政府による布マスク2枚の配布が始まったが、マスクの品薄状態は改善するのか、いまだ先は見えない。少しでもマスクの供給を安定させるため、国は「マスク生産設備導入支援事業費補助金」を用意。各社が体制の強化を進めている。シャープなど、異業種からの参入も相次ぐなか、ECや店頭でマスクを見かける機会は少ないままだ。

品薄状態が続くマスク

 大きく動いたのは、アイリスオーヤマだ。現在は中国の2拠点で24時間フル稼働でマスクを生産し、8000万枚/月を日本国内に供給している。6月には宮城県に生産拠点を設け、この拠点だけで月6000万枚の生産を目指す。海外生産リスクの増加により、マスクの品不足が長期化しているとして日本での生産を決定した。生産するのは、不織布マスク(プリーツマスク、学童マスク)。体制が整えば、中国と日本の拠点で合計1億4000万枚/月ペースで生産できるようになる。
 
アイリスオーヤマは6月に国内拠点でマスクの生産を開始する

 先述の制度を使って生産体制を強化し、すでに動き始めているのはシャープだ。日本政府の要請に応じて、2月28日にマスク生産事業の参入を決定。その後、1か月足らずの3月24日には三重県の工場で生産を開始した。液晶テレビなどで使用するクリーンルームが空いていたこと、親会社の鴻海(ホンハイ)がすでにマスクの生産を開始していたことなどが重なって、素早い動きが実現した。
 
シャープはすでにマスクの国内生産を開始している

 生産するマスクは、アイリスオーヤマと同じ不織布マスク。同社の生産ペースは、当初約15万枚/日、将来的には50万枚/日の増産を目指す。まずは、政府への納入を優先し、その後、供給が安定次第、「SHARP COCORO LIFE」でECサイトを準備し、一般消費者向けにも販売する。発売時期については未定だが、広報担当者は「少しでも早く供給したい」と、マスク不足の改善に前向きな姿勢だ。

 マスクの品薄状態は、各所で生じている問題の種になりつつある。マスクを販売しているツルハドラッグでは、購入をめぐるトラブルや早朝から並ぶ消費者の負担、転売目的と思われる人、早朝から並ぶことができない消費者などを配慮し、朝のマスク販売を取りやめた。これにより、多くの人がマスクを購入できるようにするほか、従業員への負担軽減を図る。ECサイトでは、マスクの高額転売が規制されたにも関わらず、商品がなかなか届かないなどのトラブルが絶えない。

 今はまだ、マスクは海外からの供給に頼っているが、国内の生産が軌道に乗れば少しは品不足状態が改善されるかもしれない。それまでの“つなぎ”として、政府から配布される布マスク2枚が、予算に見合うだけの活躍をすると期待したい。(BCN・南雲 亮平)