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沿線開発からワーケーションまで JR東日本と西武HDが包括提携

 東日本旅客鉄道(JR東日本)と西武ホールディングス(西武HD)は12月23日、両社が持つ有形無形の資産を組み合わせた包括的な連携を行うと発表した。連携コンセプトは「新たなライフスタイルの創造×地方創生」。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ニーズが落ちた「移動」の活性化を図り、最終的には、国が推進する「地方創生」につなげていくとしている。

新たなライフスタイルの創造を目指して

 三つの軸の一つ、「新しい働き方・暮らし方の提案」に関しては、休みが取りにくい働く世代の旅行需要を掘り起こし、日本ではなじみのない長期滞在型旅行を可能にする「ワーケーション」向け旅行商品を共同で展開していく。

 一例として、ボランティアワーケーション、地方移住トライアルプランといった新機軸ワーケーション、軽井沢プリンスホテルを会場に、JR東日本グループのJR東日本パーソネルサービスが研修メニューを構築する企業向けワーケーション(研修プラン)、テーマ型ワーケーションプラン(スポーツ)、JR東日本の新幹線の最上級グレード「グランクラス」とプリンスホテル特別客室を組み合わせたラグジュアリープランなどを挙げた。
 
「新しい働き方・暮らし方の提案」「まちづくりに向けた長期的な連携」「沿線活性化に向けた連携」の
三つを軸に包括的に様々な取り組みを進める

 このほか、2021年1月5日からのJR東日本グループの駅ナカ×シェアオフィスサービス「STATION WORK」では、プリンスホテルの部屋を使い半日単位でテレワークができるプランを提供し、現在はJR東日本沿線で展開している個室テレワークブース「STATION BOOTH」を西武鉄道沿線駅への導入を検討していく。
 
「STATION WORK」でプリンスホテルのテレワークプランを販売する

 「まちづくりに向けた長期的な連携」「沿線活性化に向けた連携」は今後、詳細を検討していく。MaaS、拠点開発の推進、SDGsをテーマとしたスタートアッププログラム連携、イベント共催など、検討内容は多岐に渡り、すでに品川駅と品川プリンスホテルとの連携プロジェクトの立ち上げ、JR東日本が高輪ゲートウェイ駅で開催している「高輪ゲートウェイ駅ポケマルシェ」と西武鉄道が石神井公園駅で開催している「西武グリーンマルシェ」のコラボレーションは決定している。
 
沿線活性化に向けた連携例

乗換駅の駅ナカ開発・ポイント連携に期待

 利用者の関心が高い分野は、暮らしに密接に関わる「拠点開発の推進」だろう。西武鉄道の路線とJR東日本の路線が接続する駅は、池袋駅、高田馬場駅、国分寺駅、武蔵境駅、拝島駅、東飯能駅の6駅。
 
まちづくりに向けた長期的な連携のビジョン

 包括的連携に基づき、これら6駅を含む両社の駅や、それぞれの事業エリアが近接する拠点で、これまで単独では解決が難しかった取り組みの検討を開始する。それらが実現すれば、首都圏エリア内の電車移動は格段に便利になると考えられる。
 
JR東日本は品川エリア(JR山手線他)、西武HDは所沢エリア(西武池袋線・新宿線)の開発に力を入れている

 JR東日本は、楽天グループの楽天ペイメントともキャッシュレス化の推進で連携しており、Android版の「楽天ペイアプリ」に限り、交通系電子マネーSuicaの発行、楽天ポイントからのSuicaチャージが可能。また、楽天カードからのSuicaチャージは、OS問わずカード利用額に応じた楽天ポイント付与の対象となっている。

 沿線活性化に向けた連携の一環として、池袋駅や新秋津駅ー秋津駅での乗り換えの改善・連絡通路内の店舗・周辺サービスの拡充、西武鉄道沿線で登録済みSuicaの利用やJRE POINTカード提示でJRE POINTがたまる駅ビル・駅ナカ店舗の展開、Suicaを使った西武鉄道の乗車でJRE POINT付与、モバイルPASMO定期券/モバイルSuica定期券の相互両対応などにも期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)