ラーニングエージェンシーは、企業の人事・教育担当者948人を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大が企業の組織運営や人材育成に与える影響について調査を行い、その結果を5月27日に発表した。


 5月25日、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が全面的に解除された。4月7日の発令から約1か月半、この間に経済活動や市場の需要、企業の在り方、そして働き方は大きく変化した。働き方では、緊急事態宣言の発令を受け、急遽テレワークをスタートしたという企業も多く、テレワーク導入で直面した課題を乗り越えようと、同社にもここ1~2か月の間に組織運営・人材育成にまつわる悩みが多数寄せられ、その内容も日を追うごとに多様化しているという。

 こうした中、新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴うテレワークの導入が、従業員や組織の成長にどのような影響を与えているのか、また今後も継続的なテレワークの実施が推奨される中、どのような課題を克服する必要があるのか、5月12日から18日にかけて実施したアンケート調査をもとに考察した。

 テレワークの実施状況について尋ねたところ、72.1%が「新型コロナウイルス対策として導入した」と回答した。企業規模別で見ると、従業員数300人以下の中小企業では8割近くが新型コロナウイルスの感染拡大を機にテレワークを導入。一方、従業員数301人以上の企業では、36.0%が「以前からテレワークを導入していた」こともあり、このタイミングでの導入は56.8%となった。
 

 次に、テレワークを「以前より導入している」「新型コロナウイルス対策として導入した」と答えた企業に、「働き方の多様化が社員に与える影響」について聞いた。以前から導入している企業では、「育児・介護との両立がしやすい(71.3%)」がトップとなり、次いで「コミュニケーションの不足(68.4%)」、「テレワークに不向きな職種・業務による不平等の発生(62.0%)」、「残業の削減(50.3%)」、「生産性の向上(42.1%)」という結果になった。
 

 一方、新型コロナウイルス対策としてテレワークを導入した企業では、「コミュニケーションの不足」を挙げる企業が74.9%と最多。「テレワークに不向きな職種・業務による不平等の発生(73.0%)」「残業の削減(48.8%)」「業務効率の悪化(44.8%)」「育児・介護との両立がしやすい(44.6%)」と続き、急遽テレワークを取り入れた企業ほど、マイナスの影響を挙げる企業が多い傾向にある。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大が企業の人材育成に影響を与えているか聞いたところ、84.0%の企業が「影響がある」と回答した。
 

 さらに、今社員に求められるスキルは何かを聞いたところ、1位が「コミュニケーション力(67.1%)」、2位が「自己管理力(46.9%)」となった。「働き方の多様化が社員に与える影響」という設問で、コミュニケーション不足を挙げる割合の高さが示す通り、多くの企業が喫緊の課題に対応するため、コミュニケーション力の強化を求めていることが明らかになった。
 

 今回の調査から、テレワークの導入・実施によって、多くの企業が「コミュニケーション不足」や「職種間不平等」といった課題を抱えていることが判明した。特に、新型コロナウイルスの感染拡大を機にテレワークを開始した企業では、コミュニケーション不足や不平等感に加え、業務効率の悪化など、プラスの影響よりもマイナスの影響を感じているケースが多く、テレワークの導入によって企業が新たな課題に直面している実態が浮かび上がった。

 緊急事態宣言が全面解除された一方、今後もテレワークや変則勤務などの継続が推奨されることから、コミュニケーションを活性化するような取り組みをはじめとして、組織運営や人材育成の抜本的な見直し、改善を必要とする企業がますます増えていくと予想している。