【なぐもんGO・33】 小売りの現場では、テクノロジーにできることと、人にしかできないことのすみ分けが進んでいる。駅中のコンビニ「NewDays」初のキャッシュレス無人店舗が7月30日、JR 武蔵境駅 nonowa 改札口にオープンした。レジはセルフレジ2台のみ。スタッフがいなくても消費者が買い物をできる仕組みだ。一体、どれほどの業務効率アップが見込めるのか、確かめてきた。
 

7月30日、JR 武蔵境駅 nonowa 改札口にオープンした駅中のコンビニ「NewDays」
初のキャッシュレス無人店舗

 NewDaysを運営するJR東日本リテールネット営業本部 営業戦略部 企画・戦略課 広報の大本潤一次長は、「昨今は、時給を上げても働き手が集まりにくいという課題に悩まされている。こうした人手不足の問題を解消するために、新たな運営体制を模索していた」と、無人店舗をオープンした経緯を話す。
セルフレジ2台で会計するのでスペースを取らない

 JR 武蔵境駅 nonowa 改札口は、Suicaなど交通系ICカード専用の改札。交通系電子マネーとクレジットカード決済のみに対応した同店舗を出店するには、最高の立地といえる。交通系ICカードのチャージ端末も近くにあるので、残高が足りなくてもすぐにチャージできるので安心だ。「近くには大学があり、若い人が繰り返し使うのですぐに浸透するはず。夏休みが終わるまでに、ある程度慣らしていきたい」と大本氏は展望する。

 買い物の仕方はシンプルだ。入店して商品を選び、自分で会計と袋詰めをして、店を出るだけ。会計時は、レジ端末の左側で商品のバーコードを読み取り、中央のパネルで支払方法を選択して、右側で決済。コードを読み取る位置は大きな文字で案内しており、迷う心配はない。

 記者が一通り使った中では、スタッフが介在する必要はなかった。ただ、「慣れていない利用者もいるので、しばらくはスタッフが2、3人常駐する。将来的には、スタッフ1人で運営できるようになる」(大本氏)という。
 
リーダーで商品のバーコードを読み取ってから……
 
右の端末で決済する

生産性は2倍以上!?

 同規模のNewDaysでは、通常、2、3人のスタッフが常駐している。スタッフ1人で済むようになれば、単純計算でスタッフ1人あたりの生産性は2倍以上だ。さらに、品出しの手間を軽減するため、引き出して商品を補充できる棚やフックを採用。自動発注システムも導入しており、スタッフは清掃や商品案内による顧客満足度の向上に注力することができる。
 
品出しの手間を軽減するための商品棚を導入している。
写真では、補充する際に引き出せる飲み物の棚

 同社は、2009年から通常の店舗でもセルフレジを導入しており、回転率の向上に努めていた。来店客の利用率は10%程度で、店舗によっては20%以上。通勤時やランチタイム時の混雑緩和に一役買っている。

 また、NewDays全体でSuicaの利用率は40%程度だが、今後、キャッシュレス専用セルフレジのみの店舗が増えていけば、比率はさらに増すだろう。

 現金を扱わないことで省力化だけでなく、経費削減効果も期待できることから、「キャッシュレス無人店舗は、さらに展開していきたいと考えている。まずは1号店をスムーズに運営できるようになって、ノウハウを蓄積していく」(大本氏)と、同様の店舗を増やして、スタッフの負担軽減と店舗の生産性アップを狙う姿勢だ。
 
今後も同様の店舗を増やしていく方針だという

 コンビニを中心とする小売業界では、時間限定の無人営業やキャッシュレス専用レジの積極的な導入など、人手不足解消・生産性向上に向けて具体的に動き始めている。キーワードは「キャッシュレス」と「無人」。今後も、効率的な店舗運営には欠かせない要素として進化していきそうだ。(BCN・南雲 亮平)