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大学院での学びはキャリアアップにどう生かせるか? 事例を紹介

暮らし

2023/11/20 18:30

【学び直しとしての大学院~社会人3年目からのリスキリング入門~・2】 連載第2回目となる今回のテーマは「大学院とキャリアアップ」です。前回は、リスキリングの選択肢として大学院進学について伝えました。今回は、大学院での学びがその後のキャリアにどう生かせるか、修士課程修了者の3年以内のキャリアアップ事例をランキング形式で紹介します。なお、院試専門オンライン予備校である志樹舎の「進路アンケート調査(20~50代の受講者対象)」のデータを基に集計しています。

 

第5位「進学」

 第5位は、「進学」です。大学院には、修士課程(博士課程前期)の上位に「博士課程(博士課程後期)」が存在します。3年制を基本とし、大学教員や研究者を目指す人の登竜門となっています。修士課程を終えてから、さらに高みを目指したいと思う人が一定数出てきます。しかし、今回ランクインしているとはいえ、志樹舎の受講者でも博士課程進学率は全体の2%未満に過ぎません。入試募集枠も小さいため再入学は狭き門といえます。仮に入学を許可されても無事に過程を修了し、博士号を取得することは並大抵ではなく、茨の道になることを覚悟しておくべきでしょう。
 

第4位「政界その他」

 第4位は、「政界その他」です。具体的な回答を見てみると、「政界進出」や「議員秘書」がありました。出馬の機会を模索し、大学院進学を政界への足がかりとする人もいます。例えば、米国では大学院出身の政治家が決して珍しくありません。今後、日本でも大学院修了の学歴を有する政治家が増えると予想されます。在学中は、学会発表や論文、書籍出版の機会に恵まれます。実際、筆者も修士課程入学後、処女作を出版することができました。このようなチャンスを生かして実績作りに励めば、将来、政治家を目指す上でも少なからず有利に働くでしょう。
 

第3位「独立起業」

 第3位は、「独立起業」です。ここには法人だけでなく、フリーランス(個人事業主)としてビジネスを立ち上げることも含まれます。大学院は研究を行い、専門性を高めるだけの場ではありません。多様なバックグラウンドを持った人材と交流し、人間関係を広げる場としての側面も持ち合わせています。在学中に築いた人的ネットワークを足がかりに事業を興す人もいます。中には、学内ビジネスコンテストや起業家支援を実施している大学もあり、在学中に起業するケースも少なくありません。大学院で過ごす時間が起業に向けてプラスになることこそあれ、足枷になることは考えにくいでしょう。
 

第2位「転職」

 第2位は、「転職」です。大学院での研究成果と学歴を携えて、同じ業界はもちろんのこと、別業界に転職するケースは日常茶飯事です。大学院修了者は、研究分野にもよりますが、特に技術職や高度専門職の採用で人気があります。研究室制を敷いている大学院では、指導教員の推薦によって転職を叶える人もいます。また、一般職への転職を希望する場合も学部卒業者と比べて、ベースとなる基本給のアップを期待できる求人が多数確認できます。大学院での学びは転職の際に市場価値を高める有利な条件になるといえるでしょう。
 

第1位「昇進」

 アンケート調査の結果、最も多かったのは、「昇進」です。大学院を修了すると昇進の可能性を高めるという事実は意外かもしれません。ですが、実際のモデルとして、大学院での研究テーマを社内の新規事業として提案したところ、プロジェクトリーダーに抜擢。その後、昇進を果たした受講者がいました。このような例は、枚挙に暇がありません。会社の費用負担で進学した人は、自社に戻ってからリーダーとして最低でも数年間は寄与することが求められます。その場合、社内の中核を担う人材として活躍する日もそう遠くはないかもしれません。
 

「一発逆転の布石」に

 この他にも、修了者のバックグラウンドに応じて多様なキャリアが想定されます。学び方次第では、大学院がキャリアアップを実現する「一発逆転の布石」になり得ます。あなたもぜひ、この機会に大学院に進学して新たなキャリアの可能性を模索してみてはいかがでしょうか。(志樹舎・小杉樹彦)