3月から4月にかけての「新入学・新生活シーズン」は、はがき・住所録作成ソフトの新たな売り込み時期になっている。もちろんピークは年末。しかし、「あけおめメール」が取って代わり、年賀状は毎年減少の一途という現状を前に、ソフトメーカーは次に需要が見込める春に狙いを定めているようだ。「BCNランキング」をみながら各社の戦いぶりを追った。

 3月から4月にかけての「新入学・新生活シーズン」は、はがき・住所録作成ソフトの新たな売り込み時期になっている。もちろんピークは年末。しかし、「あけおめメール」が取って代わり、年賀状は毎年減少の一途という現状を前に、ソフトメーカーは次に需要が見込める春に狙いを定めているようだ。「BCNランキング」をみながら各社の戦いぶりを追った。

●特典満載の「筆王2006春」が1位を獲得 ウェディング版も6位に

 はがき系のソフトで「春商戦」に力を入れているのはアイフォーとクレオ。とくにアイフォーは、定番の「筆王」シリーズに毎年恒例となった、春バージョン「筆王2006春」を投入したばかり。「BCNランキング」3月第4週(3月20日-3月26日)のはがき・毛筆ソフト製品別ランキングでは、「筆王2006春 for Windows DVD-ROM版」が1位を獲得。「同 CD-ROM版」も2位と好調だ。2ソフトを合算すると31.6%の販売本数シェアとなり、メーカー別シェアでも、「筆まめ」シリーズのクレオを抜いてトップに立った。



 「筆王2006春」は、昨年9月に発売した最新版「筆王2006 for Windows」に特典をプラスした春バージョン。桜のイラストなど春向きの素材500点と、最新の電話番号辞書、郵便番号辞書、06年1月1日までの市町村合併に対応した住所録コンバータを収録したCD-ROM「春ロム」を同梱する。さらに、ユーザー登録時に申し込めば、今秋発売予定の「筆王2007 for Windows」のダウンロード版をもれなくもらえるという特典付き。パッケージもピンクを基調に春らしく仕上げた。価格は、「筆王2006」「筆王2006春」とも同じなので、単純に考えると、特典の分だけ春バージョンの方が「おトク」といえる。

 提供メディアの違いによって、DVD-ROM版とCD-ROM版の2種類があるが、3月3日の発売以降、3週連続でこの2つが1位・2位のいずれかを占めている。春バージョンはこのところ毎年リリースしているが、このシーズンには競合が少ないためか、「売れ行きは例年と変わらず、期待通り」(アイフォー・広報担当)と余裕だ。

●新たな需要を求め、結婚式向けパッケージも

 多くのユーザーにとって、「年イチ」しか使わないソフトになりがちな、はがき・住所録作成ソフト。例年秋頃に新バージョンがリリースされ、年末にかけてプロモーション、販売本数ともにピークに達する。しかし、「年賀状離れ」は今後も進むことが予想されるため、次のニーズの発掘に各社とも躍起だ。

 こうした次のニーズ発掘を目指した製品が6位にランクインした「ウェディング筆王5 for Windows」だ。「筆王」をベースに、結婚式向けの素材集などを同梱したもので、オリジナルの招待状や席次表、ウェルカムボードといったペーパーアイテムを簡単に作成できるのが特徴。もちろん、年賀状、暑中見舞い、引っ越しのお知らせなど、その他の用途にも利用でき、「筆王2006春」と同様の特典も付く。ウェディング向けでは、クレオも2月に「筆まめ Ver.16」とブライダル素材のCD-ROMをパッケージにした「筆まめ Bridal」を発売、現在11位にランクインした。

 アットホームな結婚式を挙げたいカップルにとって、結婚費用の節約にもなるペーパーアイテムの「手作り」は、欠かせないポイント。さらに一度作った住所録をその後も使えるという点でも効率がいい。アイフォーによると、「ユーザーはほぼ男女半々」(同)という。一部では「結婚式までこまごまと忙しい女性を尻目に、何もしない男性に作業を押し付ける格好の材料」という声もあるものの、男女が「共同作業」で楽しみながら作っていく例が多いようだ。
「ウェディング筆王5」で作成できるペーパーアイテムの例

「ウェディング筆王5」で作成できるペーパーアイテムの例


●意外に重要な年末「以外」の商戦

 春バージョンと銘打ったパッケージこそ出していないものの、クレオも「春」を重視し、2月下旬から5月末まで「筆まめ春もNo.1キャンペーン」と題したキャンペーンを展開。店頭販売するパッケージに特典を収録した特別CDを添付するなど、新たなユーザー獲得に力を入れている。実際、同社では、年賀状シーズンを過ぎると、「名刺や封筒、タックシールの印刷といった用途での問い合わせが増える」(クレオ 筆まめサービス事業部 企画推進部)といい、プリント全般に関わる「多機能ソフト」といった様相を呈してくる。

 05年1年間での、葉書・毛筆ソフトの販売本数1位は、クレオが04年9月に発売した「筆まめ Ver.15 CD-ROM版」だった。クレオは、その年の1月から12月までの年間販売台(本)数1位のベンダーを表彰する「BCN AWARD」を、過去7年連続して獲得。直近週ではメーカー別シェア1位の座をアイフォーに譲ったものの、シェアはアイフォーの41.1%に対して、クレオが38.0%と僅差だ。そのうえ市場はこの2社で約8割を占めるほぼ「2強」状態になっている。しかしこれからは、年賀状の季節はもとより、春・夏・秋それぞれの利用シーンをどう提案していくかも、大きなポイントになってきそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・ 約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。