機能だ。このほか、あっと驚く斬新なデザインや、女性でも楽に持ち運べる超小型モバイルノートなど新コンセプトのモデルが出てくれば、ランキングは面白くなりそうだ。各社の今後に期待したい。(WebBCNランキング編集部・嵯峨野芙美)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販など21社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。