小さなきょう体に、異なる規格のメモリカードがいくつも刺さるメモリカードリーダー・ライター(カードリーダー)は、PCユーザーにとってすっかりおなじみの製品になった。1台で10種類以上ものメモリカードの規格に対応するために、メモリの厚さに合わせてあちこちにそれぞれの形で開けられたスリットは、実に「お得感」があふれる「日本的」造形でおもしろい。しかし、いざ買うとなると同じような製品が多く、一体どれを買えばいいのやら……。そこで、「BCNランキング」で売れ筋と最近の傾向をまとめた。

 小さなきょう体に、異なる規格のメモリカードがいくつも刺さるメモリカードリーダー・ライター(カードリーダー)は、PCユーザーにとってすっかりおなじみの製品になった。1台で10種類以上ものメモリカードの規格に対応するために、メモリの厚さに合わせてあちこちにそれぞれの形で開けられたスリットは、実に「お得感」があふれる「日本的」造形でおもしろい。しかし、いざ買うとなると同じような製品が多く、一体どれを買えばいいのやら……。そこで、「BCNランキング」で売れ筋と最近の傾向をまとめた。

●主流はやはり複数のカードが読める「マルチタイプ」

 カードリーダーにはいくつかの種類があるが、現在では、複数のメモリカードに対応した「マルチタイプ」が一般的だ。一方で、対応メディアが1種類のみの「専用タイプ」もある。販売数量の割合は「マルチタイプ」が69.1%でほぼ7割、「専用タイプ」は30.9%と、マルチタイプに人気が集まっている。

 なかでもなじみ深いのは、パソコンとUSBケーブルで接続する外付け型と、ノートPCのカードスロットに挿入して使用するPCカード型の2種類で、複数のメモリカードに対応するマルチタイプだろう。そこで、これらのタイプについて「BCNランキング」6月の月次データで売れ筋を見てみよう。

 なお「BCNランキング」には、デスクトップPCにメモリカードスロットを増設するための「内蔵」タイプもあるが、一般的なカードリーダーとは若干異なる製品であるため、今回の集計からは除外した。

●バッファローとエレコムがデッドヒート、注目は伸び率高いI・Oデータ

 マルチタイプカードリーダーの販売台数シェア1位は、バッファローのUSB2.0カードリーダー/ライター「MCR-C8/U2」だった。発売は04年6月と約2年も前だが、06年に入っても常に1位・2位のポジションを守り、シェア1%未満の製品が大多数を占める激戦のなかにあって10%近いシェアを確保している。持ち運び時と収納の両面を考慮し、旧モデルより大胆に小型化したのが特徴。小型化の流れはカードリーダー全般のトレンドとなっているようで、数年前のものと比べると驚くほど小さくなり、デザインも洗練されてきた。


 2位には、松下電器産業のSD/miniSDカード用USB2.0リーダーライター「BN-SDCGP3」が入った。マルチタイプに分類されているものの、SDメモリカードとminiSDカード、マルチメディアカードの3種類のメディアしか使用できず、「ほぼSD専用」の異色派。SDとminiSDカード使用時は、著作権保護機能にも対応する。

 3位から10位までは、1位同様、多くの規格に対応するスタンダードなモデルが続いた。メーカー別では、I・Oデータ機器が3製品で最も多く、05年12月発売の「USB2-C8RWG/W」が3位に、本体デザインと対応規格が異なる「USB2-W12RW」、3位の色違いブラックモデル「USB2-C8RWG/B」が10位にランクインした。



 メーカー別では、20%超のシェアで拮抗する1位バッファローと2位エレコムがきわどい戦いを続けている。10%前後の水準で争う第2集団はI・Oデータ、サンワサプライ、グリーンハウスという状況。ここでの注目はI・Oデータ。05年6月時点では5.0%だったが、この1年でシェアを倍増させ、06年4月には10%の大台を超えた。6月はシェアを落としたが、9.9%でバッファローとエレコムの1位グループに続いて3位につけている。同社では、この躍進の理由について、3位と10位に入った同社のフラグシップモデル「USB2-C8RW」シリーズの好調が要因と分析している。

 なお、PCカード型は、バッファローの「MCR-5A」の13位が最上位だった。PCカード型は、カードリーダー全体のわずか6.0%に過ぎず、USB接続の外付け型が58.3%と多くを占める状態。絶対数が少ないこともあり、上位には食い込めなかった。


