ビデオカメラの価格上昇、1年で3割

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2022/12/25 18:30

 ビデオカメラの平均単価がこの1年で3割も上昇した。高解像度モデルの拡大や、高価格帯の新製品発売などが影響している。このため、11月現在のビデオカメラの販売台数は、前年比で2割以上も減少しているものの、販売金額は前年並みを維持した。全国の家電量販店やオンラインショップ、約2300店舗の実売データを集計するBCNランキングで明らかになった。


 ビデオカメラは、コロナ禍で大きな打撃を受けたカテゴリーの一つ。スマートフォン(スマホ)の台頭もあり、カメラと同じく伸び悩んでいる。しかし平均単価は上昇中だ。11月の平均単価(税抜き、以下同)は6万300円。昨年11月時点の4万6200円から30.7%と大幅に上昇した。現在の解像度4K以上のモデルが占める販売台数構成比は61.2%。昨年11月の53.1%から8.1ポイント増えており、高機能化が進んでいる。スマホの台頭に加え、動画機能に力を入れたカメラの販売が伸びていることもあって、ビデオカメラにも高機能化、高価格化の波が広がってきた。
 

 高価格化の動きは、販売台数ランキングを比較すると明らかだ。昨年11月の販売台数シェア上位10製品を見ると、1位、2位ともに平均単価3万円以下の製品が占め、5万円以上の製品は六つ。一方、この11月では、1位のソニー「HDR-CX680」が5万100円、2位のパナソニック「HC-VX992MS」が6万9600円といずれも5万円超。TOP 10で5万円以下の製品は3万3900円のソニー「HDR-CX470」のみだった。また、TOP 10に入った今年発売のモデルは、3位で7万9700円のソニー「FDR-AX45A」を筆頭に高価格帯の製品が目立つ。いずれも4K以上の解像度だ。さらに既存製品の価格も上がっている。ソニー「HDR-CX680」は昨年11月比で11.0%、ソニー「HDR-CX470」は17.9%も価格が上昇した。一方で、TOP 10で価格が下がったのはパナソニック「HC-VX992MS」のみで、わずか0.3%下がっただけだった。
 

 メーカー別の月次販売台数ランキングでは、8月以降、パナソニックとソニーが首位争奪戦を繰り広げている。この11月は、8月以来3カ月ぶりにソニーがトップシェアを獲得した。既存製品のシェアが盛り返していることに加え、新製品の「FDR-AX45A」、TOP 10圏外だが10月発売の「ILME-FX30」も好調でシェアを押しあげた。一方、年間のトップシェア争いでは、11月までの集計でパナソニックが32.0%と、ソニーの25.4%を引き離して首位。昨年に引き続き、2年連続でパナソニックがトップシェアを守りそうな情勢だ。(BCN・道越一郎)