VHS一体型のDVD・HDDレコーダーが売れている。「BCNランキング」8月最終週集計では東芝の「RD-XV44」が首位。9月第1週ではシャープの「DV-HRW50」に首位が入れ替わった。いずれもVHS一体型の3in1タイプで、このタイプがトップに来るのは極めて珍しい。一見脇役に見えていたVHS一体型だが、実はニーズが高そうだ。その現況をまとめた。

 VHS一体型のDVD・HDDレコーダーが売れている。「BCNランキング」8月最終週集計では東芝の「RD-XV44」が首位。9月第1週ではシャープの「DV-HRW50」に首位が入れ替わった。いずれもVHS一体型の3in1タイプで、このタイプがトップに来るのは極めて珍しい。一見脇役に見えていたVHS一体型だが、実はニーズが高そうだ。その現況をまとめた。





●週替わりの1位はいずれもVHSつきの3in1機

 現在市販されているDVD・HDDレコーダーは、いくつかのタイプに分かれる。売れ筋のカテゴリーは、DVDドライブにHDDが付いた一般的な「DVD・HDDレコーダー」と、それにVHSが加わった「VHS一体型DVD・HDDレコーダー」の2つ。他に、価格・用途ともにVHSビデオに近い「VHS・DVDレコーダー」、次世代レコーダーとしてこれから本格普及が見込まれる「ブルーレイレコーダー」などがあるが、現状では販売台数シェアは非常に低い。

 一般的なDVD・HDDレコーダーを「ノーマルタイプ」とすると、VHS一体型はいわば「多機能バリエーションタイプ」。松下が最初に製品化、04年6月に発売したのが始まりで、登場は比較的新しい。その後、シャープ、東芝、パイオニアなども同タイプを投入してきた。「3in1」モデルとも呼ばれるのは、1台で3つの機能を備えているところからきている。この3in1機の販売台数シェアが、2か月前に比べて10ポイント上昇し、ここ最近伸びている。

 直近の集計で1位となったシャープの「DV-HRW50」は、05年2月発売のハードディスク・DVD・ビデオ一体型レコーダー。BSアナログチューナーと、2つの地上アナログチューナーの計3チューナーを搭載し、HDDもしくはDVDとVHSのいずれかの組み合わせで2番組同時録画が可能なモデルだ。発売から日が経ち、価格が5万円台にまで下がったこともあって販売台数シェアを伸ばしてきた。さらに、その前週の8月第4週(8月22日-8月28日集計)で首位だったのは、東芝のVHS一体型モデル「RD-XV44」だった。

●依然として高いVHSニーズをどこで吸収するのか?

 3in1モデルの最大の特徴は、これまでに録りためたVHSテープを従来通り、視聴できること。古いVHSデッキを捨てずに取っておいて、必要に応じて使い分けるなどの面倒がない。設置スペースや配線で頭を悩ませることもない。古いVHS機と入れ替えるだけでいい。さらに、外部入力を使わずにVHSからDVDやHDDにダビングできるため、操作も簡単だ。これまで難点だった価格の高さも、今年に入って同クラスのDVD・HDDレコーダーと大差ない程度にまで下がってきた。これもシェアを伸ばしている要因と言えるだろう。

 最初にVHS一体型DVD・HDDレコーダーを製品化した松下は、「現在でも、家庭の録画機の8割を占めるというVHSに対するニーズは高い」(松下電器産業・広報)と分析。さらに、ラインアップの充実、低価格化の2つの追い風を受け、「もともと、VHS内蔵DVDプレーヤーやVHS内蔵DVDレコーダーが、VHSのないモデルより売れていたことから製品化したが、HDD搭載モデルもよく売れている」(同)という。

●05年の夏商戦、VHSつきの3in1機がじりじりシェア伸ばす

 「BCNランキング」から、DVD・HDDレコーダーのタイプ別シェアの推移を見ると、6月6日の週では、DVD・HDDレコーダーが58%、VHS一体型DVD・HDDレコーダーが26%だった。その後、上下しながらもゆるやかに上昇し、9月第1週では、DVD・HDDレコーダーが51%に低下、逆にVHS一体型は36%へアップした。8月第4週に限れば、DVD・HDDレコーダーはシェア49%で5割を切った。タイプ別売れ筋3位のVHS・DVDレコーダーは、集計期間中、常に12%ないし13%を保っており、大きな変化はない。



 9月第1週の「BCNランキング」にランクインするDVD・HDDレコーダーは、70機種を超えるが、VHS一体型は17機種とまだバリエーションは少ない。各メーカーはビデオテープからDVD・HDDへの過渡期的製品と位置付け、それほど力を入れているようにはみえない。しかし、販売台数シェアの伸びを見ると、必ずしも一時的ニーズで終わる製品とも言い切れない。

 HDD・DVDレコーダーでVHSのライブラリをDVDにして永久保存するという「夢」は誰しもが抱くもの。しかし大抵の場合それは「夢」で終わってしまう。VHSの本数が多ければ多いほど、その傾向は強くなるだろう。何度も繰り返し見る特別なソフトならまだしも、年に1回見るか見ないか程度のVHSソフトをDVDに落としたところで、ほとんどメリットはない。VHSのまま見られればそれですむ場合がほとんどだろう。無理にDVDに落とすのではなくVHSはVHSのまま楽しめばいい、しかし設置はコンパクトにというのは、考えてみれば自然なニーズだ。




●地デジ・ハイビジョンでさらに進むカテゴリーの細分化

 秋・冬商戦に向け、このところ各社から新製品の発表が相次いでいる。現時点で、日立が最大1テラバイトHDDを内蔵したハイビジョンDVDレコーダーを、松下がデジタルチューナー内蔵で世界初となるHDD、DVD、VHS、SDカード対応“ハイビジョン DIGA”「DMR-EX200V」を発売することを明らかにしている。次のキーワードは“地デジとハイビジョン”だろう。

 こうした新たな流れがランキングにも影響を与えるのは間違いない。今回取り上げた、“VHSのあるなし”に加えて、アナログ対応・ハイビジョン対応モデルの違いも、重要な選択ポイントとなってくる。地上波がデジタルに完全に切り替わるまでは、さまざまなタイプが入り乱れる。自分が望む機能があるかどうか、しばらくの間、機種購入前のスペックチェックは特に入念にする必要がありそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。