【なぐもんGO・35】 キャッシュレス推進協議会が策定したコード決済の統一規格「JPQR」によって、店舗でのレジ業務の複雑化に歯止めがかかった。各社の規格がバラバラのままでは、個別のシステム開発や異なる処理が必要になり、決済サービスの増加に比例して手間も増えるところだった。一斉に導入されたJPQRだが、一団体のトップダウンで生まれた規格ではない。原型は、JCBの「Smart Code」だった。

JPQR(左)とJCBの「Smart Code」

Smart Codeの誕生

 Smart Codeは、複数のコード決済事業者と店舗をワンストップでつなぐ枠組み。消費者がどのコードを提示しても、対応する決済サービスなら全て同じ手順で処理できる点が最大の特徴だ。レジスタッフの作業がシンプルになり、導入店舗、消費者の双方にとっても嬉しい仕組みといえる。Smart Codeは、どのようにして生まれたのだろうか。

 ジェーシービー ブランド事業統括部門モバイルペイメント部Smart Code室の川口潤室長は、「2016年頃からSmart Codeの構想を練っていた。当時は、インバウンド需要を見据えた事業で、海外で流行っているQRコード決済に、いかにスムーズに対応できるか、安全・安心に利用できるかを考えていた」と振り返る。
 
ジェーシービー ブランド事業統括部門モバイルペイメント部Smart Code室の
川口潤室長

 ところが、17年になると「○○Pay」と称されるスマートフォン(スマホ)決済サービスが登場し、あっという間に乱立の兆しを見せ始めた。「それまではLINE PayやOrigami Pay、Alipay、WeChatPayなどの決済サービス対応に主眼を置いていたが、状況が変わった。あまりにも○○Payサービスが増えて、消費者や加盟店が不安を抱え始めたことも伝わってきた」(川口室長)。

 JCBは、こうした不安を取り除くことが、スマホ決済サービスの普及における急務だとして事業方針を変更。○○Payを安全に利用できる環境を整えることで、加盟店と消費者の安心につなげる統一スキーム「Smart Code」を確立した。

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JPQRとのつながり

 Smart Codeは立ち上がったが、乱立するコード決済問題は一社で解決できる問題ではない。川口室長は、「ビジネスとして統一スキームの拡大を進める一方、問題意識は業界を横断しているので、18年に始まったキャッシュレス推進協議会の統一規格プロジェクトに参加してノウハウを共有した」と打ち明ける。「JPQRのガイドライン協議の土台としてSmart Codeがある」という。

 JPQRはコードを読み取るシステムであるのに対して、Smart Codeは導入から実際の決済までをカバーするという違いはあるが、考え方は同じだ。19年8月には、賛同した企業の利用者提示型コードがJPQRに切り替わったが、まだ対応が間に合っていない企業もある。順次対応を拡大していく予定だ。店舗で掲示されているコードの規格統一も検討を進めている。

ユーザー用にも統一規格を

 ユーザー側では、現在、利用するスマホ決済サービスにあわせて起動するアプリを変える必要がある。JPQRやSmart Codeのように、一つのアプリでコードを出し分けることができるようになれば、利便性が向上するのではないだろうか。例えば、ボタン一つ、もしくは指紋認証などのアクション一つでメイン使いに設定したコードを表示するスマホやサービスがあれば、キャッシュレス決済の利用はさらに広がるだろう。(BCN・南雲 亮平)