デジタル? アナログ? DVD-HDDレコーダー選び、この冬の大問題

特集

2005/12/20 00:46

 まもなく到来する年末年始の特番シーズン。同じ時間帯に見たい番組が2本3本と重なることも珍しくないこの時期、フル稼働状態になるのがDVD-HDDレコーダーだ。これから買いに走るという人も多いのではないだろうか? そこで、年末商戦の前哨戦ともいえる11月の「BCNランキング」で、売れ筋モデルをタイプ別にまとめてみた。

 まもなく到来する年末年始の特番シーズン。同じ時間帯に見たい番組が2本3本と重なることも珍しくないこの時期、フル稼働状態になるのがDVD-HDDレコーダーだ。これから買いに走るという人も多いのではないだろうか? そこで、年末商戦の前哨戦ともいえる11月の「BCNランキング」で、売れ筋モデルをタイプ別にまとめてみた。

●平均価格帯は5万円後半、容量では200-300GBあたりが売れ筋

 内閣府調査によると、再生と録画が可能な「DVDレコーダー」の世帯普及率は05年3月末時点で28.7%。その便利さもさることながら、この数年で一気に普及した理由の一つは、やはり低価格化だろう。直近の月次データとなる11月の「BCNランキング」では、DVD-HDDレコーダー全体の平均価格は5万円台後半。昨年の同時期では6万円台後半で、平均価格だけで単純に比較しても1万円程度の値下がり。さらにこの1年で進んだHDDの大容量化やダブルチューナーのなど高機能化を考え合わせると、実質的な値下がり率はそれ以上となるだろう。

 タイプ別の平均価格では、HDDとDVDを搭載した「ノーマルタイプ」で6万円台前半、「VHS一体型DVD-HDDレコーダー」(3in1レコーダー)が6万円台前半、地上デジタル放送などのデジタル放送が録画可能な「デジタルチューナー搭載モデル」(ハイビジョンレコーダー)で10万円前後。それ以外では旧機種や展示品といった安いものなら3、4万円台のものも珍しくない。これぐらいの価格なら「試しに買ってみようか」という気にもなるというものだ。

 HDD容量については、エントリーモデルで160-200GB、上位機種で250-300GB、ハイビジョン対応のフラグシップモデルで500-600GBといったところ。それ以上の大容量化も着々と進んでおり、サーバー並みの容量を持つ1TB(テラバイト)モデルも登場し始めている。売れ筋としては、ランキングトップ10中半数を占める200-300GBあたりのクラスだろう。



●依然人気はVHS対応の3in1モデル、ノーマルタイプでは低価格機が主導権

 DVDとHDDを搭載するもっとも一般的なDVD-HDDレコーダー(ノーマルタイプ)では、実売5万円を切る価格帯のアナログチューナー搭載モデルが人気。1位のソニー「RDR-HX50」は昨年11月に発売されたモデルだが、いまだに売れ続けている。160GBとやや少なめなHDD容量ながら、安いところでは3万円台の価格が魅力だ。また、2位の東芝「RD-XS37」は05年6月発売モデル。HDD容量は同じく160GBだが、ダブルチューナー搭載でアナログ放送を2番組同時録画できるのがウリ。12月に200GBに増量した後継モデル「RD-XS38」が発売され、「RD-XS37」は店頭であまり見かけなくなった。大容量モデルが必要ないのであれば、こうした型落ちモデルが安くなったところを狙ってみるのもいいかもしれない。



 対応メディアのタイプ別でみると、VHSテープにも対応した3in1レコーダーの人気が依然として高い。VHSビデオデッキからの「買い替え」ユーザーにとって、VHSからDVDへのメディア移行がもっともスムースにできることがその理由だ。機種別ランキングで1位のソニー「RDR-VH83」もこのタイプ。まだ「テープ組」からの買い替えは多いということなのだろう。

 3in1レコーダーで注目したいのは松下の「DMR-EX200V-S」。VHS一体型でデジタルチューナーを搭載した初のモデルだ。もともと人気の高い「DIGA」シリーズだが、11月に発売されたばかりというということを考えても、タイプ別で4位はまずまずの出足。VHS、DVD-HDDレコーダー、デジタルチューナーと、進化の歴史をそのままたどったようなモデルが売れているというのも、過渡期の現状をそのまま表しているようで興味深い。



●アナログ8割、地デジ対応2割、しかし地デジはわずか3か月間でシェア倍増

 一方、搭載するチューナーのタイプ別にみると、地上アナログのみか、地上アナログとBSアナログチューナーのみを搭載したアナログモデルが約8割と大多数。しかし「地デジ」をはじめとするデジタルチューナー搭載モデルもじわじわと売れ始めている。半年前の3月では1桁台のシェアしかなかったものが7月には10%程度、11月では実に20.1%と、わずか3か月でシェアが倍増した。

 さらに、ハイビジョン対応のモデルは、デジタル放送とアナログ放送の2番組同時録画(松下「DMR-EX100-S」など)が一般的な仕様となり、ハイビジョン放送の2番組同時録画(日立「DV-DH500W」など)や、1台でハイビジョン録画からアナログ放送の2番組同時録画まで可能な欲張りモデル(東芝「RD-X6」など)も登場している。

 そのなかで、松下の7月発売の「DMR-EX100-S」がタイプ別で1位を獲得。発売当初から好調でランキング上位につけていたが、ここにきて実売で9万円台を切る程度まで実売価格が下がってきており、人気が高まっている。前述のVHS一体型「DMR-EX200V-S」も3位にランクインしている。

 このジャンルでは、早くからハイビジョン対応に取り組んでいた日立、シャープが強い。ノーマルタイプやVHS一体型とはでは、ソニー・松下・東芝の3社が強いことを考えると、メーカー別の特色が色濃く出ているといえそうだ。



●デジタルかアナログか……この冬の大問題

 「地デジ」のエリアは着実に広がっている。たとえば関東地域ではこの12月、東京タワーからの放送電波の出力がフルパワーとなり、新たに前橋・宇都宮・平塚中継所での送信もスタート。これまで東京を中心とした一部地域だけだった視聴可能エリアが、関東全域に拡大した。同時に東北6県でも新たに地上デジタル放送が始まるなどで全国の世帯カバー率は約60%に達したという。

 しかし、ある店員は、「ハイビジョン対応テレビをすでに持っている方や一緒に買われる方でなければ、アナログモデルをすすめている」という。「やはり対応テレビを持っていなければきれいな画像は楽しめませんから」と明かした。安くなったといっても「地デジ」対応のDVD-HDDレコーダーは、まだハイエンドの部類。これから値下がりも期待できることもあって、実際に視聴環境が整ってから買ったほうが得だ、ということなのだろう。

 しばらくアナログ環境でテレビを楽しむつもりなら素直にアナログモデルを安く買うのがおすすめ、ということになる。11年7月に地上アナログ放送が終了するころには、さすがに買い替えたくなるだろうし、もっと高機能で大容量のモデルが安価に売り出されていることだろう。

 または、薄型テレビも急激に安くなってきたことだし、一気に「地デジ」環境にジャンプアップ、いち早くきれいな画面でデジタル放送を楽しんでしまおう、と考えるなら、大画面テレビとDVD-HDDレコーダーをセットで買ってしまうという手もある。まだ在庫があるこの時期を逃すと、欲しいモデルの入荷待ちということも起こりかねない。

 まだアナログで行くかもうデジタルにするか……この冬の悩みどころだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。