「タッチしないタッチ決済」の共同研究に着手 JCBなど3社

 ジェーシービー(JCB)、りそなホールディングス(りそな)、ベスカは共同で、デバイス間通信技術を用いて、スマートフォン操作が不要な新しい決済体験の構築を目指す取り組み「タッチしないタッチ決済」プロジェクトに関する戦略的パートナーシップを締結した。

JCB、りそな、ベスカが戦略的パートナーシップを締結

新たな決済体験・店舗内体験の実現を目指す

 「タッチしないタッチ決済」プロジェクトは、BLE(Bluetooth Low Energy)やUWB(Ultra Wide Band)などの通信技術を用いて、来店した顧客が持っているスマートフォンと、店舗に設置された決済端末や各種IoTデバイスとの連携により、顧客がスマートフォンの取り出しや画面起動といった操作を行わず、決済手続きが完了できるもの。バッグやポケットにスマホを入れたままでも、認証から決済手続き完了まで行う新たな決済体験を構築していく。
 
検討ソリューションのイメージ

 また、同ソリューションの活用により、希望の顧客には店舗来訪時点で情報を把握し、過去の購買履歴やその瞬間に興味をもって見ている商品に応じた顧客サービス(VIP向けサービスや優待・クーポン配信等)を提供するなど、新たな店舗内体験の実現を目指す。

 今回、日本発唯一の国際ブランドとして決済領域でのソリューション構築に強みをもつJCB、約50万社の顧客基盤をもち中小企業との広いネットワークを確立しているりそな、柔軟で付加価値が高い決済サービスの開発提供を行うベスカの3社間で取り組みの方向性に合意した。

 今年度の活動としては、新決済ソリューションの提供機能やユースケースの具体化、システム構築に向けた初期検討、BLE・UWB技術ベースでのPoC実施準備を予定している。24年度以降は、実店舗を用いた、本番環境に近しい環境下でのPoC実施・評価や、提供機能の磨き込みに向けた、新たな協業パートナー候補の探索・議論、決済以外の店舗向け付加価値サービスの検討を計画している。

 さらに、同ソリューションは、生体認証ソリューションとの組み合わせによる活用も視野に入れている。生体認証の1:N認証で指摘されている認証精度・処理速度といった課題に対し、同ソリューションを活用することで、対象を事前に絞り込んだ認証とし、生体認証の処理精度向上や高速化、システムの簡素化といった相乗効果の実現を図る。

 JCBでは、今後のキャッシュレス決済の拡大を見据え、顧客の決済体験をより向上させるモデルや、店舗での付加価値提供がより重要になると考え、これら課題への解決策となりうるモデルの具体化検討を踏まえて、複数の特許を出願している。
 
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