1万円前後が売れ筋のスキャナ専用機、シートフィーダー付き高級機も人気

特集

2006/09/25 23:30

 紙焼き写真や新聞の切り抜き、名刺などをきれいにPCに取り込むには、スキャナを使うのが最適。最近では、複合プリンタに搭載したスキャン機能が活躍する場面も増えてきた。おかげですっかり影が薄くなった感のあるスキャナ専用機。しかし、専用機には便利な機能が盛りだくさん。厚みのある原稿を簡単に読み取ったり、PDFファイル機能やOCR機能などが充実している機種が多い。またシートフィーダー付きの高機能機も人気だ。そこで「BCNランキング」でスキャナの売れ筋を探る。

 紙焼き写真や新聞の切り抜き、名刺などをきれいにPCに取り込むには、スキャナを使うのが最適。最近では、複合プリンタに搭載したスキャン機能が活躍する場面も増えてきた。おかげですっかり影が薄くなった感のあるスキャナ専用機。しかし、専用機には便利な機能が盛りだくさん。厚みのある原稿を簡単に読み取ったり、PDFファイル機能やOCR機能などが充実している機種が多い。またシートフィーダー付きの高機能機も人気だ。そこで「BCNランキング」でスキャナの売れ筋を探る。

●1万円前後のエントリー機が好調



 「BCNランキング」06年9月第3週(9月11日-17日)で1位にランクインしたのは、販売台数シェア17.6%のキヤノン「CanoScan LiDE 70」。9月発売のエントリーモデルで、実売は1万円程度。独自の「LIDE(ライド)」技術を使ったCIS方式の薄型・軽量タイプだ。ACアダプタ不要のUSBバスパワーで動作する。同梱のスタンドを利用すると立て置き状態でもスキャンできるのが特徴。解像度は2400dpi。「方向検知/自動補正」や「裏写り補正」機能など、PDFの作成機能を強化した。さらに、辞書などのスキャンに効果的な「とじ部影補正」、色あせ、色かぶりした画像の彩度(色の鮮やかさ)や色調を手軽に補正できる機能も備える。

 2位は、エプソン「ColorioScanner GT-S600」で、シェアは12.4%。実売1万2000円前後のエントリーモデルでCCD方式を採用したのが特徴。CCDやモーターを小型化することで、CIS方式に迫る薄型のきょう体を実現した。光学解像度は3200dpi。スキャンした書類をワンプッシュで簡単にPDF保存することができる。さらに、PDFファイルにOCR結果のテキストデータを埋め込むことで保存後のキーワード検索を可能にする「テキスト付きPDF」の出力も可能。また、横開きの薄型タイプのデザインを採用し、設置スペースと使い勝手にも配慮。原稿カバーは新開発ヒンジの採用し180度の角度まで横に開くため、厚みのある書籍でもしっかりスキャンできる。

●金額ベースで最も売れているのはPFUのシートフィーダー付き両面スキャナ

 キヤノンでは9月上旬に「CanoScanシリーズ」のラインアップを一新。ランキングの順位も大きく入れ替わった。シェア9.5%で3位の「CanoScan 4400F」とシェア7.4%で5位の「CanoScan LiDE 600F」も新製品だ。

 「CanoScan 4400F」は、4800dpi・48bitの高速読み取りが可能なCCD読み取りタイプ。フィルムスキャンン機能もあり、35mmフィルムを6コマまで連続してスキャンできる。「CanoScan LiDE 600F」は「CanoScan LiDE 70」と同じCIS方式を採用で、解像度が4800dpi。縦/横/平置きなど3通りの設置形態を選ぶことができる「3Wayポジション」に対応。独自の2段ヒンジにより、180度にフルオープンできるほか、原稿台カバーを最大24mmの高さまで持ち上げて使用可能。



 シェア9.5%で同じく3位にランクインしたのは、トップ10の中で唯一のシートフィードタイプ。PFUのコンパクト両面カラースキャナ「ScanSnap S500」だ。ワンプッシュでスピーディー・簡単に紙の文書を電子化できるのが特徴。富士通・富士通研究所が開発した高精度文書検索が可能な「カラー文書認識技術」の搭載で、OCR認識率を向上させている。付属するPDF整理・閲覧ソフト「ScanSnap Organizer」で、検索が可能となるPDFファイルにも自動変換できる。直販価格は4万9800円。他の上位3機種とは違って値の張る機種だけに、金額ベースの販売シェアでは、トップの19.7%を占めた。

●エプソンとキヤノンの激しいトップ争いを尻目に独自路線のPFU



 ここで、メーカー別の販売台数シェア推移をみてみよう。エプソンとキヤノンの2強がシェア45%のあたりで激しい首位争いを繰り広げている。エプソンが新製品を発売した7月には、シェア51.8%にまで引き上げた。しかしキヤノンは、9月発売の新製品で盛り返しそうな勢い。まだまだこの混戦は続きそうだ。一方販売台数シェア1ケタ台の3位でわが道を行くPFU。台数ベースでは上位2社の戦いに絡むことすらできていないのが現状。しかし販売金額でのシェアをみると8月で17.2%を占め、1位エプソン(49.5%)、2位キヤノン(31.3%)との差がかなり縮まる。業務用スキャナでの世界的実績を武器に価格競争にも巻き込まれずに、市場を着実に拡大しつつあるようだ。スキャナ市場では、エプソン・キヤノンの2台メーカーに加え、PFUの動きからも目が離せない。