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単価25%上昇でも回復の兆しが見えてきたビデオカメラ市場

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2023/03/19 18:35

 ビデオカメラの販売が徐々に回復し始めている。この2月、販売金額前年比が112.1%と2桁上昇を記録。販売台数こそ依然91.4%と前年割れだが、マイナス幅を徐々に縮めており、前年並みの水準が見えてきた。販売金額が一足先に回復しているのは単価上昇が一因だ。平均単価(税抜き、以下同)は昨年2月の4万8600円からこの2月には6万800円と25.0%上昇。ソニーが実施した度重なる値上げも影響している。


 昨年の4月と9月、さらにこの2月と、わずか1年足らずの間に3回もの値上げを実施したソニー。ビデオカメラは16機種が含まれており、昨年4月とこの2月いずれも値上げの対象になった機種が4機種にも上った。しかし、主力の「HDR-CX470」は昨年4月に値上げ済みで、今回は対象から外れたこともあり、足元の売り上げに大きな影響はなさそうだ。またパナソニックは、既存製品の価格変動は大きくないが、昨年9月に発売した8万円台の「HC-VX2MS」が好調で、平均単価を引き上げている。
 

 メーカーシェアを見ると、昨年2月の段階では、パナソニックが大差をつけてトップを走っていた。一方、ソニ―は18.5%と苦戦。しかし8月にパナソニックを僅差でかわしトップに躍り出た。9月と10月はパナソニックに首位を譲ったものの、9月以降、値上げをものともせずシェアを上昇させたのはソニーだった。11月には首位を奪還。その後安定的に3割以上のシェアを維持しながらトップを走っている。

 ビデオカメラ市場は、コロナ禍の影響で販売台数が2020年2月比で41.7%と、ほぼ6割減の状態だ。動画機能を重視したデジカメやスマートフォンに顧客を奪われつつある。そこへ値上げの波だ。市場環境は必ずしもいいとは言えない。しかし、アクションカメラや360度カメラなど新たな製品カテゴリーは堅調。従来型のビデオカメラも勢いを吹き返しつつあり、徐々に反転の動きが見え始めている。コロナが明けてどこまで回復できるのか。需要期を迎えているこの3月、そして9月が正念場だ。(BCN・道越一郎)