●トップ10では13規格対応製品が最多、14、11、10規格が続く

 ここで、上位10位までの製品の対応規格数について詳細に見ていこう。メーカーが謳う「対応メディアの数」は、必ずしも同じ基準での対応数ではない。例えば、メーカーによって、バージョンの異なる同一規格のメモリカードをカウントしたりしなかったりと、ばらつきがある。

 そのため、基準を統一する目的で編集部では「対応メディア数のカウント方法」を独自に定め(※注1)アダプタを使わず直接差し込める対応メディアの数と、アダプタ使用を含めた対応メディアの総数をそれぞれ算出した。



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 調査の結果、対応メディアの総数は、ほぼすべての規格を網羅しているといえる「13」が3製品、「14」「11」「10」がそれぞれ2製品と同数で並んだ。対応するメディア規格別では、上位10位すべてが「SD」をサポートする一方、スマートメディアやコンパクトフラッシュなど、採用機種が限られる規格は9位のエレコム「MR-GU2A13SV」のように対応しないものも現れた。比較的登場の新しいxD-ピクチャーカードも製品によって対応が分かれる。

 また、「miniSD」「メモリースティック Duo」といった、比較的小型のメモリカードでも扱いが分かれた。最近発売された製品は小型メモリカードをそのまま挿入できるものが増えている。当然ながら、やや古いものはアダプタが必要になる。この仕様の変化について、メーカーサイドでは「時代の流れ」(バッファロー・広報)ととらえているようだ。

●対応メディアの「数争い」は、SDHCの登場でさらにヒートアップ?

 カードリーダーは、メモリカードやデジタルカメラと一緒に売られていることが多い。さらに、PCフロアの一角、別の階のデジタルカメラフロア、携帯電話コーナーと、あちこちに顔を出して「ついで買い」を誘う戦略も多くの店で採用している。

 しかし、メモリカードの規格がほぼ出揃っている現状を反映してか、カードリーダーの売れ行きは足踏み状態。1年間の販売台数の推移を見ると、若干の増減はあるもののほとんど横ばいだ。平均単価はやや右肩下がりだが、税抜き2000-2200円程度でほぼ下げ止まったように感じられる。



 新たなメモリカードの規格が登場すると、カードリーダー市場は活性化する。いかに新規格に対応するかで売れ行きが左右される。ランキング4位のI・Oデータの「USB2-W12RW」は、ファームウェアのアップグレードで、新たに登場したSDメモリカードの上位規格「SDHCメモリカード」に対応できるというのがウリ。バッファローの「MCR-C12H/U2シリーズ」も、7月20日から無償ダウンロード提供を開始したファームウェアのアップデートでSDHCカードの読み書きに対応する。

 両社によると、SDHCへの対応は内部の構造上、ファームウェアのアップグレードによって対応できる場合とできない場合があり、既存の製品すべてがSDHCに対応できるわけではないという。基本的に、SDHCメモリカードを利用するには、カードリーダーも新しくする必要がありそうだ。ランキング上位にはまだ入っていないが、すでにSDHC対応を謳う製品が発売されている。今後も続々と登場するだろう。しばらく静かだったカードリーダー市場だが、新カード規格SDHCの登場で、またしばらくはにぎやかになりそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。

◆本記事・表中の略称一覧

スマートメディア…SM
コンパクトフラッシュ…CF
マイクロドライブ…MD
マルチメディアカード…MMC
SDメモリカード…SD
miniSDカード…miniSD
microSDカード…microSD
SDHCメモリカード…SDHC
メモリースティック…MS
メモリースティック Duo…MSデュオ
メモリースティック PRO…MSPRO
メモリースティック PRO…MSPROデュオ
xDピクチャーカード…xD

・初出時ととくに重要と思われる場合のみ通常の名称で、その他はすべて略称で表記しました。

※注1:対応メディアの数え方

・上記の略称一覧にないカードは一般への普及度が低いと見なし、今回の対応メディアの総数からはずしました。
・xDカードはバージョンの違いによらず、一つのカードとして見なしました。
・メモリースティック系のメモリカードはメモリースティック、メモリースティック Duo、メモリースティック PRO、メモリースティック PROの4規格とし、細かいバージョンなどの違いはそれらのいずれかに含むものとしました。
・本分類は弊社編集部独自の分類により、メーカー各社およびBCNの公式見解とは異なります。各製品の対応メディアの詳細は、メーカーWebサイトなどでご確認ください。