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神戸市・NTT西日本・PACkage、高齢者向けeスポーツ実証事業をスタート

経営戦略

2021/01/06 09:00

 神戸市とNTT西日本、PACkageの3者は、7月17日に結んだ「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」の取り組みの一環として、高齢者向けeスポーツ実証事業を12月3日からスタートした。これにより高齢者のコミュニケーション活性化と健康増進を目指す。


 新型コロナウイルス感染症により、フレイル対策における三つの柱の一つである「社会参加や家族との交流の機会」が高齢者間で減少しており、フレイル(虚弱)のリスクが高まっている。そこで、まずは市内のシニアサービス事業者を対象に、eスポーツ体験を通じて日常のバイタルデータの蓄積を行うことで、コミュニケーションの活性化や健康増進の可能性を検証する。

 さらに、その効果を踏まえて、ゲームタイトルの追加や最適な検証環境を検討するとともに、心身に与えるポジティブな影響に関する仮説を設定する考え。将来的には、eスポーツを活用することで高齢者のフレイル予防やデジタルデバイドの解消などにつなげられるような新しいコミュニケーションツールの開発を目的に実証事業を行う。

 実証事業の対象事業者は、スミリンケアライフ(有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅:利用者数約750人)と、PLAST(デイサービス・予防リハビリ施設:利用者数約500人、訪問看護:利用者数約100人)の2事業者。実施期間は、20年12月3日から22年3月31日まで。

 具体的な実証内容としては、パソコンやタブレットなどの基本的な操作に慣れ親しんでもらい、機器やデバイスに対する抵抗感を払拭する。また、健康意識の醸成を目的に認知機能やフレイル問診チェックを実施し、利用者の健康状態を把握する。各賛同企業と連携した体験イベントなどによるコミュニケーションの活性化を通じて、より多くの利用者にeスポーツに対する興味・関心をもってもらえる機会を創出する。

 その他、施設内や自宅にeスポーツ環境を常設し、さまざまなゲームコンテンツを自由に楽しんでもらえる環境を提供する。施設内外の利用者や家族とのオンライン対戦を通じて、eスポーツを習熟できる機会を創出し、さらなるコミュニケーションの活性化に貢献する。またウェアラブル端末や睡眠マットセンサーを使用したバイタルデータの収集を行う。

 今後は、これら取り組みのほか認知機能やフレイル問診チェックとフィードバックの結果を基に、eスポーツが心身に与えるポジティブな影響に関する仮説を設定し、今後の取り組みに有効なゲームタイトルの選定やバイタルデータ計測方法の改善など、実証に向けて具現化を進めていく予定。

 なお、実証事業にあたっては、高価なゲーミングパソコンを必要とせず、既存の安価なパソコンやタブレット端末から遠隔のサーバーに接続することにより気軽に低遅延でゲームをプレイできる「クラウドゲーミングエッジ」というNTT西日本が提供する技術を活用する。ゲーミングエッジ内に搭載されたゲームを利用することで、利用ログの収集を行い、反応速度の遅れなどを検知する。