NEC(金杉明信社長)は折り曲げることができ、高速充電も可能な超薄型充電池を開発したと発表した。

 開発したのはプラスチックの一種である有機ラジカルを電極に使った「有機ラジカル電池」。ラジカル部分の酸化還元反応で充放電を行い、一度に大きな電流を放電できる。材料にカドミウムや鉛など重金属を使わないことから環境への影響も少ない。

 NECでは今回、電極の薄膜化に成功、電池本体が0.3mmという薄さを実現。有機ラジカルを電解液が浸透したゲル状にすることで折り曲げることも可能にした。ゲル状にすることで、有機ラジカル内を電解質イオンがスムーズに移動できるようになったことから、電気化学反応が速い有機ラジカルの特性と組み合わせることで充電での抵抗を小さくすることができた。そのため、30秒以内という短時間での充電を可能にした。

 完成した充電池は、1平方センチあたりおよそ1mWhという高いエネルギー密度(電池が単位面積あたりに蓄えるエネルギー)を持つ。ICタグに用いた場合、数万回の信号発信が可能となる。

 NECでは、超薄型で柔軟性もあることからICカードや電子ペーパー、人や動物に装着する小型ICタグ、ウェアラブルコンピュータなどの充電池での用途を見込む。今後は充電時間の短縮や1回の充電で使用できる時間を伸ばす研究を進め実用化につなげる。