次から次へと発生するウイルスなどに素早く対応するには、セキュリティソフトの「売り切り」は割に合わない。そのためユーザーから1年ごとに更新料を徴収してサービスを維持していく、というのがこれまでの常識だった。しかし、その常識を覆すソフトが登場。話題を呼んでいる。さらに格安の複数年契約をはじめライセンス数の複数化など、さまざまな販売形態をとりながら各社ともユーザー獲得に躍起だ。そこで、「BCNランキング」での売れ筋を検証しながらセキュリティソフトの新しい流れを見てみよう。

 次から次へと発生するウイルスなどに素早く対応するには、セキュリティソフトの「売り切り」は割に合わない。そのためユーザーから1年ごとに更新料を徴収してサービスを維持していく、というのがこれまでの常識だった。しかし、その常識を覆すソフトが登場。話題を呼んでいる。さらに格安の複数年契約をはじめライセンス数の複数化など、さまざまな販売形態をとりながら各社ともユーザー獲得に躍起だ。そこで、「BCNランキング」での売れ筋を検証しながらセキュリティソフトの新しい流れを見てみよう。

●やはり強いシマンテックの「Norton」

 まず「BCNランキング」06年7月第4週(7月24日-7月30日)のデータで売れ筋を見てみよう。1位がシマンテックの「Norton Internet Security 2006 キャンペーン版」で販売本数シェアは26.3%。発売以降トップ走り続けている人気ソフトが今週も1位を獲得した。キャンペーン版とは、同社が10月末まで展開している、ワンセグチューナー搭載DVDプレーヤーやスーパーマングッズが当たる、というキャンペーンパッケージ。ウイルス/スパイウェア対策ソフト「ノートン・アンチウイルス」と不正侵入や個人情報の流出を防止する「ノートン・パーソナルファイアウォール」を組み合わせた製品だ。

 2位はトレンドマイクロの「ウイルスバスター2006 インターネットセキュリティ 1ユーザ」で、シェアは17.2%。こちらも人気の定番商品だ。フィッシング詐欺対策のほか、ファイル交換ソフトWinnyを介して感染を広げるコンピュータウイルス「Antinny(アンティニー)」にも対応した総合ウイルス対策を盛り込んでいる。



●年間更新料ゼロの「ウイルスセキュリティZERO」好調、2台用、3台用も

 販売本数シェア14.7%で3位にランクインしたのが、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」。ソースネクストが7月6日、「年間更新料0円の無期限セキュリティソフト」として発売した新製品だ。価格は3970円で、従来の年間課金をとりやめ、一度購入すれば対応するOSの公式サポート終了まで継続して使用できる形態を採用したのが特徴だ。発売直後から3位を獲得。さらに「ウイルスセキュリティZERO」は、2台用が6位に、3台用が10位にそれぞれランクイン。出だしは好調だ。

 「ウイルスセキュリティZERO」の発売でソースネクストは、「販売本数は前月の2.4倍、販売金額は4.4倍。特に2台用、3台用といった複数台数版が売れている」(小嶋智彰ウイルスセキュリティ担当プロデューサー)としている。また要因については、「今まで複数のPCを持っていても、1台にしか対策ソフトをインストールされていなかったユーザーが、ZEROをきっかけに全てのPCに導入している」(同)からだと分析する。

 ここで、メーカー別の販売本数シェアの推移を見てみよう。これまで、比較的安定していたメーカーの力関係が大きく変わってきた。シマンテックのトップは変わらないものの、以前は45%強あった販売本数シェアが「ウイルスセキュリティZERO」の発売週には38.6%に下落。一方、これまでシェア14%前後でシェア3位だったソースネクストは27.5%にシェアを大きく伸ばし、トレンドマイクロを抜いて2位にまで急上昇。そのトレンドマイクロも、一旦シェアを落としたがじわじわとシェアを回復しつつある。7月第4週のデータでは、シマンテックが38.3%、ソースネクストが26.7%、トレンドマイクロがシェア24.3%と上位3社の差は徐々に縮まってきた。



●複数年契約やダウンロード限定版など販売方法も多様化で新しい風

 今や、複数のPCがある家庭は珍しくない。1人1台化が進むなか、複数のアカウントをまとめて割安に買えるマルチアカウントの製品も売れている。そこで、販売本数にライセンス数を掛け、「ライセンス数シェア」を算出してみた。すると、シマンテックが36.4%、ソースネクストが31.3%、トレンドマイクロが22.4%と、上位3社の差はますます縮まってくる。ランキング上位には入ってこないが、3台用や5台用のといったマルチパッケージ版が好調に推移しているのが要因のようだ。



 また、ソースネクストでは、直販サイトで限定販売している50台、100台用版の販売状況について「試験的な試みだが、予想以上のニーズに驚いている」(同)としており、「ライセンス数」で見る限り、首位攻防戦は水面下ですでに始まっていると見てよさそうだ。

 パッケージ版以外にもダウンロードでの購入も多いセキュリティソフト。「更新は手軽にできるダウンロードで」というユーザーも多いだろう。トレンドマイクロは「ウイルスバスター2006 インターネット セキュリティ」の2年版、3年版といった新規複数年版を7月7日に発売、販売形態はダウンロードのみだ。また、キングソフトもダウンロード提供のみ。年間980円、5年間で3480円と格安の数年契約サービスなどで日本市場に参入した。各社とも、さまざまな形態の製品でユーザーの獲得を狙っている。セキュリティソフトには今「新しい風」が吹きはじめているようだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。