【連載・平成振り返り 第3回】今年5月1日、元号は「平成」から「令和(れいわ)」に変わった。平成最後の年である今年1年にわたり、過去の記事とデータを引きつつ、主にゼロ年代(2000年代)に注目を集めたジャンルを振り返りたい。第3回は、スマートフォン(スマホ)が本格的に普及した後も根強い人気を保った「従来型携帯電話(ケータイ)」を取り上げる。

「写メ」を撮るためメモリカードが必須だったケータイ

 iPhone上陸1年前の07年6月、メモリカードの販売数量シェアで、microSDカードがSDカードを初めて逆転した(過去記事:https://www.bcnretail.com/news/detail/070726_8014.html)。背景にあるのは「写メ」と呼ばれた、携帯電話のカメラで写真を撮る人の増加だ。当時のケータイは内蔵メモリが少なく、データ保存用のメモリカードが必須だった。

 ケータイがサポートするメモリカードの規格は06年の夏モデルまで「miniSD」が主流だったが、秋冬モデルでほとんどの機種が「microSD」にシフト。07年夏モデル以降、microSDが定番になった。今もAndroidスマホは、一部の機種を除き、microSDHC/microSDXCを含む、microSDカードを読み書きできるメモリカードスロットを備えている。
 
Androidスマホには今も欠かせないメモリカードスロット。
「miniSD」を経て「microSD」が定着した

 当時、2GBや4GB、8GBといった容量では足りず、microSDカードを何枚も買って頻繁に差し替えながら使っていた人もいただろう。こうした状況だったからこそ、最初から8GB/16GBの大容量メモリを内蔵したiPhoneは歓迎され、ヒットにつながった。

誰でも簡単にデータ効果や決済を iPhoneに受け継がれたコンセプト

 08年7月のiPhone上陸直後からしばらくの間、「ワンセグもおサイフケータイも赤外線通信もなく、防水非対応のiPhoneは、スペック要求の高い日本で売れない」と評された。実際のところ、iPhoneの売れ行きは、ソフトバンクが09年2月から展開した「iPhone for everybody キャンペーン」が転機になった。MNPなら「実質0円」など売られるようになり、他のスマートフォンや携帯電話より相対的に安かったため、学生や若い社会人など、情報感度の高い層から飛びつき、取り扱いキャリアが増えると、幅広い層の支持を得るようになる。
 
11年前、08年7月に発売された国内初代モデル「iPhone 3G」。
ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)は、ソフトバンクユーザー同士なら深夜1時から21時まで
通話無料のホワイトプランを強みに、24回の割賦販売を導入し、学生でも買いやすくした

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、18年に売れた携帯電話全体に占める従来型ケータイの構成比は過去最低の5.7%。ケータイといっても、15年にKDDIが「ガラホ」と名付けたOSにAndroidを搭載したLTE対応ケータイとキッズケータイが上位を占めており、独自OSの従来型ケータイは既に店頭から姿を消している。
 

 一方、18年の1年間に売れたスマホのうち、78.1%が「防水」、71.6%が「FeliCa(電子マネー)」に対応しており、今年1~7月の累計では、「防水」が80.6%へ、「FeliCa」が74.6%へと、対応率がさらに高まっている。どちらもiPhone人気が高まるといったん対応率は下がり、16年9月に「iPhone 7/7 Plus」が発売になるや跳ね上がった。
 

 NTTドコモが立ち上げ、各社が展開した「おサイフケータイ」の“ケータイを財布にする”というコンセプトは、現在、「Apple Pay」「Google Pay」「LINEウォレット」などのウォレットサービス、スマホ決済サービスに引き継がれている。

 また、決済時に現金を使わないキャッシュレス決済は、国内キャッシュレス決済比率の目標設定を受けて本格化。特に、バーコード・QRコードを使った決済に比べ、スピーディで手間のかからない、非接触決済の「おサイフケータイ」が見直されつつある。今後、「おサイフケータイ」が利用できるFeliCa対応機種の割合はさらに高まりそうだ。
 
ケータイから始まった「おサイフケータイ」は、スマホにも対応し、
今は「Apple Pay」「Google Pay」でも利用できる

 また、異なる端末間でメールアドレスや画像、ファイルなどを送受信できる赤外線機能は、BluetoothとWi-Fiを利用したiOS独自の機能「AirDrop」に置き換わり、学生の間で頻繁に使われているという。ゼロ年代に一世を風靡したケータイの先進的な機能とコンセプトは、今もiPhoneをはじめとするスマホに息づいている。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。