オリンパスと東大、「気が付いていないが有益な情報」を伝えるシステム試作

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2005/10/31 12:57



 オリンパス(菊川 剛社長)は、保坂寛・東京大学大学院教授と共同で、運動や発話状態、位置情報などから個人の状態を分析し、ユーザーが気付かない有益な生活情報などを知らせるシステムを試作した。

 試作したシステムは、個人の運動状態を測定する「腕時計型装置」や「足圧計測シューズ」、発話状態などを検知する「発話・咀嚼センサ」、天井の有無や高さを測る「屋内外センサ」やGPS(全地球測位システム)といったセンサー類と、その情報を処理するソフトを搭載するPC、ユーザーに情報を表示して知らせるウェアラブルディスプレイで構成する。

 具体的には、体に装着した各センサーの情報から利用者の状態をソフトが推定・分析。その状態に即した、利用者が認識していないものの役に立つ生活情報などをPCに内蔵するデータベースやインターネット経由で、ディスプレイに表示する仕組み。

 たとえば、運動の情報から、利用者は気付いていないが「運動不足」とソフトが分析した場合、ディスプレイに「体を動かしましょう」といった運動を促すメッセージを表示するといった利用が想定されている。

 試作機は、オリンパスと東京大学が共同で始めた「インスパイア型ユビキタスシステム」研究結果の第一弾となる。「インスパイア型ユビキタスシステム」は、ライフスタイルやTPO(時間・場所・機会)、心理状態を分析し、IT機器を通して、個人が自覚していない生活の中での必要・有益な情報を知る“きっかけ”を提供するシステム。

 オリンパスと東京大学では、試作機を使って心身の相関関係の研究を進める。また、行動パターンから個人の嗜好や感情を推定する技術やそのコンテンツ生成技術まで研究範囲を広げ、2012年をめどに実用化を目指す。