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ケルト文化に触れる! フランス・ブルターニュ地方の「ロクロナン村」

暮らし

2022/03/08 18:30

【フランスの小さな村への招待状・4】 フランス北東部に位置するブルターニュ地方は、かつてブルターニュ公国として独立しており、ユニークな文化を育んできました。メンヒルと呼ばれる先史時代の巨石記念物が数多く残るなど、ミステリアスな雰囲気が漂う地域です。そんなブルターニュ地方で最も辺境な場所に位置するのが、今回ご紹介するロクロナン村。ケルト文化の影響を強く受けて発展を遂げた村で、神秘的な魅力に溢れていますよ!

フランス北東部のブルターニュ地方にあるロクロナン村

ロナン司教の聖地

 村の名前は、「ロナン司教の聖地」という意味の言葉に由来しています。その名の通り、6世紀にブルターニュ地方でキリスト教の布教を行った、アイルランド人のロナン司教のお陰で村は大きく発展しました。村の中心にあるサン・ロナン教会に併設されたペニティ礼拝堂では、聖ロランの彫像が横たわる墓が置かれています。近郊の街で産出される火山岩が用いられており、多くの天使に見守られながら大切に祀られています。
 
聖ロランの墓:村の歴史に欠かすことのできない偉人として、
現在でも大切にされているのが良く分かりますね

 10世紀に建てられたカンペルレ・サント・クロワ大修道院付属礼拝堂の跡地に建てられたのが、現在のサン・ロナン教会です。15世紀にその歴史を遡り、ブルターニュ公爵の寄付によって建設された由緒正しき教会です。また深い緑を基調とした17世紀の説教壇は見事で、神秘的な美しさがありますよ。
 
17世紀の説教壇:説教壇の側面を彩る絵には、ロナン司教の布教の様子が描かれています

伝統文化パルドン祭

 この村の独自の文化を語る上で欠かすことができないのが、毎年7月に開催されるパルドン祭です。ケルト文化とカトリックの伝統が交わる祭事で、さらに6年ごとにグランド・トロメニーという、より大規模な祭りとなるのだそう。メインとなる行事は伝統衣装を身にまとった住民たちが聖地を巡る礼拝行進で、村中が毎年この日のために準備を重ねる大切な行事です。

 村の周囲12カ所に定められた聖地は、自然崇拝を基礎とするケルト文化の伝統に従っています。これらの聖地はケルト民族にとっての12カ月と地上における天体の動きに対応しているそうで、パルドン祭ではその中の3カ所、グランド・トロメニーは全12カ所を踏破します。先ほどご紹介したサン・ロナン教会は、礼拝行進の起点となっています。
 
聖母マリアが描かれた旗:サン・ロナン教会には祭事に用いる旗が飾られていました

 ブルターニュ地方でも人気の観光地として知られるこの村は、フィニステール県の県庁所在地カンペールからバスで気軽に訪れることができます(バスで約30分)。カンペールまでもパリからTGVで1本なので、フランスの小さな村に初めて訪れるという方にもお勧めです。お土産屋さんやクレープリーなども多く、心躍る街歩きが楽しめますよ! 

 ブルターニュ地方独特の文化が根付くロクロナン村の魅力をお伝えしましたが、いかがでしたか? これまで全4回にわたって、素朴で飾らない小さな村の魅力を紹介させて頂きました。まだまだフランスには美しい村がたくさんあるので、ぜひ皆様もお気に入りの村を探してみて下さいね。(文/写真:高津竜之介)


■Profile
高津竜之介
レンヌ第二大学非常勤講師(日本語)、NPO法人「日本で最も美しい村」連合 在フランス研究員、レンヌ第二大学博士課程/研究テーマ:社会的イノベーションと最も美しい村