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最初は「演技」が重要! 段階を経て心から通じ合えるお客様を増やそう

時事ネタ

2022/07/30 17:30

 【誰も教えてくれない仕事の秘密・3】 今回はビジネスパーソンに欠かせない「演技」について説明します。よく、「全てのお客様に心からのおもてなし(接客・営業)を!」という経営者・経営幹部からの言葉を耳にしますが、これは「顧客満足の視点」からは当然の言葉だと思います。しかし、受け手である社員は、この「全てのお客様に心から・・・」を意識すればするほど、うまくいかないことも多くなります。なぜでしょうか。
 

社内外で異なる「演技」の対象
 

自信喪失に陥る前に

 「全てのお客様に心からおもてなし」を意識すればするほど、空回りしてしまうのはなぜかと言えば、実際の現場にはこちらの誠意・善意が通じない「理不尽なお客様や取引先の担当者」も多いからです。結果として、相手に「いいように利用されるだけの関係」になってしまえば、「なぜ、ここまで卑屈に・・・」、「自分は正しいことをしているのに・・・」という悩みが生じ、自信喪失や自分の仕事に誇りを感じられなくなるのです。

 この不都合を解消するには、最初からハードルの高い「心から・・・」ではなく、まずは「演技(形)から入り、段階を経て、心から通じ合えるお客様の数を増やしていく」という、「お客様との関係性を育てていく」ことに焦点を当てることが望まれます。

 そもそも、初対面や関係性が薄いお客様・取引先だと、緊張感や警戒心が入り混じり、とても「心から・・・」といった対応はできません。最初は「100%演技」でいいのです。

 演技といっても、これは「自分が任されている仕事のプロ」という、レベルの高い演技です。役者がセリフを覚え、役柄に入り込むように、自分の仕事に関する知識を蓄え、自分の仕事への期待に応えられる担当者を演じ切ることが大切です。大根役者ではいけませんが、この時点では、まだ「心」は必要ありません。

 演技が評価されれば、お客様や取引先は「あなたを指名したり、訪問・対面を待つ」ようになります。こういった反応があると、そのこと自体が嬉しく感じられるため、次第と「心からのおもてなし(接客・営業など)」ができるようになります。

 このように、「心から・・・」ということは強制されるものではありません。中途半端に「心まで売り渡す」必要はなく、こちらのプロとしての演技を評価してくれるお客様・取引先を増やしていくといいでしょう。

 最後に、この演技は「お客様・取引先」だけでなく、図のように社内・社外においても応用できるので、常に意識するといいでしょう。

【ポイント】
・仕事では、まず「演技」が重要! 自分のポジションを演じ切り、段階的に「相手の心」を開かせましょう!(大和 麓)

■Profile
大和 麓(やまと・ろく)
中小企業コンサルタント、研修講師。大手スポーツ用品メーカー、大手流通小売業を経て独立開業。地方自治体の経営支援アドバイザーとして十数年勤務するなど、多数の指導・研修実績を有する。マーケティング、社員教育を通して、中小企業・小規模事業者の業績改善に取り組んでいる。