4月に富士通が発売した32型の一体型パソコン。こんなでかい「パソコン」が本当に売れるのか? と思いきや、かなり売れているようだ。「パソコン」というよりむしろ「パソコン付き大型液晶テレビ」として考えれば、売れる理由もうなずける。そこで、市場での存在感が増してきた液晶一体型PCの売れ筋を紹介しながら、進む大画面化についても考えてみたい(図)。

 4月に富士通が発売した32型の一体型パソコン。こんなでかい「パソコン」が本当に売れるのか? と思いきや、かなり売れているようだ。「パソコン」というよりむしろ「パソコン付き大型液晶テレビ」として考えれば、売れる理由もうなずける。そこで、市場での存在感が増してきた液晶一体型PCの売れ筋を紹介しながら、進む大画面化についても考えてみたい(図)。

●とても一人では持てない液晶一体型PC

 一部のメーカーでは、デスクトップPCの販売シェアの実に3割以上が、すでに液晶一体型になっているという。結線が少なく設置スペースが小さいことが人気の理由だろう。しかも、各種パソコンパーツの性能が底上げされてきており、比較的ローエンドに近い構成でも十分なパフォーマンスが望めるようになってきたことも、初心者から中級者のマインドを捉えているようだ。

 ソニー、富士通、NECの各社はともに液晶一体型パソコンの強化を図るとともに、超大画面の「ドデカPC」の投入を進めている。特に富士通は今期、なんと32型という超大画面液晶ディスプレイを使った「一体型パソコン」発売、ユーザーの度肝を抜いた。レビューなどでいろいろな機械を触ることの多い筆者にして、重さ40kg以上、そして必ず二人で持たなければダメ、という機材は初めて。店頭でのインパクトも「ドデカすぎ」。デスクトップ三台分のスペースを悠然と占領してしまうわけで、他社製品がちょっと気の毒になってくるほどだ。

 もう一つのオドロキは、NEC、富士通の大画面タイプがそれなりによく売れていることである。個人的には、設置場所や価格の問題もあって、発売したものの実際はほとんど売れないのではないか、と予想していた。しかし現実には、通常のデスクトップのハイエンドモデルより売れているようだ。

●VALUESTAR SR と FMV DESKPOWER LX50L が2強、受けるデザイン性

 「BCNランキング」6月第1週の集計から「液晶一体型パソコン」の販売台数シェアトップ10」を切り出してみた。強力なのは、NECの17型モデル「VALUESTAR SR」で、実に16%もの販売シェアを獲得している。次いで富士通の同じく17型モデル「FMV DESKPOWER LX50L」。販売シェアは10%。2桁シェアはこの2モデルだけで、2強ということができそうだ。3位で追走するのはソニーのVAIO Type V、4位が同Type M。5位が「VALUESTAR SR」の19型モデルだ。



 こうして10位までのランクを見てみると、液晶一体型パソコンでは、生活空間を乱さないオシャレなデザインの製品が多い。パソコンユーザーも多様化し、安さ以外の価値観を重視する人も増えた、ということか。

 さすがに富士通の「ドデカPC」、「FMV DESKPOWER TX」はトップ10では圏外。しかしランキングは19位でシェア1.4%。トップ10にランクインしたPCに比べ、ほぼ倍の価格であることも考え合わせると、かなり「売れている」といえるだろう。

●主流は17型、しかし次は19/20型、そして30型を超える「ドデカPC」へ

 さて、本題となる液晶の大きさに関しては、17型のシェアが6割程度で大多数を占めている。しばらく前までは主流だった15型台のモデルは、事実上VAIO Type M以外に選択肢がなくなったという状況もあって、一時期の勢いはなくなった。



 次の波は、おそらくは19型から20型といったところだろう。パソコンデスクに設置し、椅子にゆったりと座って各種コンテンツを鑑賞する、という状態だと、19?20型は最適な画面サイズだ。調達コストがグッと下がってきていることもあり、各社とも積極的にラインアップへの導入を進めている。シェアにはそれほどおおきな影響はないようだが、画面の見やすさと表示クオリティを重視するユーザーは、こうした大画面タイプをチョイスする傾向がある。

 特に20型オーバーの大画面タイプは、それ一台で薄型液晶TV、パソコン、HDD/DVDレコーダーの機能をすべて兼ね備える高機能な製品であることが多い。事実、富士通の32型超大画面モデル「FMV DESKPOWER TX」は、各種デジタル放送の視聴と録画にも対応した多機能モデルだ。さらに9日、シャープが発表した32型AVセンターパソコン「PC-TX32J」も、1台で液晶テレビ、HDD&DVDレコーダー、パソコンとして活用できるのが特徴。「ドデカPC」の流れはまだまだとまらない。

 考えてみれば、大型フラットテレビ、HDD&DVDレコーダー、高速PCと、デジタル系の人気商品が一気にそろうのが「ドデカPC」。家庭のエンタテイメントを一手に引き受ける「真のオールインワン」といえる。市場規模はまだまだ拡大しそうだ。

 ローエンドパソコンの方向性が、機能性と価格というシンプルな評価軸で膠着しつつあるのに対し、液晶一体型パソコンの方向性は多様化を続けている。製品選びはそれだけ難しくなっているわけだが、それだけに「選ぶ楽しみ」があるのも事実だ。ライフスタイルに合わせ、自分にピッタリの液晶一体型パソコンを見つけて欲しい。(フリージャーナリスト・竹内亮介)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。