日立とKDDI、au携帯電話で「ミューチップ」を読み取る小型リーダー

ニュース

2006/09/27 20:49

 日立製作所とKDDIは9月27日、Bluetooth内蔵のau携帯電話に装着して、世界最小クラスのRFID「ミューチップ」の読み取りができる携帯電話用ミューチップリーダー「HE-MU380-SH11」を共同で開発したと発表した。10月2日に発売し、価格は8万4000円。主に流通業や製造業けに販売する。受注生産で標準納期は5か月程度。07年3月1日から出荷を開始し、さまざまなソリューションも提供する。KDDIは、動作・制御に必要なau携帯電話の供給と、携帯電話用アプリケーション開発に関する各種技術サポート

 日立製作所とKDDIは9月27日、Bluetooth内蔵のau携帯電話に装着して、世界最小クラスのRFID「ミューチップ」の読み取りができる携帯電話用ミューチップリーダー「HE-MU380-SH11」を共同で開発したと発表した。10月2日に発売し、価格は8万4000円。主に流通業や製造業けに販売する。受注生産で標準納期は5か月程度。07年3月1日から出荷を開始し、さまざまなソリューションも提供する。KDDIは、動作・制御に必要なau携帯電話の供給と、携帯電話用アプリケーション開発に関する各種技術サポートを行う。

 「HE-MU380-SH11」は、携帯電話に装着できるほど小型・軽量化したのが特徴。携帯電話用アタッチメントでau携帯電話に装着し「ミューチップ」にかざすと、読み取った「ミューチップ」の情報をBluetooth通信でau携帯電話に伝送する。携帯電話と分離して使用することもできる。携帯電話向けソフトウェア実行環境BREWのアプリケーションから利用でき、各種用途へ適応が可能。

 使用周波数は2400-2483MHz±50ppm・1MHz20波、外部インターフェイスはBluetoothのみ。電源は単4形Ni-MH電池×2または単4形アルカリ乾電池×2。アタッチメントを除いた本体サイズは幅49.5×長さ106×高さ16mm、重さは75g。発表会で使われていたau携帯電話「W32T」のほか、Bluetoothを搭載したBREW対応モデルが利用できる。

 「ミューチップ」は、それぞれに固有の128bit(10進法で38桁)のID番号が書き込まれているため、au携帯電話の画面上にこのIDと紐付けられた情報を表示したり、サーバーなどへネットワークを介してアクセスし、履歴を残すことなどが可能。また、読み取った「ミューチップ」の情報を、au携帯電話の位置確認機能と連携させ、読み取った地点の位置情報を含めてセンターにあるサーバーに登録することもできる。

 携帯電話と融合したことで、屋外や移動先、巡回中など、場所・時間を問わずに「いつでも、どこでも」利用可能。au携帯電話のネットワークが利用できるため、現場に新たにネットワークインフラを敷設する必要なないなどのメリットがある。さらに、GPS、カメラ、ブラウザ、音声など形態電話の多様な機能との連携も図れる。

 日立は、125のメニューに体系化した「日立トレーサビリティ・RFIDソリューション」を提供しているが、記者発表会の席上、情報・通信グループ、トレーサビリティ・RFID事業部の井村亮事業部長は「携帯電話とRFIDの融合が生み出す高付加価値ソリューションの開発・提供と製品・サービスのバリエーションを拡充することでニーズ対応力を強化したい」と述べた。

 また、KDDIの技術統轄本部 技術開発本部の渡辺文夫本部長は「ユビキタス情報社会の到来に向け、ICタグリーダーを搭載した携帯電話の試作や各種の実証実験を進めてきた。さらに『携帯電話番号ポータビリティ』の開始をひかえ、au携帯電話の付加価値機能の拡充やビジネス向けソリューション強化することで、法人市場をさらに開拓していきたい」と語った。

 日立では、農・畜産物や流通・小売業界でのトレーサビリティをはじめ、物品管理・入退室管理などで、今回の携帯電話用ミューチップリーダーを適用したさまざまなソリューションを提供していく。

 活用例として、「レール敷設/保線管理システム」や「ドライバー配送支援システム」「ICタグ連動商品購入決済サービス」が挙げられる。「レール敷設/保線管理システム」は、ミューチップとGPS情報を組み合わせた地点管理システム。電車のレールなどの横に打ち込んだミューチップ内蔵の杭を読み取ることで、メンテナンス対象箇所の特定が正確にできる。また、ビルのセキュリティや防犯のセンシングへ応用するといったニーズもあるという。「携帯電話用ミューチップリーダーは3年間で1万台の販売を目指す。携帯電話とRFIDの融合ソリューション事業は3年間で累計100億円の売上を狙う」(日立・井村事業部長)。

 今後、両社は、ICタグと携帯電話を融合させた技術やソリューションの開発・提供を進めていくほか、お互いの販売チャネルを活用し、販売を拡大していく。