NECは、同社が開発した有機ラジカル電池の試験を行い、デスクトップPCのデータバックアップを実証した。

 経済産業省の交付金を原資として、エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業の一つとして行っている、NEDO技術開発機構との共同研究「バックアップ用高出力有機ラジカルで電池の研究開発」において実施したもの。NEC製デスクトップPC(PentiumIVプロセッサ搭載、消費電力は最大228V、平均96W)を利用し、有機ラジカル電池(35W)を4個直列(140W)に接続して実証試験を行った。

 有機ラジカル電池は、有機ラジカル化合物を活物質(蓄電材料)として、ラジカルの酸化反応・還元反応を利用して充電・放電を行う電池。突然の電源トラブルでデスクトップPCへの電力供給が停止した際、作業中のデータをハードディスクに格納(データバックアップ)する間、電池だけの電力を利用してPCを駆動する。反応速度が他の電池に比べて10倍以上も高速なため、短時間での充電や大きな電流での使用ができる利点がある。

 今回、ポリラジカルの一種であるPTMAに特殊な化学処理を行って耐久性を高め、より高出力を引き出せるような電極にすることで、安定性と高出力を実現。また、PCに供給されるAC電源が停止すると、異常を自動的に感知して有機ラジカル電池からの電力供給に切り替え、作業中のデータをハードディスクに格納する仕組みも組み込んだ。

 このほかの特徴は、(1)4個直列で、5.5×4.5×1.6cm、重量は88gでPCに内蔵可能、(2)PCの直流電源を直接利用してエネルギー損失なしにバックアップシステムを稼働、(3)水銀・鉛・カドミウムなどの有害物質を使わず、環境に配慮、(4)活物質(蓄電材料)として高安定のプラスチック材料を採用し、異常時にも発煙や発火の危険性が少なく安全──など。

 同社では、今回の実証をもとに、実用化に向けた積極的な研究・開発活動を強化していく計画。