高級化進むiPod用スピーカー、注目のアップル純正品は売れ行き好調

特集

2006/03/19 21:19

 アップルコンピュータは3月1日、初のiPod用純正スピーカー「iPod Hi-Fi」を発表。これまでサードパーティが盛り上げてきた周辺機器分野に、アップル自らが参入するとあって注目を集めた。そこで、数あるスピーカーのうち、とくにiPod用に発売されているスピーカーにしぼり、「BCNランキング」で売れ筋動向を追ってみた。

 アップルコンピュータは3月1日、初のiPod用純正スピーカー「iPod Hi-Fi」を発表。これまでサードパーティが盛り上げてきた周辺機器分野に、アップル自らが参入するとあって注目を集めた。そこで、数あるスピーカーのうち、とくにiPod用に発売されているスピーカーにしぼり、「BCNランキング」で売れ筋動向を追ってみた。

●「iPod用スピーカー」1位メーカーはプリンストン、機種別でもトップ

 ひとくちにスピーカーといっても、とりあえず音が出ればいいという安価なものから本格派までイロイロ。iPod対応の意味も、単に色がiPodに合う「白」や「黒」といったレベルから、充電やリモコン操作など高度な連携機能を備えたものまで、さまざまだ。そこで今回は、iPod用の「Dockコネクタ」を備えた外付けスピーカーと「iPod shuffle専用」などと銘打たれたスピーカー、iPodを特定のスペースにはめ込んで使うようなデザインのスピーカーなどを「iPod用スピーカー」として集計した。なお、接続インターフェイスが3.5ミリジャック端子のみのスピーカーは除外した。

 「BCNランキング」3月第1週(2月27日-3月5日)では、「iPod用スピーカー」販売台数1位はプリンストンテクノロジー(プリンストン)の「PSP-312IP」。iPod専用以外のスピーカーも含めたその他の外付けスピーカー全体のランキングでも4位となった。2位がBOSEの「SoundDock」(全体で15位)、3位がロジクールの「MM-50」(同17位)、そして4位がアップルの「iPod Hi-Fi(M9867J/A)」(同19位)という順になった。


 1位の「PSP-312IP」は、3W+3Wステレオスピーカー、最大6Wのサブウーファーを備えた2.1chスピーカー。iPod miniからiPod nano、第5世代iPodまで、多くのiPodに対応しており、新旧ユーザーから幅広く支持を得ているようだ。実勢価格が9000円前後と、小型で低価格なのもポイント。色は元祖iPodカラーのホワイト。

 同じプリンストンからは、「PSP-312IP」のブラックモデルや、ワイヤレスリモコン付属モデルなど、計5機種がトップ10に入った。プリンストンは、「iPod用スピーカー」のメーカー別シェアでも1位を獲得。40%前後のシェアをキープしている。

●高級スピーカーの先駆け、BOSE「SoundDock」は2位にランクイン

 2位の「SoundDock」は、音響専業メーカーとして知られるBOSE(ボーズ)が、iPod専用に開発した本格ステレオスピーカー。本体にiPodを載せるだけで音楽が自動的に再生されるというシンプルさ、音の良さをウリに、初めて本格的に「室内で聴くiPod」を提案したといっても過言ではないだろう。音質は通常のコンポ並み。本体サイズが机の上に置くには若干大きい気もするが、「iPod Hi-Fi」に比べればコンパクトに収まっている。直販価格は3万4860円。

 3位の「MM-50」は、Webカメラやマウス、キーボードなどでPCユーザーにもなじみの深いロジクールの充電式ポータブルスピーカー。また、ステレオ効果を広げ、音像をリアルに再生するという「3Dサウンド機能」を搭載しており、より迫力のある音で楽しめる。直販価格は1万5800円。価格の割に多機能で音も良く、トータルバランスの良さで人気のようだ。


●注目の「iPod Hi-Fi」は4位、販売金額ではスピーカー全体のトップに


 2月のiPod nano 1GBモデル投入・iPod shuffleの値下げに続く、次の一手が注目されていたアップルが、満を持して発表した「iPod Hi-Fi」。アメリカンな大型サイズに、日本での売れ行きを疑問視する声もあったが、蓋を開けてみれば、「iPod用スピーカー」4位、スピーカー全体で19位、販売金額では堂々トップという好調なスタートを切った。

 「iPod Hi-Fi」は、サブウーファーを内蔵した2.1chスピーカー。iMacなどと同じ「Apple Remoteコントローラ」が付属する。AC電源のほか乾電池でも駆動でき、移動先での利用も考慮されている。価格は4万2800円と、平均単価の高いiPodスピーカーの中でも、トップクラスの価格。実際に聴いてみると、確かに音に迫力があり、聴き応えがある。ちなみに本体のボリューム調整ボタン「+」と「-」のみで、iPodを引き継いだシンプル設計となっている。

●高級路線はしばらく続き、行き着く先は?

 最後に、「iPod用スピーカー」の位置づけを見てみよう。6月第1週から3月第1週までの約9か月間で、外付けスピーカー市場全体にiPod用スピーカーが占める割合を見てみた。台数ベースでは、05年6月に5%未満だったものが、直近では10%を上回る水準に伸びてきている。しかし注目はやはり金額シェアだ。推移を見ると、台数シェアと同じく倍増しているが、直近の金額シェアは実に35%に迫る勢い。iPod用スピーカーの平均価格が約1万6000円と高価なのが影響している。非iPod用スピーカーは約3700円で4倍近い開きがある。本家のアップルが高価なスピーカーをリリースしたこともあり、「iPod用スピーカー」の高級路線は今後もしばらく続きそうだ。



 ただ、いずれの製品も外付けスピーカーというカテゴリーにとどまっているのが現状。確かに「インドアでもいい音」を求めるユーザーは一定の割合で存在するだろう。しかし、「その次」を考えると、スピーカープラスアルファの製品の登場もあるのではないだろうか? たとえば音楽再生エンジンとしてiPodを取り付ける、ある種合体コンポのような製品も想定できる。iPod用スピーカー市場の広がりが今後も継続していけば、まったく別の展開も期待できそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2100を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。