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新婚カップルに「2万円相当の優遇利用券」! 東京・江戸川区の「結婚パスポート」

時事ネタ

2024/03/06 17:30

 【家電コンサルのお得な話・172】2月1日から東京都江戸川区は斬新な取り組みである「結婚パスポート」事業の申請を開始している。事業の狙いは新婚期の夫婦が地域社会との結びつきを深める機会を提供し、区の魅力を知ってもらい長く住み続けてもらうことにある。

2月から開始した東京・江戸川区の「結婚パスポート」

「結婚パスポート」を提示して「優遇利用券」を使用するわかりやすさ

 結婚後1年以内の夫婦を対象に、江戸川区の公共施設等を優遇価格で利用できる「結婚パスポート」と「優遇利用券」の発行は、地域コミュニティへの参加の促進と、新しい生活のスタートをサポートするユニークな試みと言えるだろう。

 事業の対象者の範囲には、従来の婚姻届を提出した夫婦のみならず、同性パートナーシップ関係や事実婚の方も含まれる。

 そうした江戸川区内で新婚生活をスタートするカップルに対し、区の宿泊施設や映画鑑賞、スポーツ施設、区内の銭湯など70カ所以上の施設をお得に利用できる、1人当たり1万円、2人で2万円相当の優遇利用券(クーポン)がプレゼントされる。
 
お得に利用できる施設は70カ所以上

 申請方法はWEBや郵送によるもので、提出が必要な本人確認書類にも利便性が配慮されている。この手軽さは、多忙な新婚夫婦にとっての申請の煩わしさを低減し、事業の利用促進に寄与すると考えられる。

 また、結婚パスポートと優遇利用券の使い方にも工夫が見られる。窓口でパスポートを提示して優遇利用券を使用するというシンプルな仕組みは、利用者にとってとても分かりやすく、施設側にとっても管理しやすい。
 
窓口で結婚パスポートを提示して、優遇利用券を使用する

 ただし、優遇利用施設が変更になる場合があったり、施設の都合で利用できかったりする場合もあるため、利用時には必ず確認することが大切である。
 

地域への帰属意識を育み、イベント参加など活性化を促す効果

 同事業がもたらす社会的意義は大きく、新婚夫婦が地域社会の一員として受け入れられ、支援を受けることで、地域コミュニティへの帰属感や連帯感が育まれる。

 また、結婚パスポート事業を通じて育まれた地域への帰属意識は、地域で開催されるイベントへの参加やボランティア活動への積極的な関与など、さらなる社会参加の促進に繋がることも期待できる。

 同事業は「結婚後」を対象とした事業のため、現在の大きな社会問題である「結婚件数の増加」には直接結び付かない。

 しかし、国が2023年に示した「異次元の少子化対策」は、事実上、何の具体策も出ることなく、わずか1年で反故にされたという現状を考えると、結婚に目を向けてもらうだけでも意義があるだろう。

 もっとも、国が国民からの信用を落とし、限られた予算しかもたない地方自治体にすがらねばならない現状にこそ、最大の問題点が潜んでいるといえるのだが。

 結婚パスポートの問い合わせ先は、江戸川区結婚パスポート コールセンター(電話03-6629-2580)で開設時間は9~17時(土日祝・年末年始を除く)となっている。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
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