2022.7.19 11:00
暮らしにプラス先生から生徒へ受け継がれるeスポーツのバトン 茨城県立常陸大宮高等学校 後編
eスポーツ部がつなげる地域貢献の輪 茨城県立常陸大宮高等学校 前編

登場人物
星野智紀先生:eスポーツ部元顧問。機械・情報技術科教員でソフトテニス部顧問も兼任。2022年度を最後に茨城県立土浦工業高等学校へと異動。
大久保創基君:eスポーツ部部長を務める情報技術コース3年生(取材当時2年生)。普段はApex Legendsをプレー。
eスポーツ部で身に着けた知識が活きる瞬間
――そういえば、セガが展開している高校eスポーツ応援プロジェクトにも参加していると聞きました。大久保君も参加されましたか?
大久保創基君(以下、人名は初出以降敬称略) はい、参加しました。
――率直にいかがでしたか?
大久保 やっぱりプロの方のプレーを間近で見れたのは貴重な体験でした。パズルゲームなので頭を使って瞬間的に判断しないといけないのはすごく難しかったですね。
――具体的な活動としてはどんなだったのでしょう。
大久保 自分たちでプログラミングして、ぷよぷよを作るみたいな、そんな感じの授業でした。自分たちでコーディングしてぷよぷよの動作を再現しましたね。
――ぷよぷよを作れる高校生というのもなかなか聞かないですね。
大久保 ありがとうございます(笑)。
――これらは普段の授業からやられていることなんですか?
大久保 そうですね。そのおかげもあってか結構スムーズに作れたと思います。
――この辺りについては授業と部活動、課外活動がうまく結びついたところかもしれませんね。
星野智紀先生 先ほど言った内容と重なりますが、私自身、情報技術科の職員としてIT人材の育成は一つの目標としてありました。eスポーツをやっているとパソコンやネットワークの設定をはじめ、その他もろもろの知識が必要になります。授業で教えた内容が生きる瞬間があるんですね。
壁は勉強ではなく“生活”との両立
――現時点で、部活をやるうえで困っていることはありますか?
大久保 大会に参加するときに部員同士の日程がなかなか合わず、メンバーが揃わないことですね。人数が足りなくて大会に参加できなかったりとか。
――現時点では全体で7人いる状態ですよね。やっぱりみんな忙しいんでしょうか。
大久保 主にアルバイトとかで忙しい人が多いです。
――やっぱりこれは個人の生活もありますよね。普段の部活動の参加率はどうですか?
大久保 同じくアルバイトとかで参加できない人はぼちぼちいます。僕自身はバイトをしていないのでほぼ毎日参加できているんですけど。人によっては家で個人練習をしている人もいます。
――接客系の固定シフトのアルバイトだと金土日は忙しいでしょうし、eスポーツの大会ってだいたい土日ですもんね。先生から見ていかがですか。
星野 アルバイトの問題は確かにあると思います。というのも、うちでは部としてアルバイトを制限しておらず、そもそも学校としても禁止していません。私自身は、欲を言えば、アルバイトは禁止にしたいと思うタイプなんですが、個人や家庭ごとにいろいろな事情がありますし、ちょっと目をつぶらいないといけない部分だと思っています。
一方で、アルバイトをうまくしながら、eスポーツもやっていきたいというバイタリティがある子にも来てもらうことで、部としての活力を上げたいという要素もあるので、メリットでありデメリットでもある部分ですね。私としても管理しないといけないところだと思います。
――他の学校さんの話では勉強面で苦労していると聞くことが多いですが、バイトの問題は初めて聞きました。
星野 勉強面については私が情報技術科の職員なので日々脅しているわけなんですね(笑)。「点数取れなかったらわかるよな」みたいな。部員の子はよく勉強してくれるので、そこに関しては現時点ではそんなに気にしていませんね。
大会の敗戦を糧にメンバーと高め合う
――続いて、大会のことについてお聞きしたいと思います。2021年の全国高校eスポーツ選手権ではロケットリーグで出場されていました。
大久保 そうですね。AチームとCチームが出場して、僕はAチームで参加しました。
――振り返ってみていかがでしたか?
大久保 もう、2年以上一緒にやってきた人と一緒にチームを組んで、ある程度実力が付いてきて自信もある状態で参加したんですが、初戦で敗退してしまいました。個人的には練習の成果を発揮できたと思っているんですが、相手は桐生第一高校さんという学校で、結構強かったですね。
――以前には、茨城県内の大会で優勝されていますよね。
大久保 20年にあった大会ですね。僕とは違うチームでしたが、確かに優勝しました。
――県内1位というのは素晴らしい結果です。普段の練習では特に大切にしていることはありますか?
大久保 コミュニケーションについては、よくとるようにしています。試合後は必ずミーティングをして、メンバー同士でお互いにこうしたほうがいいんじゃないか、みたいなアドバイスを出し合っています。
――今後もSTAGE:0や高eは開催されていきますが、大会での目標があれば教えてください。
大久保 やっぱり、チームメンバー同士でお互いを高め合っていいける場になればいいなと思います。
先生が残したものと3年生が残すもの
――星野先生は今年度を最後に他校へ異動になるとか。
星野 そうですね。できれば私ももうちょっといたかったなと思うんですけど、こればっかりは茨城県の人事の方が決めたことなのでしょうがないかなと思います。ただ、僕がいる間はやるべきことはそれなりにできたかなと思っています。
――大久保君としてはどうですか?
大久保 やっぱり寂しいですよね。入部したときから星野先生がいて、大会とかでアドバイスをもらったりしてきたので。
星野 個人的には、4月から2・3年生になる子たちにはこれまでこっぴどく言ってきたので、多分自分でいろいろ動けると思うんですよね。何が必要なのかっていうのは、去年も同じことを経験していますので、大久保が中心にやってくれるんじゃないかなと。むしろ、新3年生なら新しい顧問も含めて引っ張っていく構図ができてもおかしくないと思います。特にそんな大きな心配はしていません。
――これまで教えてきた子たちが頑張ってくれるだろうと信頼されているんですね。
星野 まあ、子どもたちにとって結構面白くないことを、いっぱい言ってきましたから。やるべきことをやり、どう動けばいいのかを考えるところまでを含めて部活動で指導してきました。多分、逆の立場だったら「あの先生むかつくな」って思うと思います。
――頼もしい教え子がいるのは嬉しいことですね。大久保君は今年度から部長として最終学年となります。部活動全体の目標として考えていることはありますか?
大久保 3年生になると夏頃には引退するので、僕たちが引退した後も部活動として続けることができる部活にしたいなと思っています。
「とにかく明るい雰囲気を大切にして新入生を迎えたいと思います」
――そうすると後進育成というか、自分の後輩を育てていくことが大切になりそうですね。新入生については、どんな人がどれだけ入って欲しいですか?
大久保 そうですね、やっぱりまじめでやる気のある人が4人くらい入ってくれると嬉しいです(笑)。
――今いる新2年生も含め、これから入ってくる後輩たちにどんなことを教えていきたいですか?
大久保 やっぱりこれまで大事にしてきた改善の考え方ですかね。対戦ゲームで負けたとき、どうして負けたかを考え、次に生かす動きを伝えていけたらと思います。
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